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ショートショート4月~

約束をしました

作者: たかさば
掲載日:2020/04/01

とても、とても悲しいことがあったのです。


とても、とても乗り越える自信がなかったのです。


とても、とても長い時間が過ぎたのです。




そういう過去が、あったのです。




今、私が思うのは。




あと、20年後まで、生きていなければならないということなのです。








あの日、私は、心を閉ざしました。


あの日、私は何も見えなくなりました。


あの日、私は消えたいと願ったのです。




でも、消えることは、できないのです。




あの夜、私は一人、町へと出ました。


私の求める、誰かを求めて。


あの夜、私はただ、歩き続けました。


私を求める、誰かを求めて。




あの夜、私は、足を止め、ふと、縁石に、腰を下ろしたのです。




長い時間、そこに、一人、いたのです。


長い時間、そこで、何も考えられず。


長い時間、そこから、動き出せなかったのです。




おねえさん。


どうしたの。


だいじょうぶ。




見ず知らずの、青年が、私に、声を、かけたのです。




真夜中三時半、一人で座っている私を見て、


真夜中三時半、一人で歩いていた青年は、


真夜中三時半、躊躇うことなく、声をかけたのです。




私は、何も言えず。


私は、足元を見つめ。


私は、顔をあげ、こたえました。




わたしは、


人を、


待っているから。




そっか。


はやく。


かえりなよ。




青年は、立ち去りました。




私の待ち人は、私を思ってくれる、誰か。


私の待ち人は、私が思う、誰か。


私の待ち人は、この世界にいない。




私の待ち人は、ここには来ないと、私は、知っていたのです。




待っていても来ない人を、待ちたいと思ったけれど。




待っていても、待ち人は、来ない。




待っていても来ないなら。




待たないでいいよね。




だれもいない。


私は、一人。


だれもいない。


私は、一人。




だれもいないけれど。




私に声をかけてくれた人がいる。




帰りなさいと言ってくれた人が、この世に一人、確かにいた。




今、私は一人だけれど。


今、私が生きていくことを決意したならば。




いつか。


私は。


今の私を振り返ることができるようになるでしょう。




誰もいない私は、自分に約束をしました。


この世界に、私が、一人だというのであれば。


私自身が、私に、約束しましょう。




私は、私を、見守る。


私は、私を、認める。


私は、私が、好き。




あの時、私は約束をしたのです。




60歳になった自分に、約束をしたのです。




今から必ず生きていくから。




60歳になったときに、私にメッセージをください。




今、私は生きているよと。


今、悲しい気持ちを乗り越えて、生きているよと。


今、私は、25歳のあなたを思っているよと。




長い夜を過ごした私は、


新しい朝を迎えました。




朝を迎えた私は、生きることができました。




いつの日からか、私はメッセージを送るようになりました。




今日は気分がいいよ。


今日はいいことがあったよ。


今日は涙が出たよ。


今日は少し落ち込んだよ。


今日は誰かを励ましたよ。


今日は自分をほめたよ。




40歳の私も今、25歳の私に、毎日メッセージを送り続け。


40歳の私も今、25歳の私を、応援し。


40歳の私は今、25歳の私が、40歳まで生きることを知っている。




悲しい気持ちを思い出す日はあるよ。


悲しい気持ちでつぶれそうになる日もあるよ。


悲しい気持ちは思い出すものになるよ。




あの日の悲しみを思い出して、


あの日の悲しみに飲まれることなく、


あの日の悲しみを持ったまま、今、生きているからね。




私が60歳になった時。


私は25歳の私を思うでしょう。




25歳の私が60歳の私にお願いをしたように、


60歳の私も、25歳の私にお願いをするかもしれません。




何をお願いするのかは、60歳になるまで、わからないのです。




だから私は、あと、20年、生きていかなければ、ならないのです。



今日は、エイプリルフールですね(o≧▽゜)o

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人生へのエールですね。 60歳何を思うのか。私も今から待ってます。
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