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テンプレだから 悪いってわけじゃない

 エッセイというジャンルで所謂「テンプレ批判」が頻繁にランクインしています。

 ちなみに、ここでは「ハイファンタジー」ジャンルのテンプレを前提にしております。

 エッセイの内容としては「テンプレのここがだめ、変だ」という創作論的なものから「テンプレばかりランキングを埋め尽くし、小説家になろうはつまらなくなった」というサイト全体への問題提起、はたまた「テンプレばかりで小説出版に辟易としている」というような出版業界を嘆くものなど様々。

 そしてそのエッセイに賛同する感想もまた多いです。


 ただ、そういったエッセイのほとんどが、どうしてテンプレが、特に最近の量産されているものがつまらないかを語ってはいても、どうすればいいかという解決策を語ってはいない印象です。

 たとえ解決策を語ってはいても、「ハーレムが変」だとか「無双では展開が淡泊」とか、ダメだしをしたうえで、それを“やらない”という消極的なものが多いです。


 テンプレ作家だって、より多くの読者に面白いと思ってもらうために苦心はしていますが、こういう意見はアイデンティティーを完全に潰すだけで、参考にならないでしょうし、両者の意見はずっと平行線のまま。


 そこで、このエッセイでは、非テンプレ派の不満の種を見直して、こうすればテンプレ作品でも非テンプレ派の人も楽しめる作品になるのではという提案をしたいと思います。(ぶっちゃけ、私が読みたい作品が増えて欲しいだけなんですけどね)



 それは何かというと、ファンタジーの『世界観』を大事にしませんか? ということです。



 出ました。世界観! ふわっとして便利な言葉!

「世界観がいいですね」とか「世界観を統一しなきゃ」とか、何度も聞いて、なんとなく分かるよ~な、分かんないよ~な感じの言葉ですね。

 この『世界観』については後ほど説明します。

 まずは非テンプレ派の不満の種を見直してみましょう。


 さて、テンプレを問題視する人は、大体――


「どこかで見た色んな設定をつぎはぎしただけ」

「展開がみんな同じ」

「ハーレム、最強、Sランク、転生……etc 捻りがない」


 なんてことをおっしゃいますね。

 小説を面白くする要素として、心理描写や情景描写、キャラクターの魅力など様々な要素があり、これらが不出来であることに対する批判はテンプレでなくても共通するので除外して、つまるところ問題視する人の批判は“飽きた”ということでしょう。

 飽き、つまりワクワクしないんですよね、読んでて。

(私もそう思います。オラ、ワクワクしてきたぞ! ってならない……)


 では、非テンプレを書けばいいのか。

 しかし、批判している非テンプレ派の人からするとそれも違うようですね。


「テンプレでも面白い作品がある」



 非テンプレ派の人の常套句です。そして――



「テンプレでも面白い作品は文章力が違うんだよ」


 って続きます。




 なんやねん、「文章力」って。



 文章力とは、おそらく、先ほど言った心理や人物の描写、構成など物語を面白くする要素を複合的かつバランスよく表現できる力といったところでしょうか(私の解釈です)

 言ってしまえば、小説を面白く書ける力、ってことですかね。

 これも便利な言葉……。


 もちろん文章力が高ければ面白いものが描けるでしょう。でもそれは、テンプレでなくてもいえること。

 テンプレを書く作家様も「そんなの分かってるわい!」って思いますよね。

 それに例え文章力があったとしても、非テンプレ派の人が抱える“飽きた”という不満は消えないでしょう。

 そこで、もう一度提唱します。



『世界観』大事にしませんかあぁぁぁぁ!!



 世界観と聞いて、「いや、剣と魔法の世界にしてるよ。ギルドもあって町はRPGみたいな中世ヨーロッパだ」とか「モンスターもゴブリンとかオークとか出てくるし」とか、ちゃんと世界観大事にしているって思うかもしれません。


 でも、私が言いたいのは“ファンタジー”として世界観を持っていますかということです。


 考えてみてください。

 ドラゴンボールやワンピース、ドラゴンクエスト、FF、指輪物語やハリーポッターなど、名作と言われるファンタジーに、いつも“摩訶不思議”がありませんでしたか?


 話の展開や設定、キャラクターに目を奪われがちですが、主人公が行った場所で、常に燃えている山とか雲の上に住む民族、100個も味のあるビーンズなどなど、見たこともない光景や文化がそこにあったのではないでしょうか。

 そして、そういった“摩訶不思議”に接して読者はワクワクしたんじゃないでしょうか。


 決してRPGでおなじみの皆が知っているものを使うなとは言いません。

 しかし、剣や魔法、モンスターだけがファンタジーではありません。

 せっかく読者として異世界に行ったなら、食べ物、民族、風景、生物、様々な見たこともないものを経験したいじゃないですか。

 それらを見て、味わって、感じた主人公たちの反応が面白いじゃないですか。


 今のファンタジーに、特にテンプレ作品に欠けているものは、この“摩訶不思議”な要素だと私は思います。

 スキルや魔法体系やランク、ステータスを一生懸命考えるのもいいですが、先に述べてたような “小物”も考えて創造してみて欲しいんです。

 1から10まで異世界の全てを作る必要はありません。少しでいいので、独自のファンタジー要素をもった小物を創作してみてください。


 その“小物”の積み重ねが作者独自のファンタジーな『世界観』に繋がると思います。

 そうした世界観ができれば、“飽きた”とテンプレを批判する方々も、幼少期ファンタジーを読んで感じた“ワクワク”が戻ってくるんじゃないでしょうか。


 だからテンプレを書かれている作者様には、テンプレのままでいいので、自分のファンタジー世界を細かなところで演出して欲しいです。

 想像力を働かせましょう。

 “幻想ファンタジー”とは人の想像力が作り出すものなのですから。




かっこつけて締め括ったけど、私が読みたいファンタジー作品が増えろって結論です。

あと、結局、細かな世界観の演出も文章力じゃんって突っ込みはご遠慮ください(^_^;)


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― 新着の感想 ―
[良い点] ファンタジーにとって世界観って大事ですよね。僕が好きなストーリーはテンプレでも非テンプレでも世界観が独自性を出している作品です。作者様のエッセイを見てすごく納得しました。 [一言] 僕はど…
[一言] 設定て大事ですよね。商業で売れてるモノも細かいところや「こういう世界なんだよ」というところがしっかりしているものが多いですし。 ただその場合一見さんお断りになるのが問題ですが。 某神座やら都…
[良い点] これを読んで、「あーっ! 異世界モノなのに、小物粗末に扱ってたわー!」と、深く反省しました。 「摩訶不思議感」、ファンタジーでは大事ですよね。 最近読んだ中では、「ウチの娘」とかが、細…
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