ゲーム開始(キャラクター作成)
5/4 加筆と変更(ステータスの説明追加)
5/5 加筆と変更 人工知能AI名前変更 アイ→アンナ
時刻は朝の7時。
愁は朝の日課も終わり、朝食を作っていた。
そこへ愁の姉がリビングに来ると、まだ寝起きのせいか少し眠そうにしながらテーブルに座り、愁の方をしばらく見ていると愁の様子が疑問に思ったのか話しかけてきた。
「ふぁ~、どうしたの?なんかご機嫌みたいだけど?」
「まあ、今日はちょっとだけ楽しみがある日だから」
「ふ~ん、珍しいわね。私は今日出かけるから帰るのは夜になるけど、…引越して早々に近所迷惑はないようにしてよ」
あまりに俺のテンションが高いのが不安なのか、心配そうに姉さんが忠告してきた。
「大丈夫だよ。近所迷惑にはならないことは保証できるから」
ゲーム中はベットに横になっているだけだから、騒音問題なんかは絶対に起こらない。
「それならいいけど、・・・今日何かあったかしら?あんたが喜びそうなことなんて・・・」
姉さんが呟きながら目線を合わせてきて、あごに手を当てながら考えていたようだが思い当たらなかったのか、俺が朝食をテーブルに持ってくると同時にまあいいわと一言呟いた。
「ほら、朝ご飯できたよ。今日は野菜とフルーツのミックスジュースとフレンチトーストか卵焼きサンドの二つ作ったけど、どっち食べる?」
姉さんは甘いものが好きだからたぶんフレンチトーストだろうなと思いながら、ミックスジュースを2人のコップに注いでいた姉さんが見比べれるように見せた。
「フレンチトーストを食べるわ」
やっぱりと思いながらフレンチトーストを姉さんの前に置くと、自分も席についた。
「了解。それじゃあ、冷めないうちに食べよう」
『いただきます』
~~~
朝食を食べ終わり後片付けをした後、部屋で出かける支度をしていた姉さんが9時すぎに家を出るとようやく家で一人になる時間を手に入れた。見送る際にはもう一度近所迷惑をかけないように忠告されたが、確信を持って笑顔で大丈夫だと言ったはずなのに逆に不安そうな顔をされた。
そして部屋に戻り、VR機器の確認やセッティングをしてからゲームの公式HPを見たりして時間をつぶしていると、朝から待ち望んでいたゲーム開始時刻が訪れた。
「いよいよ始めることが出来るな。このゲームでなら確かめられるはずなんだ。今の俺に不足している事を・・・。あと、10秒…3、2、1、0、よし行くぞ!ゲーム起動」
開始時刻の午前十時になったのを確認すると、ベットに横になり目を閉じてからVRゲーム機のスイッチを入れる。
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「ん、真っ暗なんだが・・・」
体感で30秒くらい真っ暗のまま立っていて、ゲームの起動に失敗したのかとか不備があったのかとか不安になって来た頃に、前方から女性の声が聞こえた。
「目をあけてください」
「ん?・・おぁ・・・・・・・・・・・」
声に従って目を開けると、さっきまで自分の部屋にいた時からは考えられない景色が目の前に広がっていた。
目の前に見える光景は足元から見渡す限り草原で、はるか遠くには森のようなところがあり、さらに奥にはとても高い山が連なっている。さらには、さっきまで部屋の中にいたはずなのに空には雲と太陽があり、草原を吹き抜ける風が草や土の匂いを感じさせる。
ここがとてもゲームの世界だとは思えなくて、さっきまで自室にいた事実がなければ、いきなり別世界に来てしまったのだと言われても信じられるほどだった。
「すごいな・・・・・・・」
少しの間目に見える景色を見て、あまりにもリアルな為に放心していた。
「そういえば、さっき聞こえた声の人は?」
声は前から聞こえたはずなのに見当たらないと思い探そうとすると、再び声がかけられた。
「こちらです」
今度は自分の右後ろから声が聞こえたから声の聞こえた方向に振り返ると、160㎝くらいの伸長で首にスカーフをまいたどこかの受付嬢みたいな服を着た美人な女性がいた。そして、さっきの事で少し気になったことがあるので訪ねてみた。
「ちょっと聞いていいかな?」
「はい、どうぞ」
女性は微笑みうながした。
「さっきは前のほうから声をかけられたと思ったんだけど、いつの間に後ろに?」
