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剣と魔法のセカンドワールド  作者: K.T
第二話 偶然の再会
21/76

町での準備と看板娘




 いきなり謎の場所で拠点を手に入れたり俺に仕える子が出来たり色々あったけど、まずは始まりの街【オノコロ】に戻って、街の外に出ても大丈夫なように準備を整えることにした。


 外に出るのに今の服装のままでも負担はないから問題はなさそうだけど、万が一の備えだけはしておきたいな。服は防具屋にあると思うからいいものが見つかるまで立ち寄って、他は道なりにある店を見ておこうか。


 ある程度の方針を決めると街に戻ることをリンに伝えて、ここから出る為に鍵を持って扉に行こうとした。


「一度街に戻って色々準備していきたいと思う。準備が出来たら街の外にも行こうと思っているから、いつ戻れるかは分からないかな」


「かしこまりました。それでは、少々お待ちいただけますか」


 リンが立ちあがり棚の中から取り出したのは、透明な水晶に紐が付いたネックレスだった。


「外での活動の際は、こちらを身につけてください」


 渡されたネックレスを手に取りどういうことだろうと思っていると、リンが続けて説明してくれた。


「そちらは、簡易の認識阻害がかけられたネックレスです。身に着けると周りの人に多少見つかりにくくなるのと、ステータスを隠蔽することが出来ます。その効果で魔術師である事と、あの方の弟子であることは隠すことが出来るので外に出る時はなるべくつけておいた方がいいです。魔術師であるという事以外にも、世間ではあの方は有名なので、弟子だと分かると余計な騒ぎが起こる可能性があります」


 今の説明を聞いただけでも、なんだか厄介な人の弟子になったしまった事を実感するな。余計な騒ぎってなんなんだろうか、あの師匠(仮)の事だからいい意味で有名ではない気がするんだけど。厄介ごとには関わりたくないから、絶対にこのネックレスは常に身に着けておこう。

 ネックレスの効果でどうなっているのかを確認する為に、渡されたネックレスを首にかけてから、システムメニューからステータス画面を開いてみた。



~~~~~


 ステータス(status)


★ロール 

 ・・・ 魔術師 Lv.2

    『魔法使い』 *ネックレスによる隠蔽

 所有マナ 12/12

 1分間のマナ回復量 0.1


 次のLv.まで 20/100%


★称号

 ・・・ カードマジシャン(ユニーク)

   『魔法使い見習い』 *ネックレス による隠蔽

(詳細)

 カードを使用して奇跡を具現化できる魔術師

 *ユニーク称号によるデメリット * 武器の装備不可

                * 魔力による魔法の使用不可


 ・・・ 魔術師の弟子  『表示なし』*ネックレスによる隠蔽

 (詳細)

 ーーの弟子


~~~~~



 あれ、魔術師のLvが上がってる。一度しか戦闘してないのに上がるなんて、やっぱり魔核と同じで強い相手ほど経験の値も多くなるのかな。


 ネックレスの効果は、魔術師が魔法使いに隠蔽されているから効果はちゃんと適応されているな。でも、魔法は使えない魔法使いになるけど大丈夫なんだろうか。魔法使いが大剣や槍を持って戦っていたら、明らかに不自然な気がするんだけど、この世界ならそういう魔法使いもいるのだろうか。他の人とは関わるつもりはないから、戦闘を見られた後にステータスを確認されないない限りは大丈夫か。一応戦闘するときには周囲に気を付けてはおこう。


「いろいろありがとう。それじゃ、行ってくる」


「はい、いってらっしゃいませ」


 鍵を手に持ち小屋の入り口の扉に差し込み回すと、木目調の扉の柄が変わりこの空間へ来た時の月のマークがある扉に変わっていた。

 そして扉を通ると、入ってきたときの街灯の近くに立っていた。


 確か防具とかありそうなのは、飴屋の少女に聞いた話だと広場の北の大通りが、冒険者関連の施設があると言っていたから、まずは北に向かうとするか。


 でもその前に飴屋の少女にお礼も言っておこうと思ったので、広場まで出て飴屋があったところへ行ったが、飴屋があったところには飴を売っていた女の子はいなかった。広場にいた人に何処に行ったのか分からないか聞くと、親が定食屋をやっていて結構な人気店みたいでいつも飴屋を開いているのは午前中だけらしく、お昼からは家の手伝いに帰っているらしい。


