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剣と魔法のセカンドワールド  作者: K.T
第四話 魔術師の試練『第一スキル解放』
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魔獣の異常


 昨日、アイリとの約束を果たして店まで送り届けた後。


 リーナとミュウは小屋でリンを交えて雑談していた。一応予定を聞くと、今日はあと少しだけ雑談した後にログアウトする事と、土曜日は一日ログインできなくて、日曜日は夜に少しだけログインできる事だけ話して別れた。


 その後は、あの依頼の森の中でユズハに出会ってから、ログインしたときには森の丘まで行く事をレベル上げもかねて行っていた。特に問題もなく森の丘までの往復が終わって街まで戻ると、今日はいつもの日課(山頂までの登山)が出来ていなかった為にすぐログアウトした。


 本当は日課と晩御飯だけ済ませて再度ログインする予定だったが、姉に捕まり親への近況報告する為の事情聴取が夜遅くまで続いたことにより戻ることが出来なかった。ゲーム内で確かめておきたい事もあったが、明日は休みだから時間も多く取れるだろうと考えて確認するのは土曜日に持ち越しとなった。


 土曜日の早朝。いつものように日課(山頂までのランニング)を済ませて軽く汗を流した後。姉と共に朝食をとってから今度は何も言われないうちに部屋へと戻った。ユズハとの約束の時間までは余裕があるのを確認してから、ゲームへとログインした。


 小屋で目を覚ました後は、リンに連絡が来ていない事を確認してから街へと移動した。


 昨日から変わらず街の様子はいつもと違う様相だったが、今日は兵士の人だけでなく街の他の人達も何か異常を感じ取っているのか、妙な緊張感が街に漂っていた。


 昨日の夜から今日の朝までの短い時間の間に新しい情報があるかは分からないが、確認してみるためにゲーム内での食事(デバフ回避)もかねてアイリがいる飯屋に向かうことにした。


 北の大通りにある飯屋の近くまで行くと、アイリは建物の前で初日に飴を売っていた屋台で弁当を販売していた。今は見る限り客もいなかったので、変わったことがないか聞くことにした。


「アイリ、おはよう。昨日ぶりだけど何か変わった事はないか?」


「わお、おはよう~。朝からあったのは初めてだね。特に変わった事はないけど?」


「そうか、・・・弁当の中身は普通に美味しそうな内容だな」


 売られている弁当は、ご飯と揚げ物にたぶんポテトサラダみたいなものが平らな容器に詰めらている弁当だった。

 もしかしたら何か奇抜な弁当も売られているのかもと思ってしまった。この屋台で思い浮かぶのが最初に買った飴の印象が強かったからかもしれない。


「当たり前でしょ?美味しそうに見えないと誰も買わないでしょ?」


「・・・・・そうだな」


 分かっているのに何であんな造形の飴なんだ・・・。この子にはあの造形が美味しそうに見えるのか?まあいい、聞きたいことも聞けたから弁当を買うとしよう・・・一応二個買っておくか。


 アイリから弁当を二個買って、一応街の様子が慌ただしく見えることを伝えて、あともう一軒だけ寄り道をしてから森を目指して街を出た。


 明るいうちに街の外に出るのは久しぶりだったが、不思議なことに人も魔獣も一切出会うことなく森の近くまで来れてしまった。何かあるのは間違いないだろうが今知っている事だけだといくら考えても分からないだろうと思って、目的地である森の丘を目指した。


 森に入ってからは2回だけ魔獣に襲われたが、()()()どうにも魔獣側も意図していない遭遇での戦闘な感じがした。最初に森へ入った時みたいに見られて様子を窺うような感じはしないし、昨日までように積極的に襲ってくることもなくて、時折近くを通り過ぎていく気配はあるが何もしてこない。


 森の中を戦闘もなく進んで行く中で、急に飛び出してきて目が合った2体の魔獣だけ戦闘になった。


 俺としては、襲い掛かってくることなくどこかに行くなら相手にしないつもりだったのだが、目が合って数秒後には襲い掛かってきたので襲ってくるならやる(殺める)かと思い戦闘した。どちらの魔獣も出会って硬直したあと正面から一心不乱に襲い掛かってくるだけだったので、何をしてくるか予測しやすくて特に苦労する事もなく倒すことが出来た。


