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剣と魔法のセカンドワールド  作者: K.T
第五話 街の防衛戦
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覚悟



 時刻は午後2時を過ぎようとする頃。


 街の各大門から外へ出た各冒険者達が集まり、東の平原地帯へ向かって行軍していた。


 シュウも周りと同じように歩いている中で、街を出るまでの事を思い返していた。



 ギルドでの緊急依頼を受けた後に行ったアイリがいる飯屋。


 飯屋の前に着いた時には、営業している時はいつも開いていた扉が今は閉まっており、店の扉には休みの木の板が掛けられていた。

 もしかしたら留守かとも思ったが、一応確認してみようと思い扉をノックして反応を窺うことにした。すると、中から声が微かに聞こえて、少し待つと扉の前でこちらが誰なのか尋ねてきたので名前を言うと、扉の衝立を外す音が聞こえた後に勢いよく扉が開かれた。


「シュウ!!よかった!無事だったんだね!」


「ん?」


 勢いよく開けられた扉からアイリが現れると、シュウの姿を見るや否や抱き着かんばかりに近づいて、両手で肩や腕を触りながら怪我がないか確認するように全身を見ていた。

 いきなりだったのでされるがままになっていると、アイリは特に怪我もなく大丈夫そうなのを確認した後に、戸惑うシュウの腕を引っ張ってお店の中に入れた。


「心配してたんだよ!お昼前、街に外出を控えるように言って回っていた衛兵の人達がいて何かあったのかと思っていたら、冒険者の人が街の外で黒い魔獣に襲われてるって話していたから・・・・・よかった~」


「そういうことか、ありがとう。心配してくれて・・・」


 アイリは話しているうちに落ち着いてきたらしく、下を向いて一度大きく息を吐いた後には落ち着きを取り戻していた。


 とりあえず座って話そうよとアイリは言いながら、テーブルにあげていた椅子を二つ降ろして2人は座った。


 座ってからアイリが今起こっていることを知っているかとこれからのシュウの予定はどうなのかを聞いてきたので、自分が知っている今の街の状況とギルドで緊急依頼を受けたので街の外で戦う事を話した。


「そっか、シュウ()戦うんだね・・・」


「ん?もって、まさかアイr「ちがう!ちがう!」・・」


 アイリは慌てて手を振りながらシュウの言葉を遮って否定した。


「わたしは戦わないの。でも・・・常連の冒険者さんとか・・街の人、達・・・お父さんも戦う準備してるの・・・」


「アイリのお父さんが?」


 一度見た時から体格がすごかったからもしかしたらとは思っていたけど、本当に元冒険者だったんだな。


「うん・・・お父さんは元冒険者だったから、もしもの時は私たちを守るために戦うって話していたのを聞いて・・わたし・・・」


「・・・・・」


 一度は落ち着いていたアイリが、再び不安そうになりながら話していたが、様々な感情に戸惑うアイリを見てどんな言葉をかければいいか俺には分からなかった。


 少しの間二人は話すことなく黙っていたが、シュウが下を向いたままアイリに提案した。


「なあ、アイリの家族だけでもあの場所に逃げないか?」


「あの場所って・・・」


 言ってしまってから、()()()()()()都合のいい提案をした事に気付いて嫌悪感を抱いて、思わず謝ろうとした。


 しかし、シュウが謝るより先にアイリが話し始めた。


「ありがとう・・・でも、私の家族だけ逃げることは出来ないよ。たとえ家族ほどの繋がりじゃなくても、いなくなってほしくない人たちがた~くさんこの街にいるからね。ここで逃げたら一生後悔すると思うから、・・・うん、私も何か手伝えることを探して頑張るよ。シュウも戦うんだもの、負ける事より勝つための事を考えて頑張ることにする」


 アイリは両手を握りしめて気合を入れるように「よ~し」と声を出すと、立ち上がってシュウを見た。


 その様子を見たシュウは、過去の自分とは違って逃げずに立ちむかうアイリの姿に強く思うところがあった。

 さっきまではただ流れのままに漠然と目的も決めずに戦おうとしていたが、明確な目的を持ってこの戦いに望むことを決めた。


「そうか・・・強いなアイリは、・・よし、じゃあ俺もただ勝つだけじゃなくて完全勝利を目指して頑張ることにするよ」


「なにそれ、シュウはもう勝つことは当たり前なの?」


 アイリは笑顔で笑い、わたしに出来ることを探す為に両親に聞くことから始めると言ったので邪魔にならないように、最後に別れの挨拶だけして店を出た。


 店を出た後、人目のつかない裏路地に入り壁に鍵を使ってリンのいる小屋に行くと、一度ログアウトして食事をとった後にリンに頼みごとをしてから、街に戻り北門を目指した。



 そして現在、東の平原に向けて行軍していると、北軍の指揮を執っている人からある集団に合流するように伝令が伝えられた。



読んでくださりありがとうございます

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