「お答えいたします。開発陣の者から最初に景色を見て楽しんでもらうときに、自動的に私は消えて少し後にプレイヤーの後方へと再度現れる仕様となっています。これは開発者の提案で、まずはこの現実と思う様な景色を見せてこの最高のゲームをプレイする人たちを驚かせてやろう、とのことです」
「そうか・・・はは、本当に最っ高だよ。確かに驚いたし感動した!最高の演出だよ。ありがとう‼こんなに現実と遜色ないとは思わなかった。調べていてPVで見たりしてはいたけど、まさかここまでとは思わなかった。これでこそ目的を果たせる。本当に感謝するよ」
愁は、目の前の女性と空に向かってお礼をしていた。そしてこの時、愁のテンションはこのゲームを先行プレイで出来るようになった抽選発表の時と同じかそれ以上に気分は上がっていた。
「こちらこそ、この度は【セカンドワールドライフ】をプレイしていただき誠にありがとうございます。次はゲームの操作キャラクター作成を開始しますが、準備はよろしいでしょうか」
「いつでも大丈夫なんだけど、あと一つだけいいですか?」
「はい」
「俺は真城 愁。これからの説明、よろしくお願いします」
「・・・」
あれ?ただ普通に挨拶しただけだよな。おかしいことないよな?反応ないんだけど、大丈夫か。
「・・いえ、こちらこそよろしくおねがいします。私は人工知能AIで名前はアンナといいます。注意事項がございます。ゲーム内において本人だと身バレするような発言は控えるべきです。特殊な事情を除き、当社は一切責任を負いません。ご了承ください」
「あ、そういえば・・・。すいません、忘れてました」
あまりにも気分が上がりすぎてインターネットの常識を忘れていた。多人数が参加するゲームなんて初めてだから最低限は調べていたのに、せっかく調べたのに意味のないことをしてしまった。今後はちゃんと注意していかないといけないな。
「それでは、操作キャラクターの作成を行います。まずこちらがデフォルトのデザインとなりますが、顔,体,身長,体重,色,声,各項目を細かく設定することができます。このゲームではご自身の姿をベースに作ることも可能ですがプレイヤー同士が知り合いの場合には、本人だとわかる危険があるため推奨していません。さらに、身元が分かったことによる責任問題はこちらの意図せぬ事態以外は自己責任となります。ご了承ください」
アンナが言い終わると同時に、俺の2m前にデータの転送みたいなエフェクトとともに一人の男が現れた。デフォルトのデータは何処にでもいそうな20歳ぐらいの男のデザインで、来ている服は上下とも何かの動物の皮や毛で作られた小麦色の服を着ていた。
さて、キャラクターの作成で身バレの可能性か。日本中で先行プレイ中の1000人の中に知り合いがいるとは思わないけど正式サービス開始したら分からないからな。でもここまでリアルだと極端に体が変わったりすると違和感とかありそうなんだけど、そのあたりもどうなっているか聞いておくか。
「質問なんですけど、身長、体格、体重が変わることによる違和感とかはあるのですか」
「体格、体重変更による違和感は元の体より極端に変えなければ違和感は少ないと思われますが、身長は大きく変えると違和感が強いと思います。今まで見えていた景色が変わるので、慣れるまでは違和感が続くと思われます。同じように声を変更した場合も、聞き慣れるまでは多少の違和感があるかと思います」
「そうですか。わかりました」
やっぱり変えると違和感があるんだな。でも元からあまり変えるつもりはなかったからな、身バレの危険なら髪の色を変えるぐらいでも大丈夫だろうし、自分の体で動かすことが出来るという情報があったからこのゲームを絶対にやろうと思ったわけだからな。
アンナさんには自分の体をベースにすることを伝えて、髪の色だけ自分が見て違和感がないぐらいの黒から薄く黒茶色が混じった髪に染めているというにしてキャラクターが完成した。
「これでいいです」
「髪の色を変えていますが、よく会う人や親族などにはわかる可能性がありますが大丈夫ですか。声の変更も出来ますが」
「いえ、これで大丈夫です。声の変更もしなくていいです。全く知らない他人にばれなければ大丈夫なのでこれでいいですよ」
知り合いや身内でも俺がゲームをしているだなんて誰も思わないだろうからな。唯一知ってるのは昨日話した純だけだろうけど、話してる時はあまり興味なさそうな感じだったから大丈夫だろう。
