表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/56

第46話 雪兎の力

「森に行くのも久しぶりねぇ」

「恋しいのか?」

「いいえ、向こうの方が楽しいわ」


ヴィオラ、および雪兎族と森へ。

木材が少ないのと、食料、あと出来れば毛皮も欲しい。


「またあんな無茶しなければ、こんな仕事ぐらいやってあげるわよ」

「悪いな」


ヴィオラは今回も木材運び担当。

前回は無茶させたので、今回は半分以下、20本ほどにする。

どうせ木の大量伐採を行なってもいいことはないからな。

それに。


「吸血、していいのよね」

「まぁ、な」

「やた♪」


ヴィオラはスライムとヴァンパイアのハイブリッド。

本来食事であるはずの吸血はどちらかといえば嗜好品になった。

スライムで何かを食べれば栄養になるからな。


ただ、血液を飲んでいた頃の味は忘れられず、飲みたくなるらしい。

んで、村の中では俺の血が一番美味しいとか。

なんでかはしらん。


「ヴィオラ〜、血って美味しいの〜?」

「人によるわね。トモハルのはすっごく甘くてアタシ好みなの」

「へぇー……じゅる」


寒気が。


ヴィオラと雪兎族は割と仲がいい。

物珍しさからか、かなり雪兎族側からアプローチしているみたいだし、ヴィオラは割と話好きだからな。


「お、見えた見えた」

「あっ! 森だ!」

「いっぱい食べるぞー!」


それは主たる目的ではない、というか現地で消化されても困る。


「先に言った通り、5人で木を、3人で食料を確保してもらう。いいなー」

「「「はーい!」」」


幼稚園児みたいな返事だが大丈夫だろうか……

結局、借りられたのは8人の雪兎族だし。

なんとかなる、と思いたいが……


「本当に大丈夫だったのか? 道具なしで」

「大丈夫だよ〜」


この雪兎族、なんと自分たちは斧やナイフといった道具は必要ない、と言った。

まさかそんなことはないだろうとは思っていたが、あの怪力や俊敏を見ると幾らか期待してしまうものもある……

一応ナイフを予備に4つ、斧を3つソリに乗せて持ってきたので、最悪その自信が失敗を招いたとしても、一応何かしらの成果はある、はずだ。


「俺は木材班につく、食料班は……まぁ、果物とかならどんどん食べて構わない。タネとかは取ってくれるとありがたい、向こうに植えるからな。目標はなるだけ肉。多く取れたらここで余分を食べよう」

「はーい!」


血抜きだのなんだのの知識はそれなりに身についた。

皮を剥ぐのは苦手だし、内臓には未だ慣れないが……まぁ、食べるぐらいは出来るはずだ。


食料班が森の中へ入った頃。


「よーし、俺たちも始めるか。んでだが……道具も無しにどうやるんだ?」

「それはね〜、こう!」


雪兎族の1人が1本の木に狙いを定めて助走距離を取る。

結構立派な木だ、斧を振って切るまでどれほどかかるか。


そして。

クラウチングスタートから。

雪を巻き上げて走りだし。


「おりゃあああああ!!」


飛び蹴りをかました。


メシメシメシッ……


嫌な音がしたのは、足では無く木から。


「よーし、次!」

「よーし、次! じゃなぁい!」

「ほえ?」


ほえでもない。


「そんな力任せにやって大丈夫なのか……?」

「大丈夫だよ〜、こんな感じだからいっつも〜」


なんだこの首狩りウサギ(ヴォーパルバニー)は、こんな力技で土地を開墾していたのか?

もっとこう、理知的な、文明的な行動はないのか!?


「おりゃああああああ!!」

メシメシメシメシメシメシ!!


ウサギの足にさらされた木は、大きな亀裂を伴い。

そして。


「倒れるぞー!」

ズズゥゥゥゥ……


木材の原料となった。


「……ねぇあれ本当に村に入れて大丈夫だったの」

「……わからない」


今だけは、ヴィオラにお前もなと言う気力はないのだった。

うさぎキック。

相手は死ぬ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