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第8章 アイドル・ダンジョン 邁進中  作者: みーたんと忍者タナカーズ
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「僕と契約しない」

「何でも君の願い事を叶えて上げるよ」


「しつこい、しつこい、しつこい」

 マドカは足に纏わり付く六兵衛を蹴飛ばした。

 ボールのように転がる六兵衛。

「ねえ、マドカ、僕と契約して魔法少女になってよ!」

 しつこい勧誘は何度も繰り返された。

「僕が欲しいのは君だけなんだよ、マドカ」

 黒猫はマドカの足下に絡みつく。

 黒猫のしつこい誘いに苛立ちさえ感じるマドカ。

「きみなら最強の魔法少女になれるよ」

 先回りしてマドカの前を遮る六兵衛。

「僕が保証する」

「うるさいな、六兵衛」

 そう言ってマドカは黒猫を蹴り飛ばす。

 そしてドリブルからのシュート。

 黒猫は壁にぶち当たってバラバラになる。


 レッスン場に行くとルリとナツメがいない。

「今日は少ないね」

 マドカはロッカー室でレッスン着に着替える。

「ほんとだ。みんな休んでるね」

 ななみがマドカの顔を覗き込む。

「金栗も最近休んでるね」

「本当だ」

 ななみが両手をあごの上にのせて顔を近づける。

「何?」

「元気出しなよ、まどか」

「元気だよ」

「元気になーれ!きゅるるんビーム」

 ななみがぶりっ子ポーズでビームをとばす。

 相変わらずブリブリだな。

 マドカは呆れた。

 ななみだけは結成当初からこのキャラを押し通していた。

ヒップホップ系アイドルオチャノーマ・サマーの中で唯一路線が違う。

 実はこいつ、もうすでに魔法少女なんじゃないだろうか?

「ねえ、ななみ、十兵衛と契約を交わした?」

「十兵衛って誰?」

「いや、何でも無い」

 マドカはななみから目をそらす。

 あまりななみを見つめるとメデューサのようにブリブリアイドルになりかねん。

「どうしたの、マドカちゃん。可愛いななみんを見てよ」

「嫌よ」

 マドカは顔を背ける。

 無理やり視界に入ってこようとするななみん。

「ルック・アット・ミー、マドカ」

「ノールック、ノールック」

 マドカはななみんから目をそらす。

 するとななみんがマドカに抱きついた。

「マドカ、好き、好き」

 頬をすり寄せるななみん。

「よるな、十兵衛!」とマドカはななみんを突き飛ばす。

「モォー!照れちゃって。可愛いんだから」

 ななみんが頬をふくらます。


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