「わかりました、データをリンクします。少々お待ちください・・・・・完了しました。確認してください」
自分の体が少し光った後に体を見てみると服装がさっきまで目の前にいた男のものと同じになり、目の前には姿見の鏡が現れていた。鏡を見てみると髪の色を少し変えただけでも見慣れていないせいか少し違和感があるが、これはそのうち慣れるのだろう。問題は体の方なんだが、見た限りはいつもと同じなんだがいつもより動きにくくて体が重いような違和感があるな。
「キャラクターの外観の作成は、こちらの姿で確定してよろしいでしょうか」
外観の設定は大丈夫だけど、この違和感は何とかしたいな。でもあの設定が本当に出来るなら、この違和感も消えると思うから今はこのままで進めてもらうとするか。
「大丈夫です、進めてください」
「それでは、データリンク固定・・・完了。次は名前の入力です。注意事項として、本人だとわかる名前や実在する人物の名前、誹謗中傷の可能性がある名前は基本的に使用できません。またそれ以外に、名前を見た人からの報告等により運営が改名の案内を送ることがあります。ご自分でご希望の名前はありますか」
名前か。色々名前を考えてはいたんだがここまで仮想世界に違和感がないとなると、違う名前で呼ばれた時に反応できそうにないんだよな。慣れればいいんだろうけど、出来るなら自分の名前をカタカナにして使えるかどうかを聞いてみるか。それが無理だったときは考えた名前の中から決めるとしよう。
「では、名前はカタカナで『シュウ』でお願いします」
「わかりました、確認いたします・・・大丈夫です、そちらの名前は使用できます。名前は『シュウ』でよろしいですか」
良かった、使えるのか。色々考えていたんだが杞憂に終わってよかった。
「はい、おねがいします」
「登録完了しました。それでは、次の説明です。自身のシステム画面、ログアウト画面の確認方法とお金の取り出し方やステータスの説明です。まず自身のシステム画面の確認方法ですが、見えている景色の右下に丸いアイコンがあると思います。そちらを、顔は固定したまま手で触るように動かしてみてください」
「わかりました」
言われたとおりに操作すると、視線の前に各種アイコンが現れて、現在表示されているページの説明とアイコンの説明が表示されていた。
***
プロフィール・・・ゲーム内での名前やロール、現在進行しているクエストなど
ステータス・・・能力値やロールの詳細
スキル・・・自身が今覚えているスキルの一覧
アイテム・・・自身の所有物
フレンド・・・友達登録リスト
オプション・・・各種設定やヘルプ
ログアウト・・・ゲーム終了
所持金21000ベル
***
「表示された画面にも説明が記載されていると思いますが、見えている画面はタッチパネル形式となっております。対応したアイコンを触ることにより詳細な情報がわかります。そして、一番下のアイコンがログアウトです。このゲームでは、町などのセーフティエリア以外では基本はログアウト中もこちらに体が残ったままになる為、安全な場所でのログアウトを推奨しております。そのこともヘルプには記載されていますので、その他にも気になった事があった場合はご参照ください」
なるほど、これがログアウトボタンか。触ると「ログアウトしますか?はい(Yes)、いいえ(No)」と文字が出てきたので、いいえを押して最初の画面に戻した。
「では、次はお金の説明を致します。ログアウトアイコンの下に21000ベルと表示されているのが確認できるかと思います。そちらが、現在持っているお金の全額です。お金を使用する場合は、金額が表示されている部分を触りながら取り出す金額を言えば実体化されます。同じようにしまう場合は、お金を持ったまま表示されている部分に持っていくと自動的に収納されます」
「1000ベル、おぉ」
実際に試してみると、見たことのないマークが彫られた500円玉くらいの大きさのコインが2枚現れて言われた操作をすると収納することも無事にできた。
「お金の操作も問題ないようなので、ステータスの画面の説明を致します。アイコンの中にデフォルメで人の体が描かれたマークがあると思います。そこを押していただくとステータス画面が開きます」
言われたとおりにさわると目の前にステータスとその項目の説明が書かれた画面が表示された。
***
ステータス
ロール
・・・記載なし
称号
・・・記載なし
スキル
