表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

天司と死神の隠しダンジョン

 その後も兎の群れが2人に襲い掛かるが、ケイはアシスト、トドメをマイが刺すといった連携を繰り返してしばらく経った。


『レベルが上がりました』


「とりあえずレベル4まできたな」

 モンスターとの戦闘にだいぶ慣れてきた2人は初めの兎にもらったキック以降、ダメージを受けること無くレベルを上げていた。


『専用スキル〈天司の加護〉を習得しました』


「おっ、俺にもスキルがでた! ……専用スキル? えっと、なになに……」


 ケイは習得したスキルを確認しようとメニューを開く。マイも横から覗き見るように傾ける。


 〈天司の加護〉天司専用スキル 戦闘相手からスキル効果及びダメージを受けていない状態が10秒以上続いた場合、自分を含めたパーティメンバーの攻撃力と防御力がアップする。


 〈取得条件〉敵からダメージを受けること無く20体敵を倒す。


「そのスキルとマイのスキルがあったら数体いても大丈夫そう」


 ケイが取得したスキルもマイと同様サポートスキルとなっていた。ケイがダメージを受けない且つ敵が複数いた時のマイの火力はとてつもない事になることは明白であり、下手な中級プレイヤーより強い可能性さえあり得る。


「さてと、ここら辺も狩り尽くしたみたいだしそろそろ戻る事にしますか」


 ケイの提案に頷いたマイはキラキラ光り輝いている兎が落としたドロップアイテム〈森兎の毛皮〉を拾い集める。


「1、2、3、4、5……? 1つ足りない。お兄拾った?」

「いや?」


「……向こうの方見てくる」

 そう言ってマイはまだ調べてない木々の方へと歩いていく。WW Oをプレイしている人から見れば別に拾わなくても大して困ることはない。だがマイは倒した兎の残してくれたアイテムを拾ってあげたいと考えていた。


 あたりを見渡すマイは木々の間にキラキラと輝いているアイテムが目に入った。

「みーつけた。これで全部だよね……ん?」


 アイテムを閉まって顔を上げると前方に洞窟のような穴を発見した。


「おーいマイ。探してたアイテム見つかったか……って、どうした?」


 様子を見にきたケイにマイはいましがた見つけた洞窟に指を差す。


「洞窟見つけた。さっき戦ってた時には無かったよね?」


 兎達と戦っている時には気がつかなかった2人は疑問に思いながらも洞窟に近寄っていく。すると2人にシステムの音声が流れてきた。


『隠しダンジョン〈ドロドロ洞窟〉を発見しました』


 マイが見つけたのはなんと隠しダンジョンだった。2人は驚いて思わず顔を見合わせる。


「よく見つけたなマイ! さすが俺の妹」

 妹の手柄を大袈裟に褒めるケイに思わず頬を赤らめるマイは洞窟の方に向き直る。


「見つけたのはたまたま……どうする?」

「中に入って様子見てみるか。やばいと思ったらすぐに撤退すれば大丈夫」

 現状レベルも回復アイテムも持っていない2人にとって隠しダンジョンは無謀とも考えられる。しかし、目の前に面白そうなものがあるのに放置なんて考えられない。


「お兄がそこまで言うなら……じゃあ入ろう」

 そう言ってマイはスタスタと洞窟の中へ入っていく。

「本当は行きたかったんだな……可愛い妹……ちょ、行くの早いって!」

 ケイは素直じゃない妹に微笑みながらマイの後を追いかける。


『ダンジョン攻略を開始します』

 洞窟内を歩いていくと森とは全く雰囲気が違うのを実感する。薄暗く壁は冷たく湿っており、地面の至る所に水が張っていることが確認できた。所々岩が隆起していることも分かる。


「静かすぎるのが不気味だな」

 ケイの声が洞窟の奥まで反響して帰ってくる。

 そのまましばらく歩いていると、隆起している岩がゆっくり動いているように見える。


「お兄、あの岩動いてない?」

 マナがそう言った途端に岩が2人に向かって飛びかかってくる。避けると壁に激突した岩はペチャンコに潰れてしまうが再び岩のように隆起して襲いかかる態勢をとっている。


「あれは岩じゃない……スライムだ! ハァ!」

 ケイはスライムに剣で2つに切り裂くがダメージを受けている様子は全くない。それどころか分かれたスライムは左右別々の動きをしてケイとマイに飛びかかる。ケイはスライムの飛びかかりを回避した所をもう1度斬るがまたも分裂してしまう。


 単純な攻撃は効果がないと考えたマイはスライムの攻撃を避けて攻撃はせずに距離をとった。


「なっ……! スライムって無敵なのか!?」

「違う……よく見て、あのスライム他のと違う。中央に赤い球みたいのがある……多分弱点の核かも」


 マイの指摘に目を凝らすと3体に増えていたスライムの内、中央にいるスライムだけ身体の中心に確かに核のような赤い球体が漂っていた。

 倒し方を理解したケイは剣から槍に切り替えると刃を核に目掛けて突き刺した。核が砕けるとスライムはブルブルと揺れだし液体の如く地面に溶けて消えた。


「助かったよマイ。このまま気をつけて進もう」

 マイはコクリと頷き先へ進む。


 スライムの対処が分かったことで2人は出会ったスライムはもれなく全匹倒して進んでいく。道中コウモリも出てきたが敵意はなさそうだったので無視した。


 さらに奥へ進んでいく中、少し開けた場所へと出てきた2人。魚の形をした骨が泳ぐ池を挟んで一本道になっている奥にはケイとマイの身長を合わせたくらいの大きな扉が2人を待ち構えていた。


 ケイとマイは扉を片方ずつ分かれ、力を込めて開ける。鉄の軋む音を立てながらゆっくり開いた扉の先には運動場くらいの広さの部屋。2人がその部屋に入ると扉は勢いよく閉まる。


「あれは……スライム?」

 その中央には小さなスライムが1匹だけおりクネクネ動いている。


「こんな広い部屋にあんな小さいスライムって……プログラムミスでもしたのかね」

 皮肉を言うケイに怒ったのか、スライムはぴょんぴょんと跳ね回る。すると部屋全体が大きく揺れ始める。

 周囲からスライムが続々と湧いて出て来たかと思えば、中央のスライムに集合して融合して大きくなっていく。


 2人の目の前には先程の小さいスライムの面影など何処にもない巨大なスライムが2人の前に姿を現した。


「「デカすぎ……」」


『ジャイアントスライムとの戦闘を開始します』


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