表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前提が間違ったラブコメ  作者: rice in tonjiru
第一章
2/13

噛み合わない二人

酷い目に遭った。本屋帰りに不良に絡まれるとは。お陰で急行電車に間に合わず、帰宅時間が15分も遅れた。不幸中の幸いだったのは、仲間内で言い争いを始めてくれたので、そそくさとあの場を立ち去れたこと。そういえばなんか女の子もいたっけか?あんな奴らと連むなんてろくな女じゃねぇな。


そうそう。昨日買った小説は楽しみました。あの小説考えた作者マジ神。今巻のラストも猛烈に熱い展開だったし、次の巻も気になるし、作者サボってねぇで早く仕事しろや。


今日も今日とて朝から満員電車にゆらゆらと揺られ学校へと向かう。毎度この満員具合には辟易させられる。もし過去に戻れたなら、地元かせめて下りの共学にしておけという。


最寄りの駅に着き、乗客を蹴散らして(ペコペコ頭を下げて)道を開け下車。最寄り駅から学校までの距離はあまり無い。五分とかからず到着だ。


学校へと着き、自身の教室の自分の席へと腰をかける。普段授業は自分の興味あるものだけ真面目に受けるようにしている。やっても使わなかったら意味ないしね。教室から窓の外を見遣ると都内の景色を一望できる。雲がのんびりと空を揺蕩っているのを横眼に、放課後することをのんびりと考えていた。






♦︎

帰りのホームルームが終わり、これにて本日も下校となる。この後は暇な授業時間を使って作成していた放課後スケジュールに沿って動いてゆく。とは言っても毎度毎度する事はある程度決まってはいる。学校の図書館で本を読んだりとか、昨日みたいに本屋へ行って本読んだりだとか。たまにとっとと家に帰ることもあるが、帰ってすることもまぁ読書くらいなものである。今日は昨日同様、本屋で読書と決めていた。


平日のこの時間でも客足は割といるものだ。俺と同じ思考に至ったらしい学生さんもたまに見かける。エスカレーターを下って目当ての売り場へと行く。天井付近までびっしりと並べられた本棚には毎度感嘆の溜め息である。幾つかめぼしいタイトルの本を手に取って眺める。こうしているだけでも割と楽しめるのが本屋のいいところだ。


『あ、あの。』


突然後ろから知らない女に声をかけられる。年齢は俺と同じくらいだろうか。整った顔立ちに、腰まで伸びた黒髪。なんか恋愛小説のヒロイン枠に出てきそうな美少女だ。周りには誰もいないし俺はこの女と初対面である。こんなにも整った顔立ちの少女ならば、おそらく一度見たら忘れないだろう。ならば答えは簡単だ。


『すいません人違いです。』


『うえぇ?』


羞恥からか奇声を発する美少女を背に俺はその場を離れた。






♦︎

私は今日も昨日同様本屋さんに来ていた。別に何か買いたかったわけではない。昨日私はここからの帰り道、三人組の不良に絡まれてしまった。その時に颯爽と現れ、私を逃してくれた男の子に、私は恋をした。たぶん。

今まで生きてきた中で異性の男の子相手に好意を抱いたことは無かった。高校に入学して初めてそういうことに興味が生まれ、お友達に貸して貰った恋愛小説を読んでいるうちに恋をすることに憧れた。しかしながら、自分が通っている学校は男子とはほぼほぼ無縁の女子校で、他の高校の人となんて関わりがないし、あくまでも自分の抱いた憧れは理想の中であった。そんな時、小説に出てくるワンシーンのように私を助けてくれた彼と出会ったのだ。そんな彼に恋心を抱かないわけがない。その彼ももしかしたら私のことを想ってくれているかもしれないし。そう考えると自然と体が熱くなった。そんな彼との出会いがあったものの私は彼のことを何一つ知らなかった。いや、一つだけ。昨日彼は私と同じくこの書店で買い物をしていた。その証拠に彼が手にしていた袋はここの書店のものだ。

そんなわけで会えるかも分からず、しかし取り敢えず放課後すぐにここに来たわけで。


暫くうろうろと周囲を見回し彼を探したが、見つかることなく。


『あ、、』


間違いない彼だった。


エスカレーターを降りていく彼の後ろ姿を捉え、私は素早く彼の後を追った。


私は遠目から彼のことを見ていた。じっくりと本を眺める彼に声をかけるか迷ったが、私は足を踏み出し、、


『あ、あの。』


恥ずかしくなって彼の顔を直視出来なかった。


『すいません人違いです。』


彼の答えに思わずだらしない声が出てしまった。おかしい。間違いなく昨日の少年の筈なのに。


頭の中で様々な考えが錯綜するが答えは一向に出ず。


『、、あ。』


私が再び彼の方を向いた時、そこには既に彼の姿はなかった。






♦︎

さっきは危なかった。男子校に通っていると女子に免疫がなくなるので、小説のヒロインにいそうな美少女に声をかけられた時には思わずニヤけそうになってしまった。なんとか耐えて戦線離脱を図れたがほんと危ない。共学に通っている女子慣れした奴らと違い、異性と普通に会話出来る特殊能力など持ち合わせていない。ほんともう何度目か分からないが、俺は男子校にしてしまったことを心の中で悔いた。

主人公は女子に、というよりは“恋愛“に興味がある。


ヒロインちゃん一号は優柔不断。二号は、、

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