 しかたない、お礼は次の機会に言うとするか。広場から出て北の大通りに向かって歩いて行った。


 北の大通りを歩いていると、武器屋、防具屋、道具屋、魔法道具屋、酒場、などが数多くあり、見た限り数は少ないが食事処や宿屋も数件はあった。門までの途中には、中央広場と街の外につながる門の真ん中ぐらいが少し開けた場所になっていて、その場所には冒険者ギルド、生産ギルド、教会があるようで、多くの町の人たちや自分と同じ初期の服を着ているプレイヤーらしき人も見かけた。


 一度、広場から門まで歩いて大通りの店やギルドの場所を確認した後に、広場を戻るように進み、見つけていた何件かの防具屋と道具屋に入っていった。


 防具屋では手持ち全額でも買えない装備が売られている高額お店から、初心者冒険者用の装備が多く売られているお店など各店舗の違いがあったので、所持金と相談した結果、初心者用のものが置かれているお店で最低限の買い物をした。


 防具屋では初心者用の皮の鎧セット(5000ベル/残金:15600)を買って、道具は初級ポーションセット(1200ベル/残金14400)を買った。防具を購入時に防具屋の主人が、もし夜に外に出ることがあったら冷えて動きが鈍くなるよと言われたので、黒のフード付きローブ(3800ベル/残金10600)と革製の丈夫なコート(4000ベル/残金6600)をお勧めされたので言われるままに買っておいた。


 残りの所持金は6600ベルか。ステータスには武器は装備できないと記載されていたから、武器の事は購入を考えずにお金を使っているけど、一応売られている武器で本当に装備出来ないか、確かめておきたいな。あと、どこまでが武器の判定になるのかを調べておきたい。


 ただ、通りにあった武器屋の武器の金額を見る限り、残りのお金だと買えたとしてもソードのカードで使える鉄の剣以下の安物の武器しか買えないようだから、もし装備できるものがあったとしてもまだ買う予定はないけどな。


 それからは一般的な金額で売られている武器屋を覗いてみたが、売られている武器である剣、槍、斧、短剣、杖、どれも装備することが出来なかった。もしかしたら、盾なら装備できるかもしれないと思い試してみたが、盾も武器扱いで装備が出来ないようになっていた。盾を装備することが出来るなら、スキルがクールダウンの間に対応することも出来ると思っていたから、スキルが使えない状態は致命的な隙になることが分かった。


 ただ、武器になりうるもの全てが使えないのかというとそうではなかった。試しに武器屋にあった箒を手にとっても武器扱いされなかったので、武器屋の人に許可をもらいただの木の棒や鉄の棒も試してみたが、武器の扱いにはならないらしく何故か装備することが出来た。いつか時間と融通が利く鍛冶屋でも見つけれたときには、ただの棒でもどこまでが武器と判定されるのかを調べてみることにしようと思った。


 寄り道としては、せっかくなった魔術師だから何か使えるものがないか魔法道具屋も見て回ったのだが、装備できる効果が魔力の総量が増える指輪とか、火,水,風などの魔法の威力が上がるブレスレットなど、一応は試してみたが魔術師にとって効果があるものは一つもなかったので、何件か入って装備できそうなものがないことを確認すると、何も買うことなく魔法道具屋を後にした。


 各店を回って最低限の装備を整えたのはいいのだけど、今度はこっちの世界で空腹のアラートがあった。空腹によるアラートを消すときに、空腹のシステムについて説明が表示されたので簡単に読むと、この世界での活動時間内で12時間に一度、食事をとらないと最大ステータスにデバフがかかるというものだった。その他にも、規則正しい食事では経験値UPの効果があるので、同じ時間に現実での食事も忘れない

ようにしようと、注意書きが書いてあった。


 時間を見ると12時47分だったが、せっかくなので街の外に出る前にこの世界の食事はどんなものなのか確かめてみようと、歩いている時にいくつか見かけた北の大通りにある食事処で食べることにした。


 いい店がないか探しているとき、2件目の食事処の前を通ったところでとてもいい匂いがしたので、ナイフとフォークに大きなステーキが描かれた看板の店で食事をとることにした。


 店に入って、みたところテーブルの席は半分以上は他のお客さんが食事をしていた。テーブル席のほかにカウンターの席もあって空いていたのでそこに座ろうかと思っていると、奥の調理場と思われるところから、給仕の服装をした女の子が片手に料理を持ちながら出てきた。


