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第8章 アイドル・ダンジョン 邁進中  作者: みーたんと忍者タナカーズ
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 今にして思うとビーチでビキニ。

 あまりにもありがちなサービスカット。

 美少女ゲームのパターンを分析するまでもない。

 多くの深夜アニメなら定番中の定番。

 ストーリーさえ無視したビキニ回。

 もちろんそのルーツはエロゲーだろう。

 虹コングのサービスカット。

 あのビーチフラッグもスイカ割りも定番だったのだ。

 ゲームにおいてプライベートビーチが出てくるのは島と決まっている。

 どんな島なのかはこの際問題じゃないのだ。

 もしこのゲームがミステリー系なら金田一耕助みたいな名探偵が現れて謎を解いていくのだろう。

 ホラー系なら宿舎がお化け屋敷みたいな設定になっている。

 そして襲い来るゾンビたちをみんなで協力して退治。

 かつて日本軍の基地があったみたいな設定で武器を島で探したりするのが定番。

最終的には島から脱出しておしまいパターン。

じゃあ今いるこの島はどうなの?

命の危険性は?

 ただ一つはっきりしていること。

 それはこの世界の主人公がハゲのオジさん。

 つまりお茶の間博士であるということである。

 しかもゲームの内容まですでに分かってる。

 ハゲのオジさんがいろんなアイドルとデートを重ね、最終的に結婚をするというゲームだということ。

 つまり怖いシチュエーションはあり得ない。

 この森、恐るるに足らず。

「分かったわ、ここがどこかね」

 抱きついてしがみついてるリンちゃんをホッとさせようとあかりんは口を開いた。

「えっ?ここどこだか分かるの?」

「一度来たことがある場所よ」

「どこどこ?」

 まだ怖いのか、リンちゃんはあかりんにしがみついたままである。

 リンちゃんの胸の弾力が尊い。

 当たってることは分かってるよね。

 わざと押し当ててるはず無いし。

 なんて無防備な。

 あかりんがイケメン好きだから油断してるのね。

 もちろん女の子だけが好きってわけじゃないんだけどさ。

 虹コングにいたら、そんな雰囲気に流されるでしょ。

 女同士でもありかもしんないみたいな……………………。

 そんな歌いっぱい歌ってるし。

 実際誰も結婚できないしぃー。

 それにフワフワもちもちは男子だけのもんじゃないし。

 むしろ女の子の方が接する機会は多いし。

 フワフワもちもちが気持ちいいのは男女共通。

 あかりん的にはパンはフワフワもちもち派だし。

 ぬいぐるみだってフワフワ派。

「分かったわ、森に囲まれてるし、野音よ、野音」

 リンちゃんが言った。

「日比谷野音?」

「そう。私、来たことあるし」

 マトパカ・リンが自慢げ。

「違うと思うよ」

 あかりんが言った。

「外れか!チェッ!チェッ!チェッ!」と悔しがるマトパカ・リン。

 するとマトパカ・リンの目の前にタランチュラが落ちてきた。

「くも!」とマトパカ・リンは飛び上がる。

「なんなのよ」とあかりんにしがみつくリンちゃん。

 タランチュラって……………………とあかりんは苦笑い。

 さすがはゲーム。

 日本の島にタランチュラはないよね。

 せいぜいガラガラヘビ。

 もしあるとしたら『動物の森』。

 ニンテンドーならありありのあり。

 とにかくここはゲームの世界で間違いなさそう。

 お茶の間博士って『動物の森』が好きなのかな?

 そっか、お茶の間博士はゲームのプレイヤーなんだっけ。

 と言うことはゲームの世界観をつくったのはお茶の間博士じゃないんだ。

 謎の忍者。

 田中さんね。

 いわゆるハゲのオジさんのモデルよね、多分。

 想像しうる田中さんの休日。

 喫茶店の扉を開けて田中さんが現れる。

 カウンターに腰をおろすといつものように帽子を脱いで、カツラをはずす。

 はずしたカツラを帽子の中に忍ばせる。

 お忍びの喫茶店。

 これで忍者の田中さんはごくごく平凡なおじさんになった。

 マスターはいつものコーヒーを差し出した。

 こうして小一時間、田中さんは一般人に戻るのであった。

 ハゲタカの剥製が飾ってあるクラシック喫茶で、『つるピかハゲ丸くん』の単行本を片手に、ムソルグスキーの『はげ山の一夜』を聴きながら、ハーゲンダッツアイスクリームを食べているキザな奴。

 それが普通の田中さんの姿である。

「マスター、スパイってどんな奴か知ってる?」

「えっ?007みたいな感じですか?」

「そうじゃないんだなあー」

「えっ、映画の中のスパイってみんなかっこいいですよ」

「でもね、実は。ごくごく平凡な人らしいよ」

「なるほどね」

「そうじゃないと身を隠せないっていうか、イケメンだと目立つし、顔を覚えられるし」

「じゃあスパイはかっこ良くないんですね」

「まあ、そういうことになるね」

「田中さんはスパイにはなれないですね」

「それは僕がハゲてるからかな?」

「いつも光ってるからですよ」

「ハゲはカツラで隠せるけどね」

「イケメンは隠せません」

「ハハハ。マスクで隠せるけどね」

「確かに」

「それに僕の場合、ハゲてるんじゃなくて剃ってるんだ」

「剃る?」

「散髪代がもったいないだろう」

「ハハハ」

「ちなみに僕は陸軍中野学校出身だけどね」

 こうしてカツラをかぶって帽子をかぶり、喫茶店を出るとごくごく平凡な忍者に戻るのであった。

これでハゲてなかったら、どんだけハゲネタが好きなの。

 ただの悪趣味?

 しかし田中さんネタはこの世界ではNG。

 せっかく主役級の役にのぼりつめたあかりんが田中さんの手で抹殺されかねない。

 本当に陸軍中野学校出身だったらスパイでしょ。

 だとしたら田中さんは90歳過ぎてるけどね。


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