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崔浩先生の「元ネタとしての『詩経』」講座  作者: ヘツポツ斎
小雅 鴻鴈之什

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201/326

庭燎(引用5:出仕する者を見守る)

庭燎ていりょう



夜如何其やじょかき 夜未央やびおう 庭燎之光ていりょうしこう

君子至止くんししし 鸞聲將將らんせいしょうしょう

 今はなんどきの夜か?

 夜半には至っておらぬよう。

 すでに庭には灯し火が立てられる。

 官吏が出仕する鈴の音が、

 早くも聞こえ始めている。


夜如何其やじょかき 夜未艾やびがい 庭燎晣晣ていりょうせきせき

君子至止くんししし 鸞聲《らんせい{口歳さい}{口歳さい

 今はなんどきの夜か?

 夜半は過ぎたが、夜明けはまだ。

 かがり火が煌々とともる。

 官吏が出仕する鈴の音が、

 なお一層盛んとなる。


夜如何其やじょかき 夜鄉晨やごうしん 庭燎有輝ていりょうゆうき

君子至止くんししし 言觀其旂げんかんきき

 今はなんどきの夜か?

 まもなく夜も明けてこよう。

 かがり火もいまだ、明るい。

 官吏が出仕するに至り、

 その旗も目視しやすくなってきた。




○小雅 庭燎


天子が次々と出仕してくる官吏たちの様子を見守っている歌、のように見えるな。言ってみれば彼らの精勤を喜ぶ、その象徴の一つとしてかがり火が示されているかのようでもある。これまでの堂々たる威厳を示す詩から一転、一気に落ち着いた風情の天子の慈愛が示されるかのようで興味深い。





■斉の桓公、庭で接見。


三國志21 劉廙裴注

桓公設庭燎之禮而見之。居無幾,隰朋自遠而至,齊遂以霸。


文人皇帝・曹丕が劉廙の文才を気に入り、召し抱えようとした時の話のようである。桓公が人材を求めるにあたり、庭先にともしびを設け、接見した、と言うのである。




■出仕の準備


晋書21 礼下

『咸寧注』:「先正一日,有司各宿設。夜漏未盡十刻,群臣集到,庭燎起火。


晋の武帝が様々な出仕についてのルールを設定した。その初めの条文である。その月の頭には群臣を宿泊させ、水時計が十刻ゴロを示したら群臣を集め、かがり火をともさせよ、と言う。




■書法のお話


晋書36 衛瓘 子衛恆

纖波濃點,錯落其間,若鍾虡設張,庭燎盡煙,嶄巖載嵯,高下屬連。


衛恆は書の達人であり、ここに載るはその書法についての解説であるが、ご覧のとおりよくわからぬ。……ふ、筆の抜き方は、ともしびから立ちのぼる煙を参考にせよ、と言う感じかな?




■どでかいともし火の崩落事故


晋書106

左校令成公段造庭燎於崇杠之末,高十餘丈,上盤置燎,下盤置人,絙繳上下。季龍試而悅之。其太保夔安等文武五百九人勸季龍稱尊號,安等方入而庭燎油灌下盤,死者七人。季龍惡之,大怒,斬成公段於閶闔門。


後趙石虎が皇帝になろうかというタイミングの頃、成公段と言う人物が、どでかいともし火を作った。そのどでかさに石虎は大喜びしたのだが、石虎を皇帝につけたい、と奏上してきた別の部下がやってきたところでともし火の台座が崩壊、七人が死んだ。自身のための儀式に盛大にミソをつけられた石虎は激怒してともし火の製作責任者であった成公段を殺害しました、めでたしめでたし、と言うお話である。




■新年の儀式は盛大に行け


宋書14 礼一

魏司空王朗奏事曰:「故事,正月朔,賀。殿下設兩百華鐙,對於二階之間。端門設庭燎火炬,端門外設五尺、三尺鐙。月照星明,雖夜猶晝矣。」


宋から見れば百五十年ほど昔の魏で正月の儀式ではガンガンに明かりをともせ、外では盛大にともし火を立てろ、と言うお話がありました、と紹介されている。




毛詩正義

https://zh.wikisource.org/wiki/%E6%AF%9B%E8%A9%A9%E6%AD%A3%E7%BE%A9/%E5%8D%B7%E5%8D%81%E4%B8%80#%E3%80%8A%E5%BA%AD%E7%87%8E%E3%80%8B

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