「いらっしゃいませ~、少々お待ちください」


 女の子は食事をテーブル席のお客さんの所に置くと、こちらへとやってきた。


「お待たせしました、何名様ですか?ってあれ?お兄さんじゃないですか。公園で飴屋をしていた美少女ですよ」


「・・?あ~あの奇抜な飴を売っていた子か。というか、自分で美少女とか言うか?普通?」


「これでも、北通り一番の看板娘と言われてますからね。お兄さん食事しに来たんだよね、人数は一人?カウンター席でもいい?」


 印象が強かったから思わず飴が奇抜って言ってしまったけど反応しないのはわざとなのだろうか。もしかしたら、他の人にも言われたことあるから自覚しているのかな。


 カウンターの席で大丈夫だといって、席に案内してもらった。


「お兄さんここの食事は初めてだよね。今日のオススメはね~、ホルスタ牛の煮込みハヤシライスとマンゴールのラッシーセットだよ。その他のメニューはこれね」


「せっかくだからお勧めをもらうことにするよ」


「りょーかい、お金は前払いだよ。料金は本日のオススメ1つで900ベルね」


 メニュー画面から900ベル(残金5700)を取り出して手渡した。


「900ベルちょうどね、オススメ一人前追加ね~!!」


 少女にお金を渡し確認した後、少女は注文を厨房に向かって大きな声で言うと、店内の給仕に戻るのかと思ったが、カウンターの隣の席に座り女の子と別れた後の事を聞いてきた。


「あの後どうだったの?私が話した場所に行ってみたんでしょ。ここに戻る前に見に行ったけどお兄さんいなかったから、もしかしたら何か見つけたのかと思ったんだけど、どうだった?」


「実はね、ーーーーー」


 師匠(仮)の事は話さずに、不思議な場所に入った時の景色などについて話せる範囲で話した。夜の星空と海の景色の事を話して、中で人に出会ったかを聞いてきたので、どう説明しようかと考えていると、厨房から女の人が出てきた。厨房から出てきた女の人は、話している少女の後ろに立つと腕を振り上げて少女の頭に拳骨を落とした。


「いった~い、なにするのよ。あ・・・・・」


「いったいあんたは何してるのよ。早く料理運ばないと冷めちゃうでしょ」


「ごめんなさい、お母さん」


 この人が女の子の母親か、確かに見ると目元や口元がよく似ているから、よく似た親子なんだな。ただ、女の子が怒られた原因は自分にもあるから、自分も謝っておかないといけないな。


「すいません。この子の仕事の邪魔をしてしまった原因は自分にもあるので、申し訳ありませんでした」


「いえいえ、手伝い中に話し込んでいるこの子が悪いんですよ。ほんとにもう、次はこれくらいじゃすまさないからね。早く戻って手伝いなさい」


 そういうと、女の子の母親は厨房へと戻っていった。


「あはは、またやっちゃった。もっと話を聞きたかったけど仕事に戻らないといけないから、話はまた今度聞かせて、午前中だと今日会ったところに大体いるし、ここは夜もやってるから食事するときに来てもいいよ」


「じゃあ、今から食べるお勧めの料理に期待だな。美味しかったら夜にも来るよ」


「あはは、わかった。うちは北通りで一番おいしいって評判なんだから、期待していいよ」


 そういうと、女の子は奥に戻っていった。それから女の子はいくつかの料理を運んだ後に、自分の所にも料理を持ってくると、これはサービスといって頼んでいた料理にはついてなかったスープを持ってきてくれたので、女の子にお礼を言ったあと見るからに美味しそうな料理を食べた。


 店に漂う匂いと料理の見た目ですでに美味しそうだったけど、実際に食べると本当においしかった。ハヤシライスはよく煮込まれていて、お肉と野菜のうま味が白いご飯と抜群に合う仕上がりになっており、マンゴールのラッシーも甘すぎなくて飲みやすかった。サービスでつけてくれたスープは野菜入りのコンソメスープのようで、程よい塩辛さがハヤシライスと味を引き立てあって、とても満足感のある食事だった。


 料理が食べ終わったころには、お店の中はほぼ満席になっており忙しそうに女の子は動き回っていた。声をかけると邪魔になりそうだから、早く席を開ける為にも立ちあがってそのまま出ていこうとすると、店を出る前に女の子が話しかけてきた。


「そういえば、まだ名前言ってなかったよね。私は、お食事処の看板娘アイリだよ」


「そういえば言ってなかったね。俺はシュウだよ。看板娘のアイリ、よろしく」


「うん、よろしく。それじゃあ怒られないうちに戻るから、でも話は聞きたいから絶対また来てよね」


「とてもおいしかったから、必ずここにはまた来るよ」


 そして、アイリは店に戻り自分は店を出てから、次に行こうと思っていた冒険者ギルドへと歩いていった。



―――――

★魔術師 Lv.2 次のLv.まで 20/100%

●デッキ(ソード・ワンド)

●スプレッド・スリーカード

●トリック

 ①チェンジ

●---

●---

●---

SPスキルポイント 0(7/10)

―――――


お読みいただきありがとうございます。

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