・・・記載なし
フィジカル(physical)
STR / Strength・・・ 5
攻撃力,力(筋力),武器装備に関係
INT / Intelligence・・・ 5
知力、魔力、魔法攻撃力に関係
VIT / Vitality・・・ 5
スタミナ(体力),防具装備に関係
AGI / Agility・・・ 5
素早さに関係
DEX / Dexterity・・・ 5
器用さ,武器装備に関係
ポイント・・・10P
***
「現在は記載されていない項目もございますが、ゲームを進めていくことで記載されたり項目が増えることもございます。そしてフィジカルの項目ですが、初期能力値の設定は割り振りポイントにて自由に割り振ることが可能です。ゲーム内の出来事や経験による成長にてポイントがもらえるので、キャラクターを強くすることが出来ます」
「ですが貴方は現実の体をそのまま生成しているので、現実に則した能力値の同調が可能ですが、いかがされますか」
よかった、ちゃんとできるんだな。
開発者がゲーム紹介の時に言ってたから出来るとは思っていたんだけど、ホームページや雑誌ではそのことが載っていなかったから今日この時まで少し不安ではあったのだけど、本当に良かった。
ゲーム世界での現実世界との身体能力の同調、これが出来ると偶然テレビのゲーム紹介で聞いたからこのゲームを絶対にプレイしようと思ったからな。
「ぜひお願いします。能力値を同調してください」
「わかりました。それでは、同調される場合の注意点をお伝えいたします。一度同調してしまうと元の設定に戻す事は出来ません。再度設定を変更するにはキャラクターのリセットしか方法はなくなります。先ほど表示されたステータス画面でのフィジカルの項目は現実の身体能力に応じた数値となります。しかし、同調した人はゲーム内でフィジカルが成長することは基本ありません。毎回ログイン時にスキャンする体と同じ状態でゲームを開始することになります。
その為、ゲームが進むにつれて他のプレイヤーと力の差が生まれることがあります。それでも良ければ同調を開始いたします」
「大丈夫です。お願いします」
「・・・・・分かりました。それでは、同調を開始いたします。ステータス能力値を変更する為、一度システムメニューを閉じさせていただきます」
ほぼ即答で返事をしたんだけど、何でアンナは答えるまでに間があったのかな、まあいいや。
アンナが目の前にある画面を操作するように手を動かすと、システムメニューが目の前からなくなり足元が光ったので下を見ると模様が入った魔法陣の様なものが、足の下から頭の上までゆっくり体を通過していった。
「同調が完了いたしました。ステータス画面のフィジカルの項目は現実の身体能力を参照した数値に替わっております。次回以降は毎回ログインするときスキャンした体の状態でゲームを開始することになります」
同調が完了すると同時に、体に感じていた違和感はほとんどなくなっていた。
「…う~ん、違和感はほぼなくなったけど、まあ後は動いて合わせるしかないか」
「…?。変更後のフィジカルの数値を確認いたしますか?」
「そうですね・・・。お願いします」
確かフィジカルの初期設定の数値が5で余っていた数値が10だったから、始めに振れる数値を平均してあげると7で極端に上げると15になるけど俺はどのぐらいの数値になるのか、知りたいような知りたくはないような気持ちだな。少しでもあの時よりも強くなれているのだろうか…何の基準もないから分からないけど、もし初期ステータスの平均よりも上ならただの一般人よりは強くなれているのかもしれないな。
「それでは、ステータスの画面を表示いたします。えっ‼…これは」
先ほどと同じような操作をしてステータス画面が目の前に現れた時に、初対面からほぼ表情の変化がなかったアンナが驚くような声をあげたのでそちらを見ると困惑したような顔をして動きを止めていた。俺と目が合うと謝罪をしたのち再び何か操作を開始した。
「申し訳ございません。只今ステータスの表示にて問題が起こりましたので開発者に報告を致しますので、少々お待ちいただけますか」
「‥?、わかりました」
ステータス画面に問題?。なんだろう、気になったので目の前にステータス画面を開いて見ると確かにフィジカルの表示がおかしなことになっていた。
~~~
フィジカル(physical)
STR・・・ ??