「これだけわかりやすいと、絶対に何かの異常事態が起きていることは分かるな。後は、それが俺にとって面倒な事になるかどうかなんだが・・・」


 街の雰囲気や平原と森の普段とは違う様子に何かが起きていることは確信できるが、それが何かが分からないすっきりしない心持ちのまま約束していた場所に着いてしまった。


 まだ約束の時間には早いこともあってユズハはまだ来ていなかったので、さっき街で買っていた花を簡素な墓石の前に置くと手を合わせた。


 ユズハを待つ間、再試合で戦った後にエリアルが別れ際に伝えてきた内容を思い出しながら、ステータスの画面を眺めた。


~~~~~


ステータス(status)


☆ロール

 ・・・ 魔術師 Lv.8 (5→8)

 所有マナ 26/26    (20→26)

 1分間のマナ回復量 0.2


次のLv.まで 81/100%


☆スキル

●デッキ(タロット)Lv.1 0/3(SP)

●スプレッド・フォーカード(展開法)Lv.2 0/2(SP)

●トリック(手品)Lv.1 0/1(SP)


●使い魔 生成;召喚 (条件達成により伝授)

(詳細)

 *使い魔カード生成

  魔核を使用して召喚カードを生成

  ・生成可能カード一覧…

 *使い魔召喚

  契約した使い魔を召喚

 召喚カード 0/1(デッキ上限)

●----------

(詳細)

契約による条件達成時に開放

●----------

(詳細)

契約による条件達成時に開放


SPスキルポイント 1(1/10)


~~~~~


「まさか、スキルを伝授してもらうのにあの再試合は意味がなかったとは・・・」


 再試合の途中でサイレン音が鳴った後に、すぐにエリアル(師匠)が召喚を解除して小屋から本を一冊持ってきてからリンに渡して、条件は達成しているから詳しくはリンに聞く事とだけ言うと、小屋の扉を使って出かけて行った。


 声をかける暇もなくいなくなったので仕方なくリンに何があったのかを聞くと、エリアルは緊急の呼び出しで出かけた事と、エリアルが小屋からとってきた本を「こちらが魔導書です」と受け取りながら、スキルを伝授する為の条件が何だったのか教えてくれたのだが・・・。


 1.レベルをLv.5以上にあげる事

 2.エリアルの召喚した使い魔との戦闘で10~30分間*生き残る事

  *召喚した強さによって時間が変わる

  (黒鎧;制限付き30分・白鎧10分)


 絶対に私利私欲で再試合の条件を出したな。最初に黒鎧に勝って条件はクリアしていたけど、倒されたのが悔しくてまだ条件があるかのように言って俺を倒そうとしていただろ。あの時点だと勝てないとは思わなかったけど、勝てるビジョンも見えてはいなかったから、長期戦になって条件の10分くらいは耐えれていただろうけど、絶対にもう条件を達成していたことは言わなかったはずだ。


「まあ、あの少ない時間の戦闘でも経験値をもらえていたからいいけど・・・しかし、使い魔か。どうするかな」


 エリアルのように召喚できるんだろうけど、魔核を使用してカード化するのに同じ魔獣の複数の魔核が必要だから、結局まだ一枚もカード化できていないんだよな。

 魔核はSP獲得のためにも使うので、予備で持つことがなかったのもあるけど。同じ魔獣の魔核だと得られるSPが半減していくようなので、SPが得られない魔獣だと襲われない限り戦う必要もなくなるから、よけいにあつまらない。


 それに、倒した魔獣の魔核でカード化するなら、エリアルのような黒鎧や白鎧の強さは望めないだろう。あのレベルの武器を持った相手がそのあたりにいるとは思えないから、まだ自分の知らない何かがあるのだろう。

 もしくは、この世界のどこかにはあのレベルの相手が複数いるのだろうか。いるのならどこで会えるかエリアルに聞いてみようか・・・。


 いるかどうかも分からない強敵を想像していると、後ろに人の気配を感じたので振り返るとほぼ目の前の距離でユズハが立っていた。


「なんじゃお主、脅かしてやろうと思ったのに寸前で気づきおって」


「・・・すいません」


 何故か脅かそうとした側がすねた顔をしていたが、予想していたより近くにいた事に驚いて、思わず一歩下がりながら謝った。

 ユズハは謝る俺を見て不思議そうにしながら話した。


「お主が謝る必要なかろう。時間より速くきたつもりじゃったが待たせたかの?」


「いえ、待つほどの時間ではありませんでした」


 さようか、と一言返事をしたのち二人は丘の上にある墓石の近くまで歩いて行った。



読んでくださりありがとうございます

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