表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣と魔法のセカンドワールド  作者: K.T
第二話 偶然の再会
35/76

冒険者ギルド(パーティー登録)





 中央広場を出るまでは3人で手を繋ぎながら歩いていたが、街の北通りに入る前の人がまだ少ないときにホムラは消えるようにして帰ると、その後は歩いてギルドの建物の前まで来ることが出来た。


「ギルドの前までは無事に着いたけど、俺はパーティの登録の仕方が分からないからまずは受付に聞いてくるよ。その間はギルド2階にある椅子にでも座って待っていてくれてもいいけど、どうする?」


 少しでもリーナが目立つことがないようにするなら、受付には俺一人が言ってパーティーメンバーの手続きを済ませようと思ったのだが、リーナは一緒に受付に行くと言った。


「いいえ、このまま正面の受付の所まで行きましょう。パーティーの登録をするときはパーティーメンバーの本人確認とギルドカードが必要だからその方が手間がなくていいわ」


「へ~そうなのか。よく知っているな?」


 リーナがパーティを組む時の事を詳しく知っていたので、なぜそんなに詳しいのか疑問に思い聞いてみた。俺がギルドカードを作成した時の説明にはなかったよな。


「そういえば、言ってなかったね。私はこのゲームを一緒に始めた友達ともうパーティーを組んでいるの」


「え?もうパーティーを組んでいたのか?」


 思ってもいなかった言葉が聞こえてきて、思わず立ち止まって聞き返してしまった。


 街の外に一人で出ていたからパーティーを組んでいないと思っていたんだけど、パーティーを組んでいたのか。でもその場合どうなるんだ?俺がそのパーティーに入ることになるのか、それとも新しくパーティーを組むことになるのか、どちらにしてもその友達には一度話さないといけないと思うんだけど、リーナはどうするんだろうか。


「とりあえず受付に行きましょ。入り口で立ち止まっていたら邪魔になるから」


 後ろに人が来ていたらしく、その人に謝ってからリーナが向かう正面のカウンターへと向かった。


 正面のカウンターでは、いくつかほかの人の対応をしていたがカウンターに空きはあったのでそこへ行くと、奥からギルドの職員の女の人が出てきて対応してくれるようだった。俺とリーナがカウンターに揃ったタイミングで、対応に来てくれた職員の女性は話し始めた。


「こんばんは、本日はどういった御用でしょうか」


「こんばんは、パーティーメンバーの登録をしたいのですけど、手続きをお願いします」


「かしこまりました。パーティを組まれる方のギルドカードと本人の確認がありますが、大丈夫でしょうか」


「大丈夫です。お願いします」


「わかりました。それではまず、パーティメンバーとなる方とパーティーリーダーのギルドカードをお預かりします」


「はい、わかりました。・・・ほら、シュウもギルドカードを出して」


「ああ、・・・ほら」


 リーナと俺のギルドカードをカウンターの上に置くとギルド職員が手に取って、本人確認と手続きの書類を持ってまいりますと言った後にギルドの奥へと向かった。


 流れに任せてギルドカードを渡してしまったけど、さっき思ったことを聞けずにパーティーを組む事が進んで言っているようなんだが本当に大丈夫なんだろうか。ギルド職員の人が戻ってくるまで時間がありそうだから今聞いて確認しておこうか。


「リーナ、さっきもうパーティーを組んでいるって言っていたけど、俺はその組んでいるパーティに入ることになるのか、それとも新しく作るのか?」


「さっきから何か考えているのかと思ったんだけど、その事を考えてたのね。とりあえずは私たちが作っていたパーティーにシュウが入ることになるけど・・・そうだよね。パーティー名の事もあるから、新しいパーティー名にはした方がいいわよね」


「パーティー名?そんなものまであるのか?」


「別に絶対つけないといけないわけではないみたいだけどね。私の場合はパーティー名を付けますかって聞かれたから、始めはなくてもいいんじゃないと話していたんだけど、私がとっさに思ったことを言ったら友達が勢いでパーティ名を決めただけだからね」


「そうなのか、ちなみにどんなパーティー名にしたんだ?」


「え~とね。【2人のハッピータイム】って名前なんだけど…」


パーティー名が【2人のハッピータイム】ってことは一緒に始めた友達は一人なんだな。それにしても、【2人のハーピータイム】ってあんまり冒険者がつけるパーティ名ではなさそうな感じだな。


「冒険者が名乗るにしては冒険者らしくないパーティ名だな。意味は単純に、友達と2人で遊ぶから【2人のハッピータイム】ってことなのか?」


「それもあるけど、学校での事を思い出して最近2人で遊べる時間がなかったねって言ったらそのパーティー名になっちゃったの。その友達とは中学から友達で同じ高校に入れてクラスも同じになれたのに、入学式で出会ったあの3人組のせいで学校内ではゆっくり話したりすることも出来なかったから、友達がこのゲームでは2人でいっぱい自由で楽しい時間を遊ぶのって言って、【2人のハッピータイム】にパーティ名が決まったの」


