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綾Side  その一

女性キャラ視点の練習を兼ねて綾Sideのお話。


「じゃあ、ごゆっくり」


そう言って結城さん、いやお兄ちゃんは行ってしまった。その際に思いっきり叫んでしまったけど私はきっと悪くない。

そもそもだ。私の兄となった人は少し、いやかなりレディの扱いが雑ではないか?

さて、現実逃避はこれまでにしよう。

私の目の前にはこの国の王様であるファリードさんがいるのだ。

ちなみに最初はゆう……お兄ちゃんと同じように陛下って呼ぼうと思ったんだけどファリードさんと呼ぶことにした。ゆ、お兄ちゃんはファリードさんと仲良くしてほしい(意訳)って言ってたからなるべく親しみを感じられる呼び方にしたのだ。

……ふ、不敬罪にはならないよね?


いやいやいやいや。

この程度のことで怒るならきっと助けてなんてくれなかったはずだ。……はずだよね?

一応自己紹介は済ませたけど……何を話せばいいのかさっぱりわかんない!お兄ちゃんも話題のひとつでも置いていってくれればいいのに!

ああああああ!どうしようどうしよう!王様と喋るなんて今までそんな機会なかったし、というかあるわけないしどうしたらいいの!?


「お主達の世界について教えてくれないか?

ユウキからある程度聞いてはいるが余はもっと知りたいのだ」


ああああああ、気を使わせちゃった!?と、とにかくなにか話さないと!


「は、はい! わかりました!」




話が始まってしまえば緊張はどこへやら。思ったよりも話は弾んだ。

正直に言うとファリードさんはいつもムスッてしてそうなイメージがあったんだけどそんなことはなかった。

私の世界にある物の話をひとつする度に興味深そうにしたり、楽しそうに笑うのが嬉しくてつい時間を忘れて話してしまい、気がつけば随分と時間が経っていた。

途中から話が逸れてお兄ちゃんの話題が多くなったけど……許容範囲だよね?だって共通の話題ってお兄ちゃんのことぐらいしかないし。


「今でこそ落ち着いているが来たばかりの頃のあいつは色々やらかしていてな……」


ファリードさんが話してくれたお兄ちゃんのエピソードは戦争があったときの話も含まれていたけど面白おかしく話してくれたのでこの時はあまり気にならなかった。

今日話してくれたのは初めて会ったときのことやそのあと雑用係として着いてくることになったこと、そして戦闘に巻き込まれた時のこと。

その時乱戦の中、無事なのかと姿を探してみれば弓で敵兵を殴り倒した挙げ句、弦を使って締め上げていたこともあったらしい。弓ってそうやって使うんだっけ?

それから今までで一番びっくりしたのはお兄ちゃんがファリードさんの直属の護衛になった直後に起こった武官のトップの息子と文官のトップの娘の結婚騒動だと笑っていた。

……お兄ちゃん、予想以上にいろいろやらかしてるなぁ……私だった怖がって何もできなかったと思うけどやっぱり男の子だとその辺違うのかな?


話が一段落して一息ついた時、部屋のドアがノックされた。

一瞬で王様の雰囲気に戻ったファリード様が入れと言うと二人の女性が部屋に入ってきた。

その内一人は初めて見る顔だったけどもう一人には見覚えがあった。

昨日お兄ちゃんと一緒にいた人でたしかリーズという名前だったはず。とても真面目な人みたいでキビキビと動いていたのを覚えている。

そして私をお姫様抱っこでこの部屋に運んでくれた人でもある。うう、今思い出しても恥ずかしい。

その隣にいる人は見たことがない。長い髪をサイドテールで纏めた女の人だ。格好はリーズさんとほぼ同じだけどリーズさんに比べ活動的な印象を受けた。

いったいどうしたのだろう?なにかあったのかな?


「陛下、アヤ様の護衛となる者を連れてきました」


護衛?私が疑問を挟む間もなく話は進んでいく。


「お主は……たしか前にユウキの部隊にいた娘か」


「はいっス! セラフィナと申しますっス!」


「ユウキの人選なら問題はないだろう。 アヤのことを頼むぞ」


「お任せくださいっス!」


「今日はこれまでにしておくか。 アヤ、また話をしてくれるか?」


「は、はい!」


リーズさんを連れてファリードさんが部屋から出ていったあと私はセラフィナさんに護衛のことを聞いてみることにした。ちなみに敬語は使わないようにと言われたのでタメ口てある。いいのかなぁ?


