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第45話 雪兎の誘惑

「えー、発表します。まぁといっても結果はわかりきっているが……雪兎族は我々と同盟、および共存を許可する、という方向で」

「やったぁぁ!!」

「助かった、助かったよぉ!」


会議の結果、身体能力の高い雪兎族を見捨てるメリットは少ない、ということでかなり早く決議された。

食料問題に対してはかなり悩ましい声が上がってはいたが、いこうと思えば森がある。

雪兎族は狩りに長けた種族でもあるということで、森で肉を調達もしてもらうことで食料問題になんとか符を打ちたい。

ただまぁ、自制というものが弱い種族のようだし、危険ではあると思うが……

まぁ、常識はあるようだし、信じるしかない。

最悪追い出すことも可能ではあるしな。


「さて、病み上がりのところ悪いが、明日からはすぐに家の制作に移ってもらいます。布や甕などはこちらで支給するので、個人で生活、または集団で生活してください」


基本的には無いのと同じ、住宅問題。

土地代0のこの場所にはどれだけも建てられる!

と、言いたいところだが、サイレントウルフ然り、襲われない程度の場所に、と言っておいた。

それと、北のほうには畑を鋭意制作中なので入らないように、とも。

わざわざ木材を灰にしてまで作っている本気の畑だ、この虫もいないので農薬も必要ない、完璧だ。

あのまま麦が育ってくれたらこれからの食料は安定する。

わざわざこんな土地で麦を作っている村の麦だ、病気などのことは心配しなくていいだろう。


そんなこんなで、うちの村に雪兎族が仲間になった。

のだが。


「この丸太向こう持ってくのー?」

「あ、あぁ……でもそれ3人はいないと」

ブォン!

「よっと」

「あ、あの丸太を、1人で持ちやがった……」


…………。


「これを回せばいいのー?」

「あぁ、この石臼でプッチーの骨を砕いて骨粉にするんだ。まぁかなり重いから無理はしないで」

ギャギャギャギャギャギャ!!

「ん、手ごたえ無くなった。終わりかな」

「そんなぁ……」


見誤った。


「ぷよぷよしてるー」

「不思議ー」

「ふふ、あんまり構ってると食べちゃうわよ?」

「「きゃー!」」

ドヒュンッ!

「早っ!?」


あいつらのスペックのことだ。


見積もり高くても狐尾族の成人男性並みの労力が増えたかなと思っていたのだが……

なんだあれは。

鳥か、飛行機か、スーパ○マンか。

いや飛んでない飛んでない。

でも飛べるんじゃねと思わせるほどの身体能力。

確かに、これは食べるかもしれない。

なんとなく納得させられた。


とにかく、だいたい1人で3人分の労力を持つあの雪兎族たちのおかげでかなり作業効率は上がっている。

狐尾族と違って複雑なことをしない単純な力作業だが、種族的にあっているのか、言われたことのみを遂行するのでかえってこちらの作業がやりやすい。


ゴン!

「あっ」

「私の家がー!」


まぁ、こういう過失的なミスも多いが……これは無くなってくれると信じたい。


だいたい夜。

ちょっと村から離れた温泉にて。


「極楽極楽〜♪」

「ありがと〜トモハル〜♪」

「トモハルのおかげだよ〜♪」


両手に、いや両手どころかもっといろいろ花。


というか。


「……ちょっとくっつきすぎでは」

「いいじゃーん、くっついた方があったかいよ〜♪」


見誤った。

雪兎族のスペックをだ。


こいつら、ちょっと食べたらもとの形に戻りやがった。

どんな消化吸収してんだ、風船か。


ついでに言えば、多く食べる上によく運動する種族だからなのか……


「どーしたのー? 顔、赤いよー?」

ぷるんっ。

「トモハルってば、ずっと上見てるー。星綺麗だねー♪」

たぷんっ。

「尻尾2本なんて不思議〜」

ぽよんっ。


極めて、発育がよろしい。

凶器を持っているという自覚がないのもまた悩ましいところだ。

確かに、俺はこいつらには俺は元男だとは言っていないし、気づけるだろうところなどない。

故に、この6連リボルバーは……!


「あ、トモハル鼻血!」

「大丈夫、のぼせた?」

「おうちにはこぼっか」


その暴力的かつ暴虐的なテロ行為に屈しなかった俺に諸君らは拍手をするべきなのだ……

と、思考した辺りで俺の意識は幕を閉じた。


雪兎さんたちには申し訳ないがただのモブ集団です。

労働力です。

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