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栗東トレーニング・センターは滋賀県栗東市に存在している。私はその坂路調教コースで、カコノローレルの調教を行なっている。Cコースでは、平坂先輩がポケモーターの追い切りを行なっていた。藤堂さんが騎乗するダイヤンエレガントとの二頭併せだ。その二頭がウッドチップの一八〇〇メートルコースを駆け抜けて行く様子を、こちら側からも確認する事が出来る。
「おうい、風花ちゃん。そろそろ併せ始めるで」
近江さんがふと私にそう言った。近江さんはそのまま、騎乗しているダイヤンスパークルを私とローレルの傍に寄せた。
「はい、解りました」
私は近江さんの方に振り返り、そう返事をする。
「どないしたん。何か今朝からぼけっとしとるけど」
近江さんは私にそう言った。
「実は今朝見た夢をふと思い出してしまって……」
私は近江さんにそう答える。
「え、どんな夢やったん」
近江さんは私にそう尋ねた。
「ちょっと昔のことを」
私は近江さんにそう答える。
「あ、悪い。変なこと聞いてもうたな」
近江さんは私にそう言った。
「いえ、お気になさらず。それより併せでしたよね」
私は近江さんにそう答える。
「お、おう」
近江さんはそう返事をした。そして私とローレルは、近江さんとスパークルと共に坂路調教コースへと戻る。午前六時の太陽が燦々と輝いていた。




