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天司と死神の新たな装備とイベント情報

 広場へと戻った2人

「着いたぁ……よし! 宿探して装備を見よう……んっ、どうしたマイ?」


「……うん、露天の人いなくなってる。道案内のお礼しようと思ったのに……」


 ログインした時に2人を道案内してくれた露天商がいない事にしょんぼりするマイだったが気を取り直して宿屋へ向かうと一晩宿を借りた。早く装備の実物が見たい2人は足早に部屋のドアを開けて中へ入る。


「さっそく着替えますか!……おおおお!! かっこいい!」

 装備メニューを開いて[一括変更]を押すと、ケイに装備が身に付いた。防具は白を基調とした見た目で所々に花びらの模様が装飾されている。天司らしさを表現されている事にケイは大満足。だがマイはまだ装備を身に付けていない。


「着替えないのか?」


「……恥ずかしいからお兄は向こう向いてて」


 突然の恥ずかしい宣言を可愛いと思いながらも「分かったよ」と、ケイは反対の方を向いた。しばらくして「いいよ」と、言われたケイはすぐさまマイの方へ向き直るとその姿に歓喜した。黒を基調としたフード付きローブ に刺繍された髑髏が死神らしさを表現していた。足には紐付きのロングブーツ。


「おおお! その装備めちゃくちゃかっこ可愛い! こんなにオシャレな妹の兄を見てみたいくらい……痛っ! まいった! 俺が悪かったから叩くの止めてください」


「可愛いって言うのが悪い……でもこの装備好き」

 からかうケイを叩くマイは頬を少し赤らめた。だが可愛らしい顔とは裏腹にその姿は黒の衣装に身を包んでいかにも死神と呼ぶにふさわしい格好といえる。


「えーっと、後は俺の〈イメージクラフト〉だな。多分名前通りのスキルだと思うんだけど……武器を切り替えられる俺に必要なのか?? とりあえずやってみるけど……〈イメージクラフト〉!」

 手を広げて〈蒼剣〉をイメージしてみると、手には本物より多少色褪せている〈蒼剣〉が出現した。


「それ偽物?」

 ケイは頷いて本物の〈蒼剣〉を出して比較してみる。違いとしては〈イメージクラフト〉で作った武器の方が攻撃力が低いこと、後は武器の重さと色くらいの違いだった。


「これを戦闘でどう使うかだよなぁ……」


「空中に作って飛ばせたら強そう」


「君は天才か? じゃあ早速〈蒼剣〉を〈イメージクラフト〉!」

 ケイがイメージすると、空中で〈蒼剣〉が静止した状態で出現した。今度はそれを部屋の壁に向かって飛ばすイメージをしてみる。すると〈蒼剣〉は空を切って壁へと突き刺さってパリンと砕け散った。


「これ意外と使えるな」

 コクリと頷くマイ。装備を鑑賞して満足した2人は新たな装備を身に付けて広場を回ってみる事にした。


 2人が広場を歩くと装備の存在感なのか周囲のプレイヤーは注目している。特にマイに関しては男女問わず多くのプレイヤーの視線を集める程目立っていた。多くの視線が集まるなか2人はある看板と建物を見つけた。


 アイテム屋&料理屋


 中はカフェの様な場所で看板の文字通り食事を楽しんだりアイテムを買ったりしている。ゲーム内の料理が気になった2人はとりあえず空いている席を探して座ると同時に見覚えのある人も同じ席へ座った。


「「「あっ」」」


「す、すみません! すぐに退きますから……あれ、どこかで見たような……ああああ!!」


「露天商さん! さっきはありがとうございました。もし良かったら一緒に座りません? さっきのお礼もしたいですし」


「うん、座って」


 慌てふためく露天商をどうにか座らせた2人も椅子へ座って飲み物を注文する。ソワソワしている露天商はジーッと2人を見つめて何か言いたげな様子の顔。


「何か俺たちの顔に付いてますか……?」


「あっ、いえ! 数時間前とは随分と変わったなぁと思いまして。すみません! ジロジロと見てしまって」


「見ても……いい」


「良いんですか!? わぁ、漆黒に包まれた装備良いですね! こっちの白い装備もかっこいいですね! こんなにレアな装備中々見つかりませんよ!!……あ、すみません」


 人が変わった様に装備を見て興奮する露天商だったが、ふと我に帰った様に静かになる。その様子に思わず笑ってしまうケイに釣られてマイも笑みを浮かべた。


「ハハッ! 露天商さん面白い人だな。そういえば名前教えてなかったですね。俺はケイ、こっちはマイです」


「……ケイさんとマイさん。わ、私はメロと言う名前でやらせていただいてます。よ! よろしくお願いします!」


「……よろしく。メロさん」


 互いの自己紹介が終わった所に飲み物が置かれる。そしてメロの前にも置かれた。


「えっ? わ、私頼んでないですよ! 間違えたのかな」


「俺たちの奢りです。さっきのお礼も兼ねて」


「良いんですか!? でも私道案内しただけですし、ちょっと歩けば誰でも分かるものですし……でも、あ、ありがとうござます」

 3人は色鮮やかな飲み物を口に含むとその美味しさに目を見開く。


「「「美味しい!」」」


 同じことを言う3人は互いに目を合わせて笑った。ゲームなので実際にお腹が満たされるわけではないが味はしっかりと感じ取れることにも驚いた。それからしばらく3人の談笑が続いた。


「そういえば……ケ、ケイさんと……マ、マイさんはイベントには参加しないんですか?」

 突然のイベント発言にケイとマイは首を傾げる。するとメロは自分のメニューを開いてお知らせを2人に見せる。そこにはイベント開催と書かれていた。


 内容としてはレベル15以内のプレイヤーのみが参加できる仕様となっている。広いフィールドで時間制限付きのチーム戦バトルロワイヤルで、ソロからスクワッドまで参加できる。参加者は他のプレイヤーを倒すことで3ポイントが入り、チームを殲滅すると10ポイント入る。上位5名には称号と限定アイテムが贈られるらしい。


 2人は現在のレベルは10なので参加は可能だが、それよりも気になったのはその先である。


「開催は……明後日!?」


「ひゃ、ごめんなさい! で、でも参加するだけでも対人のやり方が学べると思うので……」


「あっ、いや全然大丈夫ですよ! 俺たちも参加してみます。でもスクワットとなると1人足りない……メロさんが良ければ俺たちと一緒に参加しませんか?」


「私ですか!? お、お誘いは嬉しいんですけど、知り合いに誘われちゃってて……すみません! 痛っ……! イタタ……」


「……大丈夫?」

 コクリと頷くメロは涙目になりながらイベント参加のボタンの表示を見せてきた。参加のボタンを押さないと当日に参加できないと言われたので2人は自分のメニューから探し出して参加のボタンを押す。


「じゃあイベントは俺とマイのディオでの参加だな」


「うん」


「スクワットで参加しないチームはポイントボーナスがあるので、頑張ったら上位に入れるかもしれません!……対人戦やったことないと大変……かもしれない……ですけど」


 心配するメロであったが、広場に戻る前にプレイヤー狩りを倒しているケイとマイ。

 2人は知らないが、襲ってきたプレイヤー狩りの男達は2人よりレベルが上なのである。


「まっ、なんとかなる! こっちにはマイがいるし。取り敢えず今日はログアウトして……明日はスキルを見つけることを目標に頑張るとするか」


「分かった」

 2人は残っている飲み物を飲み干してメロに別れを告げてログアウトしていった。1人残されたメロはゆっくり飲み物を味わう。そして笑みを浮かべた。


「美味しい……頑張りましょうね。ケイさん、マイさん」


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