降臨するは、○
米沢 健司。同じ学年の生徒であり、普段から素行不良で何かと問題を起こす彼は、この学年一の問題児だ。
『すみません、わざとじゃ無いんです。考え事をしてしまっていて、、。』
『あぁぁん?考え事だ?』
嫌な奴に目をつけられてしまった。どうするか、、。
『何かあった?』
どうやって切り抜けようか思考していたところ、第三者から声が投げかけられる。声の主は、吉野くんだった。
『私の不注意で、彼にぶつかっちゃって、、。』
これに乗らない手はない。彼に状況を説明し、仲介役を担ってもらえれば、、
『そうだったんだ。二人とも怪我はなかった?隣のクラスの米沢くんだよね?ごめんね。彼女もなにも悪気があった訳じゃ無いんだ。』
『お、おう、、』
まさか自分も怪我の心配をされるとは思わず、吉野くんの善意オーラに当てられ、怯む彼。
『すみませんでした。』
『まぁ、俺も周りが見えてなかったかもだし、、怒鳴ってすまなかったな。』
案外彼も根の部分は優しいのかもしれない。怒りっぽい、というだけで。
『とりあえず怪我がなくて良かったよ。』
そう言って吉野くんは優しく笑いかけてくれた。
♦︎
『彰、、人間ってのは常に何かの集団に属している生き物だ。学生は学校に、大人は社会に。俺とお前は共に家族という集団に属してる。そして、そこに属するものがお互いに干渉し合い、時にはぶつかり、時には協力して、切磋琢磨しながらも、それぞれの目標を目指す。決して一人ではない。兎は寂しいと死ぬ、というのは嘘だが人間の場合あながち間違いでもないな。』
『へぇ〜、そうなんだー。』
へぇ、どうでもいいや。
自宅で夕食中、いつものように親父が一人語りを始めていた。
『、、彰。』
急に真剣な顔つきになった親火。
『母さんいなくて、寂しくないか?』
『、、いいや、別に。』
『、、そうか、あのな、、』
ピンポーン♪
うちのインターホンが鳴り、会話が途切れる。
『私が出よう。』
無言でうなずく。もとより俺が出る気はなかったが、、
今日の夕食は中華の定番、ホイコーロー。少し濃い目の味付けが、ご飯をかき込む手を加速させる。
『彰〜、ちょっと玄関まで来てくれ。』
なんだ?配達か?荷物を運び込むのはいいが、ホイコーローが冷める。
『今行く。』
玄関まで行く。
『へ?』
思わずだらしない声が出てしまった。
親父がはにかんだような顔でこちらを見る。
『、、再婚、することにしたんだ。良かったな、妹も出来るぞ。』
玄関には親父以外にもう二人、女性とその背後に隠れた少女がいた。
きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