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第6話 発見

コーン……


コーン……


おお、これはこれは。

かなりいい出来なのではないだろうか。

流石だな8作目。


石を打ち付け、刃の形に出来るまで18回。

コツを掴んできて、木をハマる形にするまで、5回。

組み立てて出来た初代は一発で折れた。

それはもう俺のメンタルと一緒にポッキリと。


そして、何個か木の実を食べ、満腹中枢を満たしたところでまた再開。

そこからは次々と出来たが、今度は石が壊れやすいという問題があった。

黒曜石だとかではないのだから道具には向かないのは当然だったのだ。


なので、思い切って刃を無くしたものを作ってみた今回。

もちろん削りはしたが、明らかに緩い。

すると、いい感じの音が。


「これが、石斧……で、いいのか?」


疑問符は残るが、最初の道具、石斧の完成であった。


葉っぱの落ちている、枯れてはいないが細めの木をこっていく。

見よう見まねだが、意外とできるもんだ。

使う枝を当初より太くしたぶん疲労は溜まるが、これぐらいは予想の範疇。

すでに何本かの木をこり終わった。

だいたい俺の身長ぐらいのものから、腰ほどまでしかないものまで、いくらか。


そして、それを三角に組み上げ。

完成したのが。


「…………」


10○エーカーの森の良く尻尾が取れるやつの巣みたいな。

もう、建築物として最低のランクを極め尽くした風貌。

えっここに住むの冗談でしょプギャーwwと言われれば泣きながら壁を殴るしかないだろうそれは、俺の初めて建てた家である。


……俺の初めて建てた家である。


仕方がないだろう、俺には建築のイロハのイも無いのだ。

それに釘も無ければ接着剤も無い。

結果として素材を余すところなく活かす作りにせざるを得ないのだ。


……まぁ、しかたないのだ、うん。

せめてツタっぽい植物でもあればよかったのだが……まぁ、割り切るしかないだろう。


とりあえず中にはいってみる。

土の床がどうにも物悲しい。

それなりに大きな素材で作っているため、広い……とは言いがたいが、狭くは無い。

テント型なので座るのも楽。

冷たくはないが……尻尾ゴワゴワになりそう。


「あとは……」


藁……は無いので木片を泥に混ぜ、壁に塗る。

これで風は防げるだろう。

よく接着剤にはヤスリで削った木の粉だとかを入れるだろう、あの要領でつなぎに木片を使っている。

多少は硬くなってくれると良いのだが。

あとは布さえあれば風も防げて完璧なのだが……いかんせん俺の技術では木の板を作って蓋にする技術は無い。

今だってこの家、いつ倒壊するか……

狼が息を吹きかける必要すら無いぞ。


ともかく。

衣食住が揃った。

あとは何をするかな……急に生活基盤が整ってしまった。

原始人する程のメンタルも無ければ、新天地を探すことも出来ない。

最高なのはこれから救助ヘリでも来てくれれば……

いや、この際何でもいい。

救助だろうが何だろうが人間を、生きている人間を見たい。


とはいえ、今日はもう夕暮れ。

また夜を越すことになる……


そのとき。


「……ん?」


狐の方の耳に何か、届いたような。

違和感がある、なんというか、帰ってたやまびこの反射する位置がわかるというか。


また。

ざく、ざくという音が聞こえて……


どさ。


あれ?

なんか……倒れた?


だれか……

たす……けて……

「遭難者じゃねーか!」


その方向に走る。

雪の中を進むのはだいぶ嫌だが、命には変えられない。

というか俺も同じこと味わったし。

同情9割である。

残りの1割は柔軟剤よろしく優しさだろう。


「……あれか……!」


遭難者を見つけるのにはそう時間はかからなかった。

硫黄から離れたからか、臭いが鮮明なのだ。


「……うわ」


たどり着くと、わかった。

耳と、尻尾。

子供、だろうか。

この子も、俺と同じ……?


ヒロインです。

行き倒れ系ヒロイン。


12/3 修正しました!

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