攻撃力,力(筋力),武器装備に関係
VIT・・・ ??
スタミナ(体力),防具装備に関係
AGI・・・ ??
素早さに関係
DEX・・・ ??
器用さ,武器装備に関係
~~~
これは、表示ミスなのか?新しいゲームにはバグが付き物で、たとえ国家規模のゲームでもバグがないゲームなんてないとはゲームを調べていた時の何かの記事で見たけど、まさか自分が当事者になるとは思ってもいなかったな。
それから、2分ほどアンナさんが操作している間にシステムのヘルプなどを見ていると作業が終わったのか、話しかけてきた。
「お待たせいたしました。返答がきましたので開発者からの回答をお伝えいたします。こちらをお聞きください」
アンナさんの前に開発者からと思われるメール画面が表示されて、そこから自動音声で内容が読み上げられた。
ーーー
この度は、『セカンドワールドライフ』を遊んでいただき誠にありがとうございます。
今回起こった問題ですが、現段階では原因の解明が出来ておりません。同調作業は無事に完了している事は確認できましたので、おそらく数値のみがステータス画面に表示されていない状態になっていると思われます。ただいま原因を究明しておりますので、理由が分かり次第に対応とご連絡いたします。
ゲームは問題なく行えますので、そのまま続けていただいても大丈夫です。
ーーー
原因はまだ分からないみたいけどゲームプレイは可能みたいだな。そこまで深刻なバグとかではなかったみたいだな。
結果が分かったら連絡くれるようだし、それなら説明の続きをしてもらおうかな。
「ゲームプレイが可能なら問題ありません。続きをお願いします」
「わかりました。それでは基本となる説明は以上となりますが、これまでに何か質問はありますか?」
同調の件は説明がなかったら確認するつもりだったけど一応は出来た。同調の件で体に少しの違和感があるのが気になるけど、さっきの開発者のメッセージでも同調作業は問題なく出来ているようなら、違和感の正体はまだ俺がこっちの体になれていないのが問題だろうからいいとして、ステータスのバグの件も結果待ちだから特にいま聞くことはないかな。
「特にないです」
「分かりました。これまでご説明した内容は、ヘルプでいつでも確認はできるのでお困りになった際はご利用ください。それでは、最初にプレイヤーは全員が始まりの町に転送されます。町では戦闘の事や商売,生産の基本を教えてくれる方がいます。しかし、【セカンドワールドライフ】では何をするのかはすべて自由です。基礎を忠実に教わることもできますし、いきなり町の外に出て冒険することも出来ます。第二の人生を心行くまでお過ごしください。あなたの冒険がより良きものとなることを祈っております。町への転送は、こちらの転送陣をご利用ください」
アンナさんが立っている横の地面に幾何学模様の書かれた丸い円ができていた。
「はい、わかりました。説明ありがとうございました」
俺が感謝の言葉と礼をした後に、アンナさんは俺に一礼すると消えるようにいなくなった。
シュウは辺りを見渡した後、一言呟いた。
「さてと、やるか」
シュウは誰もいなくなった草原で、何故か町への転送陣に向かわずに転送陣とは反対側に歩き出していた。
読んでいただきありがとうございます。