漸漸之石(引用1:公役の苦しみ)
漸漸之石
漸漸之石 維其高矣
山川悠遠 維其勞矣
武人東征 不遑朝矣
ゴツゴツと険しき岩山、なんとも高い。
目指す山や川ははるか遠く、
労苦は尽きぬ。
武人は東に遠征する。
みかどに拝謁する暇もない。
漸漸之石 維其卒矣
山川悠遠 曷其沒矣
武人東征 不遑出矣
ゴツゴツと険しき岩山、実に険しい。
目指す山や川ははるか遠く、
いつ果てるともなく続く。
武人は東に遠征する。
他の場所に出向く暇もない。
有豕白蹢 烝涉波矣
月離于畢 俾滂沱矣
武人東征 不遑他矣
白い蹄のイノシシが、せせらぎを渡る。
月が畢宿(おうし座)にかかり、
離れていった。
これは、大雨となる兆しである。
武人は東に遠征する。
みかどに拝謁する暇もない。
他の場所に出向く暇もない。
○小雅 漸漸之石
武士が遠征する、その労苦を語る。詩序は幽王の命令と語り、朱子は「何王の時代とかどうでもよくね?」と語る。この作品のテーマとして朱子はオミットするつもりであったが、ここ最近の朱子がツッコミとして実に冴えているので、どうにも無視しきれぬ。困ったものである。
■見ろ、あの惨々たる敵を
晋書125 乞伏熾磐
此虜矯矯、所謂有豕白蹢。
西秦王乞伏熾磐が隣国の吐谷渾と激突、快勝したときのコメントである。「あのザマこそが詩経に謳う、岩山の合間でひーこらしている軍というやつだ」といったニュアンスになるであろうか。同じ連でワンセットになっているのは「大雨になる」こと。逃げ落ちながらアイツラはひーこらするのだ、と言ったのやも知れぬ。
毛詩正義
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