「護衛ってなんで? 私を襲う価値なんてないと思うんだけど……」


「一応名目では神殿の連中がアヤ様を確保しようと襲ってくる可能性があるっスから」


そうだった今までタリヤさんやお兄ちゃん、リーズさんにセラフィナさん、そしてファリードさんという親切な人達ばかりに会って忘れていたが私は神殿というところの人達に呼び出されたと思われているのだ。

話を聞く限り神殿の人達は一部を除けばほぼ全員が狂信者らしいので警戒はしておくべき、と言われた。


「まあ王宮の中で問題起こすような度胸のある奴はいないっスし、忙しいメイド長の代わりにいろいろ慣れてないアヤ様のお世話を任されたって思ってくれて構わないっス」


「そ、そうなんだ。 あの、それでなんだけどね、様を付けるのやめてくれないかな? なんだかむず痒くって」


「そっスか? まあそう言うならアヤと呼ばせてもらうっスよ」


そのあとセラフィナさんとたくさんお話をした。

でついついたくさんお話ししてしまった。今日はお話ばっかりしてる気がするなぁ。


「アヤの肌は綺麗でうらやましいッスねー」


「セラフィナさんの肌だって綺麗じゃない。 そういえばセラフィナさんはいくつなの?」


「アタシっスか? アタシは23っスよ」


私から見る限り彼女は年齢よりも若々しくみえ、とても23歳には見えなかった。でも騎士ってことを考えればおかしくはない。……胸おっきいし。

あれ?たしかお兄ちゃんは22歳だった気がする。それなのになんでセラフィナさんはお兄ちゃんのことセンパイって呼んでるんだろう?

一度気になってしまえばその気持ちが押さえきれず聞いてしまった。


「ね、先輩って普通年上の人に使うものじゃない? なんでお兄ちゃんのことを先輩って呼んでるの?」


「ああ、それはセンパイの方がアタシより先に戦場に出たからっスよ」


戦場。またその単語が出てきた。

私にとって戦争は遠い世界の話だった。

でもこの世界で戦争はほんの四年前まで続いていたことなのだ。今でも戦争の爪痕が残っている場所だってあるのだという。


そんな私の様子を感じ取ったのかセラフィナさんは話題を変えてくれた。


「ところでそういうアヤは13歳ぐらいっスか?」


「え、いや、私18なんだけど……」


「え?」


うう、童顔だから幼く見られてるかなとは思ってたけど……。

いやいや、女にとって若く見られるってのは嬉しいことのはず。つまり私って子供並みにお肌ぴちぴちってことで……でも子供に見られてもうれしくないっ!そりゃ背はちっちゃいし胸もそんなにないけどさぁ!



それからも話は続いたがどういうわけか話は変な方向にズレ始めていた。

お兄ちゃんの話してたらセラフィナさんがお兄ちゃんのこと好きって話になって……ど、どうしてこうなったの。


「こういうのはアレっスけどアヤにはセンパイを好きになってほしくないっス。 ただでさえ競争率高いっスから……」


……お兄ちゃんモテるんだ。

それを聞いた途端、私の中の女の子魂が騒ぎだした。さっきまでのちょっと怖じ気づいた気持ちもどっかいった。つまりどういうことかというと恋バナが嫌いな女の子なんていませんっ!


「ね! ね! ゆう……じゃなくて、お兄ちゃんを好きな人ってあと誰がいるの? 教えて教えて!」


「え? えーと、本気なのはリーズがそうっスね。 その他には平民出身のメイドとか下級貴族のお嬢様達に人気があるっス。 まあそいつらは本気でセンパイを狙ってる訳じゃないんすけど」


ほうほう。


「あと本気でセンパイを狙ってるのはエルザぐらいっスね」


ん?聞いたことない名前が出てきたけど誰だろう?


「エルザって誰? 私の知ってる人?」


「そういえばあいつ任務でいなかったっスね。 エルザっていうのは―――」


結局この日は夜遅くまでお話ししてしまった上に次の日起きたのはお昼頃だった。すごいだらしないみたいで凄く恥ずかしい!


過ぎてしまったことはしかたがない!と私は開き直ることにした。

でもこれからもこんな有り様ではダメなのだ。やらないといけないことは多いんだから!

ひとつ、結城さんをお兄ちゃんと呼び慣れること!結城さんによる身分保証は現状、私にとっては命綱なのだ。ボロが出ないようにしなくちゃいけない。

ふたつ、お兄ちゃんに頼まれたファリードさんの話し相手としての役目を果たすこと!でもそのうちちゃんとした仕事とかもらった方がいいのかなぁ?

そして、早くこの世界に慣れること!帰るのを諦めるつもりはないけど帰れないことも覚悟しなきゃいけない。子供じゃないんだからその時になってメソメソ泣くような真似はしたくない。


最初の目標を確認し終えるとぱちんと頬を叩いて気合いをいれる。


よーし!私の異世界での生活は始まったばかり。これからがんばらなくちゃ!


うーん、難しい。もうちょっと自然に書けるように女性視点の小説読んでみようか。

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