 理由を聞いただけでもわかるのは、リーナの友達もようやく二人で遊ぶことが出来て嬉しかったんだろうな。でも今の現状を考えると、このゲームの中でも絡まれることになって一緒に遊べていない友達としては残念だろうし、そこに俺がパーティメンバーに本当に入ってもいいのかとも思うんだが。まあ、でもとりあえず俺は2人が集まれる安全な場所を提供するだけだし、部活の幽霊部員みたいな立ち位置だからと説明すればリーナの友達は納得してくれるかもしれないな。


「でもまさか、このゲームの中でもあの3人に出会うことになるなんて思いもしなかったから、話しかけられた時に動揺してこんなところまで追ってこないでって言ってしまったから、本当にあの時の事を後悔してるの。あの時に他人のふりが出来ていればと、今でも思い返して後悔してる」


「ん?ちょっと待ってくれ。そういえばちゃんと聞いてなかったけど、あの3人っていうのはもしかして学校の裏庭でリーナに絡んでいた3人なのか?」


「そうだけど?そういえばちゃんと言ってはいなかったね」


 なるほどな。さすがにゲームの中まではいるはずがないと考えてもいたんだろうけど、まさか先行プレイヤーの1000人に選ばれていて、それも初日から出会うなんて思いもしないだろう。でもここまで知っている人が当選してゲームに参加しているなんてすごい偶然だな。、今は日本では1000人しかプレイできていないはずなのに同じ学校の生徒が6人も当選しているなんて、都合よく知っている人が6人も当選して出会うなんてどれほど低い確率になるんだろうか。


 でもリーナは、3人に出会って身バレした時にキャラクターを作り替えることは考えなかったんだろうか。俺は藤本さんだとかなり気付くのが遅かった自覚はあるが、リーナは今のままだと俺でも何となく会ったことがある人だと思うぐらいには分かっていたから、全く別のキャラに作り直した方がいいと思うんだが。


「キャラクターを作り替えることは考えなかったのか?」


「それは・・・考えもしたけど、その時にはもうホムラと出会っていたから、ホムラと会わなかったことにするなんて出来なかったの」


 リーナは両手で胸を押さえながら、ホムラにも伝えているようにして言った。


「そっか、そうだな」


 リーナが可愛いものが好きだっていうのは見ていた行動から分かるけど、ホムラを本当に大切にしているのはホムラに対する対応でよく分かるから、リーナは自分の都合だけでホムラがいなかった事になんかは絶対にしないだろうな。


「でも、本当にいいのか。2人が遊ぶために作ったパーティなのに俺なんかが入っても、ちゃんとその友達と話しておいた方がよくないか」


「大丈夫。もう友達には話してあるから、パーティーに入れてもいいって許可も貰っているからね」


「えっ、いつの間にそんな許可をとってたんだ?」


 リーナと会ってからはほとんど一緒にいたはずだけど、システム画面をさわっていた時なんて小屋の中でフレンド登録をした時ぐらいしかなかったと思うのだけど、その時に連絡していたのか?


「あの場所に行ったときに、小屋に入る前には友達に連絡しておいたの。シュウをパーティに入れてもいいかなって聞いたらOKなのって返事が小屋で話している時に来ていたから、シュウがパーティメンバーに入っても大丈夫よ。今はギルドの2階にいるみたいだから後で会いに行きましょう」


 あの時か、確かに俺が小屋に着くより早くに小屋の前で待ってはいたけど、あの時に連絡を取っていたのか。でもまてよ、あの時はまだパーティーを組む話なんてしてなかったけど、もしかしてあの時から俺をパーティーに入れようとはしていたのか?そして今パーティを組むことになってるけど。あれ、今の俺ってリーナの思惑通りに動いてる?思わずリーナの顔を見ていると、見ていることに気づいて首をかしげながら聞いてきた。


「なに?」


 あの時点で何処まで考えていたのか聞きたいけど、聞いて本当にリーナの思い通りに動いていたと知ったら自分の単純さにショックを受けそうだから、聞くのはやめておこう。


「何でもないです」


「なんで、いきなり敬語?」


 不思議そうな顔をしながら俺を見てきたが、奥へ行っていたギルド職員の女性がギルドカードと1枚の紙を持って戻ってきたので、リーナはパーティ申請の続きをおこなった。


 その後は、職員が持ってきたパーティー記入用紙に名前を書き込み、ギルドカードの本人確認を行うとリーナのパーティーへの加入が認められた。パーティー名の変更もするのかと思ったが、3人で話し合ってから決めようということになり、リーナの友達がいるギルドの2階に向かって階段を上がっていった。




お読みいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