Day8~Day14
Day8
昨日は銃を持った職員に配給の箱をみせるよう言われた。
箱一杯に水と食料を与えられた。俺たちのグループは食べ物も余っている状態だ。
水も飲む分には丁度足りるくらいだ。
「箱からはみ出ている食料は隠しておきましょう。他のグループに見られると厄介なことになりそうですよ。」
「そうだな。あと石の斧を作って頑丈なバリケードを築いた方が良さそうだな。」
シュウスケとイワタさんは守りを固めたいようだ。
少人数であることがバレたら略奪されかねない。
「いや、それよりも余っているのを分けて友好関係を築いた方がいいんじゃないっすか?」
「うんうん。私もそう思う!余っているものを交換するのもいいかも!」
カズヤとヒナタさんは他のグループと交流をするべきと考えているようだ。
確かに同盟のような助け合える関係性のグループができれば心強い。
ずっと無口な女の子は何を考えているのかわからない。未だに名前を知らないくらい無口だ。
「俺は41と友好関係を築き、21と22は警戒して、左右下の31と33と42は様子を見た方がいいと思います。」
左下の41は少人数で危険ではなさそうだし友好的だった。
何かあったときに助け合えるのではないかと思った。
「そうだな。防御を固める前に偵察もしたいところだな。」
今日や明日は他のグループの様子を見ることとなった。
支給されたばかりだし大丈夫だろう。
特に騒ぎも起きなかった。
Day9
干物にした魚を手土産にカズヤと下の42の様子を見に行くことにした。
魚を渡し地面に人の絵や箱の絵などを描いて情報をもらった。
8~10人くらいの人が見える。どうやら食べ物は足りないが分け合って暮らしているようだ。支給品の情報は教えてもらえなかったが、箱は7個らしい。
やはり支給品の数にもバラツキがあるようだ。
だいたい役割が決まってきた気がする。
俺とカズヤが情報収集、イワタさんとシュウスケが道具や家づくり、ヒナタさんが食料管理、無口な女の子はよく分からないが何かを作っているようだ。
Day10
今日は酷い豪雨だ。シャワー代わりに丁度よいと呑気なことを考えていた。
葉で作った屋根からは雨漏りし、風で飛ばされてしまった部分もあるが雨が止んだら直せばよいか。夜になっても雨は降り続いた。
Day11
今日になって事の重大さに気が付いた。雨は止んだが箱が浸水しバナナが傷んでしまっていた。
「あちゃ。これは食べたらお腹壊しそうだね…。」
「焚き火用に集めていた木が濡れて火が使えそうにないな。」
「うぅぅ。寒いっす。濡れて身体が冷え冷えっすよ。」
「感染症や低体温症が心配ですね。」
あちこちで嘆く声や騒ぐ声が聞こえる。
これは他のグループでも被害がでていそうだな。
「靴下まで濡れている者はいるか?飲み水を使っていいから足を洗って乾かすぞ。杉の葉を集めてくれ。振って乾かして火を起こすぞ。」
イワタさんのおかげでどうにか暖を取ることができたが、水も食料もだいぶ減ってしまった。他のグループがどう動くか怖くて仕方がない。
Day12
怒号や叫び声などで目が覚める。
暗くてよくわからないが上の22の方向から聴こえてくる。
「何か起きているようだ。みんなこれを。」
イワタさんがみんなに木の棒で作った槍を配る。
怒号がいつの間にか歓声に変わっていた。
一体何が起きたのだろうか。
明るくなってから茂みから様子を伺うと、21と22を人が行き来している。
同盟関係を結んだのだろうか。
念のため今日は一日中警戒することになった。
Day13
翌朝、起きると事態の深刻さが浮き彫りになった。
先週から放置されていた22-11の遺体の傍に倒れている人が6人いる。
21に22が略奪されたのだろう。
食べ物がほとんど傷んでしまって、今日は昼食のみだ。
水も今日の分でなくなりそうだ。
明日は配給日。どうにか耐えることはできそうだ。
Day14
配給のトラックがやってきた。
当たり前のように遺体の横を通り過ぎる。
先週は21に沢山ものを運んでいたが今週は少ない。
21は支給品の箱がいくつか壊れたのかもしれない。
「君たちよく無事だったね。まぁ頑張りなよ。」
職員は全貌を知っているような様子で支給品を置いて去っていった。
21は過激だが22を奪いしばらくは大人しくなるだろう。
41と42はどうしているだろうか。
人間よりも怖いものがあることに、この時はまだ気が付かなかった。