もしホラーサスペンスを好物とする変態未確認生命体が純粋なロリを描いたら、
誘拐
典型的なロリを書こうとしたら失敗しました。
「ホラー」とさせて頂きましたが、少し違うのかもしれません。ということで刺激は少なめです…
思考と行動と語りと…全て年齢が噛み合っておりません。従って、主人公の年齢は皆さんの想像にお任せします(笑)無責任ですみません。
あとがきに軽い解説を載せます!!
長い前書き失礼しました。こんなものでも少しでも喜んで頂ければ幸いです。
私、莉音。好きな動物はダントツでウサギ!私のお部屋には、ウサギちゃんのぬいぐるみとか文房具がたくさんあるの。寝るときも勿論ウサギちゃんと一緒。最近は、この間買ってもらったばかりの白い子とベッドに入るのが1番の楽しみ。ぎゅうってしたら、あったかい毛が私のほっぺたをくすぐってすっごく気持ちがいいの!
本当はぬいぐるみなんかじゃなくて、本物のウサギちゃんが欲しいの。でもね、パパとママが「どうせ自分でお世話できないでしょ」って猛反対するから……。
今日はね、パパとママと3人で動物園に行くの。そこでは、本物のウサギちゃんを抱っこできるんだって!それを聞いて、思わず飛び上がっちゃった!実はね、私ウサギちゃんに触ったこと、一度だけしかないの。結構前のことだけど、よく覚えているわ。きっと――。ううん、絶対よ!絶対にこれから先も忘れたりはしないんだから!
私が行ったあの動物園では、ウサギちゃんに人参をあげられたの。でもね、当たり前だけど本当に人参をあげることしかできなかった。檻が邪魔をして、撫でることさえ出来ないの。悔しくて泣きそうになりながら人差し指を檻に突っ込んだわ。この時ばっかりは、友達より少し大きめの自分の手を恨んだ。でもね、暫くしたらウサギちゃんが私の気持ちを察してくれたみたいに指に鼻を押しつけてきたの!もう、嬉しくて夢中になったわ!指1本を一生懸命に動かして鼻を撫でた。ほんのり湿った柔らかな鼻が指をこする感触がすっごく気持ち良くって、この時間がずっと続きますようにって心の底から祈ったわ。
でもやっぱり、永遠なんてなかった。
「そろそろ行くわよ」
ママのそんな声が、私を現実に引き戻したの。思わずママの方に顔を向けちゃったら、ウサギちゃんが逃げちゃった。すっごく切なかった。ママから顔が見えないように俯いて、少し泣いたわ。
「りっちゃん、そろそろ行くわよ」
ママが玄関から私を呼んでいる。ウサギちゃんの缶バッジがついた大きなリュックに、水筒とおにぎりをつめて準備完了。鏡に映る自分の姿に思わずうっとりしちゃったわ。だって、今日は2つ結びなんだもの。首を傾げたら、目の高さあたりに結った髪が小さく踊る。私はこのヘアスタイルが大好き。だって、ウサギちゃんのお耳にそっくりなんだもの!
身だしなみのチェックを終えて、急いで玄関に向かったわ。
車に揺られていれば、あっと言う間に動物園に着いたの。寝てしまったみたいで、どれくらいの時間が過ぎたのかさっぱり分からない。それでも、入り口の門を見たとたんに眠気なんて吹っ飛んだわ。後少しでこの手でウサギちゃんを抱けるんだ、そう思うともう…じっとしていられなくなったの!
門をくぐった瞬間に、地図でチェックしておいたウサギちゃんの居場所を目指したわ。キリンさんもゾウさんも後回し。のろまな自分の足に鞭をうった。運動会でも出なかったスピードに自分でもびっくりしちゃった。
今、私はウサギちゃんの小屋の前にいるの。小屋っていう言い方は少し間違っているのかもしれないわね。白い柵に囲まれて、その真上にテントみたいなのが張ってあるだけ…。丁度寒くなってきたこの時期。なんだかウサギちゃんが可哀想に思えてきた。あぁ、早く私の手で温めてあげたい!!
