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前提が間違ったラブコメ  作者: rice in tonjiru
第一章
12/13

決別

鈍い打撃音が路地裏に響く。


最初は目を疑った。


音のした方を見ると、あのケンジが一撃でのされていた。


『あり、得ない、、。』


吉野 和也は、思わずそう呟いた。






♦︎

なんだぁ、今度は痴話喧嘩?前の方では何やら二人の男が一人の女を取り囲んでいた。


そっと避けて、今度こそ帰、、る訳には行かないな。


目を逸らそうとしたが、彼女の瞳と目がぶつかってしまう。


それは、明らかに助けを求める視線。


ほんと、今日は散々な目に遭う。そういえば、前もこんなことがあったなと思い出した。


まぁ、たまにはこんな日もある。


相手の男の一人がスタンガンを手に持つ。ナンパにしては物騒過ぎる。


向こうは敵対心を此方に向けている。


初対面の奴に警戒してスタンガン向けてくるって、警戒心が強いとかの問題じゃない。


おそらく、さっきキレてのしてしまった彼の仲間なのだろう。


先程の彼よりはまだ話は通じそうだが、、


『クッソ、一体なんなんだよ!』


そう言ってもう一人、素手の方の奴が殴りかかってくる。


拳で語るってか?


バックステップ、右に逸れる、左ストレート、鳩尾を打つ。


『があっっ、、』


怯んだとこをすぐさま手刀。狙うは首筋。


小説みたいに気絶、とはいかないか。


『、、はっっ、クソっ。』


実験台はもう一人いるので君には退場してもらおう。


手刀を振り下ろした形からそのまま真上に切り返し、手の甲で顎を打ち上げる。


まだ足りない。そのまま左手を振りかぶって、、


首トンよりも確実に脳震盪による気絶を狙える方法。それは、相手の顎を強打すること。


打つ!!


限界まで引き絞った体を引き戻し、遠心力による加速で最大限の威力となった掌底を放つ。


『ガッ?!』


後ろに吹き飛ぶ形で倒れ、そのまま意識を失う。


あと一人ぃぃ。






♦︎

目の前で仲間が急所を全力で打たれて気絶した。


残るは自分一人。


何故か手刀の構えで、右手を中空でブンブンとさせる少年。


それに、この強さ。


吉野 和也は納得した。


彼はおそらく“組織“の上層部の人間。


流石の情報網というべきか、自分たちのしくじりを知り、切り捨てに来たのか。


それにしてもあまりに早いが、、


組織の恐ろしさを改めて実感した。


お前たちは使えないからもう要らない。そう言って警察署にポイ捨てされる。


それが切り捨てられるということ。


無能な味方ほど、恐ろしいものはない。


自分たちは、組織にとっての不要物と判断されたのだ。


警察に組織のことが漏れる心配があるのではないか?


それはない。組織の力は警察の一部にまで行き届いている。


もし、組織についての情報を漏らしたことを知られれば、、間違いなく消される。


元々は遊びだった。


友人(玩具)を使ったただの遊び。


だけど、自分たちは踏み込んで過ぎてしまったのかもしれない。


それだけに組織に加入することには魅力があった。


はあぁぁ、ほんと、しくじったなぁ。


少年が近づいてくる。


少年の手刀が彼の首筋を捉える前に、吉野 和也は手にしたスタンガンを自身に当てて、、






♦︎

残るは首トン実験要員が、突然自分にスタンガンを使って気絶した。


嘘だろこいつ。


首トンって割と危ないから中々試せないんだよね。


今日は災難だったが、首トン練習要員みっけられたじゃん!ってプラス思考に切り替えた。


最後の人は気でも狂ったのか、勝手に気絶しちゃったけど。


静けさが戻った路地裏。


残った一人の少女が、腰を抜かしたのか、地べたに座っていた。あと、何故か手が首筋に当てられていた。


地面に手をついて、尻餅をつく彼女は、なんというか、見るのに困る。


顔を逸らしながらも、手を伸ばしてあげた。


少しの間はあったが、彼女の手が俺の手を握り、彼女は立ち上がった。


『、、あ、あの、、ありがとう。』


『、、どういたしまして?』


ありがとうと言われたら、どういたしましてと返す。お袋から言われた言葉だ。


『えーと、じゃあ。』


『あ、待って!』


早く帰りたかったので、別れを告げると彼女に制止させられる。


彼女は気狂いスタンガンくん(名前知らない)に近づいていき、何かを呟くとまた此方に戻って来る。


『あ、もう大丈夫です。』


何が大丈夫なのだろうか。


俺が歩き出すと彼女もまた俺の隣についてくる。千秋ちゃんかよ。


『あのっ、お名前はなんて言うんですか?』


『、、千宮 彰。』


『あ、私は胡桃沢 景って言います。』


それから彼女からは、連絡先や住所やら色々聞かれたので全部適当に答えておいた。


それから駅に着いて再び礼を言う彼女と別れ、遂に、俺は帰宅することができたのだった。






♦︎

手を差し伸べてくれた少年は、どこか見覚えのある顔だった。


そうだ。通り魔の時の、あの時の少年だ。


彼の手を取り、私は起き上がる。


自分でも情けないほどに体は震えていた。


何というか、助かったのは幸運に過ぎない。


一時の感情に左右されたとは言え、無警戒にもあり過ぎた。


もし彼が通りがからなかったら、そう思うと顔が青ざめるばかりだ。


それでも、幸運にも助かった。助けられた。


向こうの方で気絶する黒髪の少年を見る。


無防備な彼の顔は、純真無垢といった感じで、先程まで露わにしていた人を蔑むような感じは見られない。


私は彼に近づく。


私が初めて好きになった人、好きだった人。


彼の本心を知って、悔しくて泣いて、悲しくて泣いて、、


例え危険を犯したとしても、


最後に伝えたかった。


後ろの方で佇む少年に聞かれないほどの小声で。


『私は、あなたのことが、大っっ嫌いよ。』


私は眠る彼にそう言って、決別した。

主人公ガ思ッテタヨリ強クナッタヨ。物語ガ路線変更ドコロカ脱線シテイクヨ。組織ッテナンダロウネ?ラブコメッテ、ナンダッケ?果タシテ上手ク纏マルカナ?オ先真ッ暗デ、書キ進メルヨ!!

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