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崔浩先生の「元ネタとしての『詩経』」講座  作者: ヘツポツ斎
小雅 鴻鴈之什

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沔水(臣下の統御)

沔水めんすい



沔彼流誰めんかるせい 朝宗于海ちょうそううかい

鴥彼飛隼いつかひじゅん 載飛載止たいひたいし

嗟我兄弟あーがけいてい 邦人諸友ほうじんしょゆう

莫肯念亂ばくこうねんらん 誰無父母すいむふぼ

 とうとうと流れる川は、

 やがて海へと至る。

 鋭く飛ぶハヤブサも、枝木にとまる。

 あぁ、兄弟よ、国の友らよ。

 国への想いを忘れず、

 擾乱を肯定することなからぬよう。

 父母なき子などいないのだ。


沔彼流水めんかりゅうすい 其流湯湯きりゅうとうとう

鴥彼飛隼いつかひじゅん 載飛載揚たいひたいよう

念彼不蹟ねんかふせき 載起載行たいきたいこう

心之憂矣しんしゆういー 不可弭忘ふかびいー

 とうとうと流れる川は、尽きず雄渾。

 鋭く飛ぶハヤブサも、華麗に舞う。

 気ままに振る舞うものに対しては、

 立ち上がり、裁きを下さねばならぬ。

 ああ、気の重きこと。

 この憂い、忘れるまいぞ。


鴥彼飛隼いつかひじゅん 率彼中陵そつかちゅうりょう

民之訛言みんしかげん 寧莫之懲ねいばくしちょう

我友敬矣がゆうけいいー 讒言其興ざんげんきこう

 鋭く飛ぶハヤブサも、

 あの丘の中ごろに巣を結ぶ。

 民の不届きな言葉、

 懲らしめず放置などできまい。

 友よ、敬意を交えたまえ。

 さすれば讒言なぞあり得ようか。




○小雅 沔水


天子国公の命に従う臣下を描き、次いで従わぬ臣下への対応を示し、最後に再び従う臣下を描く。従わぬものを放置すれば、世はどうなるのか。その実例は枚挙にいとまがない。川の流れやハヤブサは、いわば行政と軍政の二本柱のようにも読み替えられよう。




■沔水=漢水の別称


「沔水」は三国志、晋書、宋書、魏書、いずれにも地名として頻出する。長江最大の支流と言われる漢水、その古名称だからである。

この川のほとりで襄陽の町が港として発展しており、ここから船を浮かべることが叶うと、船で長江まで行き来できてしまう。河北華南のぶつかり合いは、ここに船を浮かべられるか浮かべられぬかで、かなり戦局が変わってくる。そういうわけで戦争がしょっちゅう襄陽の周りで勃発するのである。

史書に登場するのはすべて当詩に絡まず、地名であるため省略いたす。ちなみに調べてみたら漢水の語源となっている漢中と沔水の語源となっている沔とは隣り合う町なのだそうである。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B8%80#%E3%80%8A%E6%B2%94%E6%B0%B4%E3%80%8B

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