柵の中は、すでにたくさんの子共達でいっぱいだった。みんな腕にウサギちゃんを抱えているから不安になっちゃった。私だけウサギちゃんを抱っこ出来なかったらどうしようって。でも、不安より興奮が勝ったわ。私は柵の中に足を踏み入れたの。
柵の扉を閉めた瞬間に、中の子供達が一斉に私を見たわ。皆の視線が痛くて怖い…。それに恥ずかしい。なんだか、学校に遅刻した時を思い出したわ。静寂に包まれた教室の扉を1人カラカラって開けた瞬間…ドアの音があんなにうるさいなんてあの時初めて知った!!席についても暫くは授業に集中できなかった。べそをかいていたんだもの。
首をブンブン振ったわ。嫌な記憶をなんとかもう一度頭の奥に押し込んだ。それで、1人立ち尽くして周りを見渡せば、ウサギちゃんを抱く皆が随分と大きく見えたわ。それとも私が小さいのかしら…?それでも私はそんな威圧感にはもう負けない!遅刻したあの時とは違って、ウサギちゃんという強い見方がいるじゃない!それでも気合いだけじゃどうにもならないみたい。全てのウサギちゃんが、すでに皆の膝の上。誰か譲ってくれないかとキョロキョロしたけど、「絶対渡すもんか」っていう無言の拒絶を受け取っただけだった。焦る気持ちでいっぱいになったわ。暑くもないのに手が濡れているの。
そんなとき、1人の男の子が立ち上がったわ。そしてあっという間に柵の外に抜けていった。私は男の子の座っていた場所に慌てて目を向ける。ああ!!いたいた、真っ白い毛のふわふわが確かに残されてるじゃない!!
ゆっくりと、目を離さないようにして、一歩一歩近づいたわ。まばたきもしなかった。一瞬でも瞑ったら、ウサギちゃんが逃げちゃう気がしたんだもん。どんどん距離は縮んでいって、ついにウサギちゃんが私の方を見たの!!真っ赤な瞳には確かに私が映ってる。心臓の音がうるさいわ。周りの音が全然聞こえないの。なんだかお水の中にいるみたい。今この世界には、私とウサギちゃんしかいない。そんな気さえしたわ。本当よ!!
どんなに私が近づいてもウサギちゃん、全然逃げないの。私を試してるんだって分かったわ。初めてウサギちゃんを触った時、あんなに邪魔だった筈の檻がちょっぴり恋しくなった。
ゆっくりウサギちゃんの目の前にしゃがんだわ。相変わらずウサギちゃんは私をじっと見つめて動かない。思い切って手を伸ばしてウサギちゃんの背中を触ったわ。そしたらすっごくあったかくて、それに震えていたの。ウサギちゃんも怖がっていたんだって分かったら、優しい気持ちになれたわ。それで、一生懸命撫でた。怖がらなくていいんだよってね。暫く撫でてたらね、ウサギちゃんの目が糸みたいに細くなったの。なんだかトロンってした表情から眠いんだって分かったの。安心してくれたんだって思うとすっごく嬉しかった!!
ゆっくりとウサギちゃんを抱いてみたわ。意外と重たくってよろめいちゃった。急いで椅子を見つけて座った。私のぎこちない手つきのせいだよね、ウサギちゃんの目がまた真ん丸になってた。起こしちゃってごめんね。でも私が緊張してるの知ってるのかな。私のお腹に頭をこすりつけて撫でてくれるの。あっという間に私の堅くなっちゃった気持ちがほぐれていくのを感じたわ!!私もウサギちゃんの背中を一生懸命撫でて、それからぎゅつて抱き締めたわ。お人形さんとは比べものにならないくらいあったかくて柔らかくてそれから……。とにかく、何もかもがお人形さんとは違うの!!初め気になってたはずの周りの子達のことなんて、まったく気にならない。このウサギちゃんしか見えない。もうこの子さえいればどうでもいいって思った。
「そろそろ行くわよ」
突然何度も聞いたことがある声がする。そして私の大嫌いな言葉。朝家でも聞いたっけ?
無視したい――そんな気持ちをなんとか押し込んで顔を上げると案の定。そこにはママがいた。
「ほら、そろそろ。」
その時、もの凄い考えが浮かんだの。素晴らしい、そして恐ろしい。
『すぐに行くわ。だから――。
さ き に い っ て て、』
舌が渇いててざらざらしてきたの。早くいってよママ!!
