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剣と魔法のセカンドワールド  作者: K.T
第五話 街の防衛戦

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大規模戦闘【迎撃戦:前哨戦】



 最初の街から東方面。


 街の東門から出るとすぐに目の前に広がる景色は、見渡す限りの青々とした草原がなだらかな傾斜を描きながらはるか遠くまで広がっている。他には微かに見える北東の山々に源流がある一つの大きな川が、草原を北から南に草原を二分するように街の南西方面にまで流れていた。

 その川は過去に大氾濫を起こしたこともある為、街への深刻な被害が出ないように街より北側の川には人工の土手で補強されており、街からさらに東へ向かう道には馬車二台が並んでも通れるほどの大きな橋が架けられていた。


 そして川の橋を渡った先には、約1000人以上が布陣しており、もうすぐ街の命運が決まる戦いが始まろうとしていた。



戦闘に参加する人数1017名(指揮官・補佐官・冒険者・プレイヤー(冒険者)



 今日が土曜日だったのもあったためか、街での最後の募集締め切りで戦闘に参加する為に集まったプレイヤー(冒険者)の数は900人以上となっていた。集まったプレイヤー(冒険者)は領主主導の迎撃作戦で決まった内容の通りに、900以上のプレイヤー(冒険者)を3人の指揮官とその補佐の指示により、1人の指揮官に約300人を割り振って分けられた三つの集団となって草原の戦闘予測地域に待機していた。


 プレイヤー(冒険者)は三つの軍に分かれてはいたが、指揮官から軍事行動として指示されたことは少なかった。大まかに先陣・中陣・後陣の人数を区切っての役割の戦闘指示と最初の攻撃開始と撤退の合図を知らされているだけで、今は布陣が完了している状態で指揮官による士気を高める演説がなされていた。


 本来なら演説している時間もなく開戦する事も考えられていたが、配置する場所や作戦の説明に多少のもめ事が起こることが想定されていたり、必要最低限を伝えるだけでももっと時間がかかるかと思われていた為だった。

 だが、異常なほどにプレイヤー達(冒険者)の集団行動によるもめ事が少なくスムーズに進んだがために、想定していた時間よりも早く布陣が完成した事で急遽(きゅうきょ)演説が行われていた。


 実は司令官が一番もめ事が起こると想定していた事が簡単に解決した為でもあった。司令官は一番被害がでる先陣に兵士でもない冒険者をどうやって配置しようかと考えていたのだが、プレイヤー(冒険者)達は我先にと先陣のエリアを希望するものが多くいて、司令官が前線の人数が足りない場合の事を考えている時に、伝令の補佐官から逆に希望者が多すぎるとの報告を受け取った司令官が困惑する事態となっていた。


 戦場の最前線で戦う事はもっとも危険で死にやすいので、もめることも想定していた指揮官が困惑するのも当然ではあったが、大多数のプレイヤーにとっては他のゲームでよくある運営の大規模イベントの様な物だと考えていたので、訓練された兵士でもない状況で通常起こりうる冒険者の説得や報酬の交渉がなくなって、逆に中陣・後陣への移動を説得する事態となっていた。


 そして、先陣になれなかった事で起こったもめ事に対処して布陣が完了したのちに、軍の先頭で敵が来る方向を見ていたプレイヤーから困惑と驚きの声が上がった。

 先頭にいたプレイヤーが見たものは、地平に広がる黒い塊が少しずつ大きく広がり、まるで黒い津波が押し寄せてくるかのように近づいてくる様子だった。


 黒い塊の波は少しずつ大きく広がるように刻々と近づいてくると、黒い波の全貌が明らかになった。黒い波はとてつもない数の狼型魔獣の軍団で、他にも狼の体にまとわりつくようにして蛇型や蜘蛛型の魔獣も見受けられた。


 刻々と迫りくる脅威に思わずその場から後ずさりするプレイヤーも出始めたが、もう逃げれる距離ではなく戦うしかないと声をかけて鼓舞する人や、逆にテンションが振り切れたように歓喜の声をあげる人がいた事で、先陣の陣形は崩れることなく迎え撃つ体制をとれた。


 そして・・・刻々と響き渡る重低音が大きくなってくるなか、指揮官の合図のもと鳴らされた戦闘開始のどらの音が鳴り響いたことで、冒険者の遠距離攻撃による戦闘が開始された。


 放物線を描くように放たれた様々な魔法や矢の攻撃が、美しくも恐ろしいきらめきを放ちながら迫りくる黒い魔獣の塊の中に直撃した。

 冒険者で遠距離攻撃が出来る人数が多くいた事で、迫りくる黒い魔獣(黒い波)にぽつぽつと隙間が出来るほど倒すことは出来ていたが、それでも倒せず抜けてくる魔獣の数は圧倒的に多くて、待ち構えている近接担当の冒険者の数を軽く超えていた。


 そして、ついに先陣に位置する冒険者のもとまで黒い魔獣の群れはたどり着くと、雄叫びや悲鳴など様々な声と魔獣と武器がぶつかり合った音が響き渡り、長く続く大規模戦闘が始まった。



 最初のぶつかり合いで及び腰になってしまったプレイヤーがなすすべもなく倒されることはあったが、攻めてきている敵の強さがあまり強くなく一対一なら攻撃さえ当てることが出来れば一撃で倒せることもあって、均衡が崩れることなく徐々に人間側の有利へと傾こうとはしていた。


 それは、プレイヤーが事前に指揮官から伝達されていた決まりを律儀に守っている人が多くいて、戦えなくなったPT(パーティー)はすぐに下がって次のPT(パーティー)がすぐに前線を維持するサイクルが、司令官も驚くほどにうまく出来ていたからだった。


 本職の兵士と同じとまではいかないが、集団行動による乱れが驚くほどに少ないため思っていたより被害もなく()()()()()()は上手くいっていた。最初に先陣にいた人たちが再び前線で戦う頃には、後方には敵の姿はなく目に見える範囲の敵を倒すのみとなっており、時折逃げ帰るように()退()()()()()黒い魔獣が多くいた事もあって、大した被害はなく全て打ち取ることが出来つつあった。


 そして、目に見える全ての黒い魔獣を倒し終えると周囲にいたプレイヤーは歓喜の声をあげてお互いをたたえあったりしていたが、数人のプレーヤーが遠くから迫りくる()()()黒い物体を発見して声をあげてその方向を見た人たちがもれなく全員声も出せずに固まる事となった。


 遠くにいるはずなのにハッキリとその形まで見える大きさに言葉もなく立ち尽くすプレイヤーを待つこともなく、次の脅威はすぐそこまで迫っていたのだった。




読んでくださりありがとうございます

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