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乱戦

たまにはこの時間に更新してみる。戦闘描写難しい……

 さて、後方に回り込まれたことにより火力を分散させる必要が出たため、いよいよもって敵歩兵を押しとどめるのが難しくなってきたわけであるが……


「援軍はまだ来ないんです、かっ!萱場教官!」


 弾倉を交換しながらキャロリンが叫ぶ。


「40mmが後方で着弾しているのが見えるから、来てはいるんだが……」

「正直、もたついてる感じがありますね」


 あと少しのところで敵に粘られている感じがある。確かに、第2中隊も第3中隊も、虎の子の戦車を装備しているとはいえ、士官学校を卒業してすらいないペーペー達であるが……


「相手もそんなに練度よくないでしょ!」


 手あたり次第見えている敵歩兵を撃ち、ミカが車両を後退させている間にリロードするキャロ。1つ1つの動作を見るに、どうも砲手としての腕はミカのほうが高いようだ。


≪教官、あいつら本当に新疆軍ですか!?ロシア人に見えますし、装備も充実しているんですが!≫

≪なに……?≫


 後ろ側で戦っているツェダの話を聞いて浸透してきた敵歩兵をよく見てみると、確かにロシア人に見えるし、装備も新疆軍とは違うように見える。


「つまり、2中隊と3中隊は欧州大戦を生き抜いた古強者を相手にしてる……って、コト!?」

「おそらくミカの言った通りだろう。そうなると2中隊と3中隊の救援は間に合わないかもしれない」

「日本語で言う『すてがまり』が必要ってわけですね」


 ミカがまた変な日本語をキャロリンに教えていたことが判明していたが、誰もそれに突っ込まない。敵歩兵が軽く蹴散らせる雑魚ならまだしも、装備も練度も段違いのロシア山岳歩兵なら、向こうを突破する前にこちらが殲滅されてしまう。そうなる前に、敵中を突破して帰還する必要があると、3人は判断した。


「やれるか、ミカ、キャロ」

「できるかなじゃない、やるんだよ、でしょ、()()()()

「そうそう。まあ私たち、は!大丈夫ですよ。後ろの子たちがついてこれるかってところですね」


 躍進射を続けながら答える二人。今は彼女たちを、そして僚車の教え子たちを信じるしかない。


≪よしみんな聞いてくれ。浸透してきた敵歩兵はロシア軍の義勇兵である可能性が高い!奴らは欧州での戦争を経験した熟練兵士だ!よって救援は望めないものと判断し、敵中を突破して第2中隊、第3中隊と合流する!覚悟を決めろ!≫

≪≪……了解!≫≫


 一瞬の間をおいて、萱場の指示が了承される。


≪第2中隊及び第3中隊へ!敵中を突破してそちらに合流する!援護を求む!≫

≪信号了解!同士討ちに注意せよ!≫

≪了解した!ご武運を!≫


 各中隊長の了解もとった。あとは教え子たちを信じるだけ。


≪……吶喊!≫


 号令とともに発動機がうなり、6両の軽戦車が最高速度である42km/hで起伏を縫うように疾走した。いくつもの銃砲弾が飛び交い、地面を穿ち、装甲に受け流されていく。


「放てぇ!」


 9号車の発砲を皮切りに、次々と前方へ榴弾を放つ。当たらなくてもよい。頭を下げさせて道を開けてくれればいいのだ。


≪きゃぁっ!≫

≪ニマ!どうした!≫

≪履帯が切れました!我々にかまわず先に行ってください!≫

「くっそぉぉおおお!」


 ツェダはニマ車の履帯を切ったであろう37mmマックリーン自動砲を見つけ、行進射させる。日ごろの訓練のたまものか、あるいはツェダの殺意が十分だったのか、自動砲はスクラップと化した。


≪そこかしこに敵自動砲!≫

「ちっ、2中隊と3中隊がもたついてたのはそういうことか」≪蛇行運転しながらできる限り破壊しろ!轢いてもかまわん!≫


 ロシア人義勇兵たちの装備している37mmマックリーン自動砲Mk4は、もともとトーチカを狙撃するためにアメリカで開発された小口径砲である。毘式機関砲より高初速で、十年式軽戦闘車相手なら徹甲弾は十分な貫通力を持っていた。おまけに発射速度も50-100発/分と高いため、第2中隊と第3中隊はなかなか近づけなかったらしい。


「このっ!それっ!」


 タイミングよく蛇行し、照準を乱しながら吶喊する中で、ミカはなんとも言えない高揚感を感じていた。


(この感じ……前にもどこかで味わった気がする……)

「ミカ!ミカ!おいミカ・サカダワ!」

「はっ!な、なになにキャロちゃん!」


 トランスしかかっていたミカをキャロが現実に引き戻す。


「もうちょっと暴れるの抑えられない?敵の砲に照準が合わせられなくて……」

「そういう時は声を出して射撃のタイミングと急旋回のタイミングを合わせるんだ。まだ教えてなかったな」

「「了解!」」


 萱場の助言を受けて、徐々に連携し始める二人。他の車両がただ蛇行するだけだったり、逆にまっすぐ走ってしまったりする中、明らかに動きがよくなっていった。


≪前方に友軍戦闘車!≫


 脱落車も出る中、ついにミカたちは味方を視認できる距離まで踏み込むことに成功する。


≪第1中隊を視認した!脱出を援護しろ!≫

≪諸君!もうすこしだ!駆け抜けろ!≫


 タイミングよく対面の味方戦闘車たちが射撃し、敵を一時的に制圧する。そこを3()両の豆戦車が駆け抜け、そのまま戦場の後方へと走り去っていった。



もっと精進したいです……


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この作品はスピンオフです。本編に当たる作品はこちら

鷹は瑞穂の空を飛ぶ~プラスチックの専門家が華族の娘に転生したので日本は化学立国になります~ 

よろしければご覧ください。
― 新着の感想 ―
[一言] 砲架込みで200kgはあるだろう37mm自動砲を多数持って浸透突破できるとは…人海戦術なのか、はたまた牽引車両を持ち込んでるのか……
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