表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/27

仕事



「ん……」

 真治は寝返りを打った。

 目覚ましを止めていたおかげか、起きたのは昼近くだった。自分でも驚くほどよく寝るなと思いながら体を起こす。

「恭?」

 寝室を出ると、リビングで恭が携帯電話で何か話している。近づくと恭がびくっとした。そして、片手を上げて拝むような形をとる。

 真治は怪訝に思いながら首を傾げた。

 しばらく恭は電話で話をしていたが、切ってから真治を見た。

「ごめんっ」

「えっ?」

「仕事が入った」

「嘘っ」

 真治が泣きそうな顔をした。

「そんな……」

 後の言葉が続かない。恭も少しいらいらして見えた。

「わかった」

「え? 怒ってないのか?」

「どうして?」

「だって、昨日約束したのにさ」

「仕方ないよ。仕事なんでしょう?」

 恭は、真治がしおらしいので面食らった。

「お前、怒っているのか?」

「だから、怒ってないよ」

 真治は、恭は一生懸命働いているのだから、自分ばかりがわがままを言って困らせてはだめだと思い直した。

「僕の事は気にしなくていいから」

「真治……」

 恭はそれきり何も言わなかった。

 二人は何だか気まずい空気の中、恭はさっさとコーヒーだけ飲んで出かけてしまった。

 取り残された真治はぽつりと台所に立ち尽くした。

「あれ……?」

 つーっと涙が頬をつたった。

「情けないな、僕は……」

 やせ我慢している自分に呆れる。

 泣くくらいなら、怒ってケンカした方がよかったのかなと思った。

 何も言わずに背を向けられたとたん、どうしていいか分からなかった。

 キスしてくれるだけでもいいのに。

 恭が好きって言ってくれるだけで僕は満足なのに。

 真治はソファに足を抱えて座った。

「どうしてこんなになっちゃったんだろう」

 足を抱えたまま呟くと、真治は横になった。涙がぽろぽろと流れている。

 ごしごしこすって真治は目を閉じた。

 そして、そのまま意識が薄れていって、真治は眠った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