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社会実験ナンバー32  作者: 高橋わかば
第1章~原始的な社会では何が起きるのか
2/3

Day1~Day7

Day1


 サバイバル生活初日。

おっさんのリーダーシップもあり、雨風をしのげる簡易的な葉のテントが完成した。

32-2のおっさんはイワタさんという元レンジャー隊員らしい。


「あとは焚き火用の枯れ木があれば完璧だな。食料も十分あるし大丈夫だろう。みんな良くやったな。おつかれ!」


 イワタさんの言う通り“俺たちのグループ”は大丈夫そうだろう。

他のグループはどうか気になるが。


「ちょっと俺、隣のエリアの様子見てくるっす。」


お調子者の32-6は探検がしたいようだ。確かカズヤって名前だったけか。


「俺も気になるので、カズヤと一緒に行くよ。」

俺も他のグループが気になるので行くことにした。


 左右が31と33、上下が22と42のようだ。

22の方に向かうと怒号が聞こえてきた。


“”13人で1週間持つ分けないだろうが!!!これを均等に分けろだと!?ふざけるな!“”

「何だか22はヤバそうっすね。関わらない方が良さそうっすね。」


 もしかして、支給品の箱は人数分あるわけではないのか…?

あるいは支給品に水があまりなかったのかもしれないな。


「お、31の方に人がいるっす。おーい!」

「カズヤ、待て!話しかけたらまずいんじゃないか?」

「どうせ、職員には分らないっすよ。」

「おーい!そっちは何人いるっすか!」


“ピーピーピーピ”

カズヤの首輪から音が鳴る。

“禁止行為です。警告します。”

「痛い痛いっす。首輪が。締まって。うぐぐっ!」

「おい!カズヤ!大丈夫か!しっかりしろ!」


 カズヤは失神してしまった。

処罰って…この首輪まさか…!?

俺は失神した和也を背負ってテントまで戻った。


「た、大変!ど、どうしたの!?」

「か、カズヤが他のグループに話しかけようとしたら首輪が締まって倒れたんだ…!」

「こんな怖いもの付けていられないわ。誰か外して!」

「ヒナタさん。冷静になってください。無理に外そうとすると何が起きるか分かりませんよ。それにカズヤさんは気を失っているだけで死んではいませんよ。」


 32-1の医学生のシュウスケが32-5のヒナタさんをなだめる。


「これは警戒した方が良さそうだぞ。つまり外部とは対話ができないというわけだ。」

「先程から食料を争う声が聞こえてきますし、盗まれないように隠しておいた方が良さそうですね。」


 22の食料が尽きた時、どうなるか。

俺は考えるだけでも恐ろしくなった。


「夜中か焚き火を付けて交代で見張りと火の番をしましょう。」


こうして最初の夜を過ごした。


Day2


 ヒナタさんのアイデアで魚を干物にすることにした。

これで食料が腐る心配も減った。

俺たちのグループは運が良いのかもしれない。


Day3

 

  夜中、22からの怒号で目が覚めた。


“”おまえ!!何をしている!こっそり食べたな!!!”“

“”この野郎、来週まで木に縛り付けるぞ“”

“”盗み食いをした者は縛り付けの刑にしよう!!!“”


 どうやら、均等に分けた食べ物をこっそり盗み食いした者があらわれたようだ。

こちらには十分食料があるが、他が盗みに来るかもしれない。

明日からは火の番を2人態勢にすることになった。


Day4


 日中の事だ22-3と22-5の22-10の3人がやってきて、22-5が会話をしようとしてカズヤのように失神した。22-3と22-10は慌てていたので、ジェスチャーで喋ると首が締まることを伝えた。22の人たちは戻っていった。


Day5


  41から41-1と41-2がやってきて。地面に水の絵を描いた。

 会話をすると失神することを知っているようで、互いに絵を描いて要件を伝える。

 みかん12個と、丸太を石で削って作ったお椀一杯の水を交換した。

 41は好意的で4人のグループのようだ。

 食料は沢山あるが水が足りないらしい。


Day6


 今日は左上の21からも争うような声が聞こえる。

というよりも叫び声や断末魔だ。日中にも関わらず。

まさか食料をめぐって殺し合いをしているのか?

俺は思い出した21と表示されたバスに20人以上が乗っていたことを。

イワタさんの提案で木の棒を削って槍を作ることになった。


Day7


  22のエリア前に人が倒れている。

 縛られたような跡があり既に息を引き取っていた。

 ジャージには22-11と書かれていた。

 

  丁度、そのとき配給のトラックがやってきた。

 何故か配給者に護送車のような重火器を搭載した車が並走している。


「人が死んでいます!!!!すぐに警察を呼んでください!」

「あれ?募集要項読んでいませんか?実験期間中法律は適用されないですよ?」


 職員に自分の身は自分で守れと言われているようだった。

こうなることも知っていたような口ぶりだった。

人が減った分、食料はあまる。

次の週は争いが減るだろう。


そう思っていたが、その考えは甘かったことを思い知ることになるとは…。

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