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『メイクデビュー東京』の直前に発症した、左前脚の管骨骨膜炎の再発だった。
通常であれば、一度骨膜炎を発症すると骨組織が強くなるはずなのだが、どうやらロッキーは、他の競走馬と比べて脚が弱い傾向にあるらしい。追切中の発症だったせいか、前回よりも症状がひどくなっているという。疼痛を伴うほどの重症ではないものの、完治するまでには最低でも三か月はかかるとの診断結果だった。
そして、僕自身も左の鎖骨を骨折。それ以外の箇所は打撲程度で済んだものの、しばらくの間、騎乗することは出来そうになかった。幸い骨がずれたわけではなかったけれど、完治までにはこちらも三か月ほどかかるらしい。当然、リハビリも必要になるとのことだった。
このことを受けて、神さんは美浦トレセン内でのロッキーの療養を決定。そして僕が完全に回復するまで、他の騎手たちに乗り替わりをしてもらうことになった。
釣り針に引っかかった重賞制覇に、またしても目の前で逃げられてしまった。