「分かったわ。迷子にならないでよ。さっきの広場にいるから」
そう言い残して背を向けたママは、あっという間に見えなくなった。
息が荒くなっているのが自分でも分かったわ。私はすぐに周りを見たの。みんなウサギちゃんに夢中で、誰も私のことなんて見てなかった
震える手でリュックを開けたわ。お弁当と水筒しか入っていないから、ずいぶんスペースがあったの。私はこの手で、ウサギちゃんを中に押し込んだわ。急いでチャックを閉めて(ちょっぴり開けておいたわ)背負い直して飛び出しだの。自分でも信じられなかった。自分がやったこととは思えなかった。それでも確かに、この背中のずっしりとした感触が全てを物語っている。
すぐにママの所に向かったわ。ウサギちゃんは小さかったし、ウトウトしてたからかほとんど動かなかったわ。だからバレたりしない自信があった。
ママは直ぐに見つかったわ。パパと一緒にお話ししてた。向こうも私に気づいたみたいで手を振ってる。でも振り替えさない。駆け寄ってこういったわ。
『お腹痛いみたい。もう帰りたいわ』
さっきまでウサギちゃんのお家で楽しそうにしていた私を疑いもしなかったわ。2人とも凄く心配そうだった。心の中で謝ったわ。ごめんね、パパママ。
車の中では狸寝入りをしていたわ。ドキドキしていて眠れるわけなんかなかった。途中で「顔色悪いわね」なんてママが言うから、なんだか泣きたくなっちゃった。兎に角お腹にリュックを抱えてウサギちゃんの寝息に触れていたわ。
自分のお家に着くまでの道のりはすっごく長かった気がする。着いた瞬間二階に上がって自分の部屋に閉じこもったわ。1秒でも速くウサギちゃんを自由にしてあげたかったの。
私は今、布団をかぶって寝ている、と言うことになっている。でも本当は違うんだよ。布団の中でウサギちゃんと遊んでるの!!もちろんリュックの整理はしたわ。水筒とおにぎりを出して、ウサギちゃんの毛はティッシュにくるんでゴミ箱に捨てたの。あの時は手が震えたわ。
突然扉を叩く音がしたの。びっくりして心臓とまっちゃうかと思ったわ。『はーい』って元気のない返事をしたらママが晩御飯を持って入ってきたの。ママは私に優しすぎる。
「調子どう?少しは食べれそう?」
『もう少し寝たいかも。でも、後で食べるから置いといて』
ごめんね、ママ。
「分かったわ。じゃあね」
ママは部屋から出て行ったわ。
1日のうちに、私は何回嘘をついているのかしら。ママ、パパ、本当にごめんなさい。 それから、お盆にのっていた野菜をウサギちゃんにあげたわ。凄く嬉しそうにたいらげたの。結局食器の上はほとんど空っぽの状態になっちゃったわ。ウサギちゃんを毛布の中に隠した後、私は食器を下げにいった。心配そうな2人の視線が、逆に怖かった。
「大丈夫か?」
いつもひょうきんなパパが顔を曇らせているの。
『うん、でも今日はもう寝るね。』
弱々しく微笑む私は、本当にずるくて悪い子よね。それでもこんな私に2人は更に優しくするの。
「「おやすみりっちゃん。」」
涙が出そうになっちゃったから慌てて2人に背中を向けて、階段を駆け上がった。おかげで“おやすみ”の一言を返し忘れてしまったわ。
部屋に帰ると、ウサギちゃんが毛布の中でもぞもぞしてたわ。それを見てちょっと元気もらっちゃった。でも電気を消して、毛布に入って見たら不安な気持ちでいっぱいになったの。これからどうしよう。私だって分かっていたのよ。悪いことってことくらい。私がやったことは“誘拐”。この間、テレビがある誘拐事件を報道していたから知ってるの。きっと明日になったら「〇〇動物園のウサギが誘拐されました」って、大騒ぎになっているわ。うまく隠し通せるかしら……。ウサギちゃんを見てみたら、ぐっすり寝ていたわ。丸まった背中が気持ちよさそうに上下しているの。考えるのも疲れちゃった。
掛けたこともない部屋の鍵を掛けて毛布に潜ったわ。隣には寝息をたてるウサギちゃん。背中に触れれば、命の音が聞こえてくるの。安心して目を瞑ったわ。
ドンドンドンッ!!
突然の大きな音が私を起こしたみたい。私が口を開くより先にドアが開いたわ。さっきのは、誰かがドアを叩く音だったのね。上体を起こしたら、そこにはママが立っていたわ。随分顔色が悪いし、荒い息をしていたの。急な緊張が走ったわ。とっさに、毛布にできた小さな膨らみに手を乗せちゃった。
足早にママが近づいてきて、ベッドの側にかがみ込んだわ。
「どこ、ウサギ、莉音?」
母の片言が針みたいに私の頭にチリチリ刺さる。私は上手に息ができなくて苦しくて、首を振ることしかできないの。ママが毛布の角をつまんだ。ママの行動の意図を理解した私は、慌てて毛布を押さえ込んだわ。でも私の弱い力じゃなんの反発にもならないの。ママの成すがままに毛布は引き剥がされたわ。
「ひゃっ…」
ママの口から悲鳴にもならない音が聞こえて、視線をウサギちゃんに移す。そこには私が想像していたウサギちゃんはいなかったの。足や手がおかしな方向を向いたままで、ぺしゃんこに潰れていたの。もはや生き物としての正しい姿を忘れてる感じだった。さらに、認めたくない空想を決定的なものにしたのは赤黒い液体。ウサギちゃんの耳や目、それから口…あらゆるところからそれが流れ出て、ショッキングピンクのシーツを濡らしていたわ。
『ウ…サギ、ちゃん?』
視界がぼやけてきて、少しずつ暗くなっていったの。頭が回らないし、体に力も入らない。ただただ、堕ちていく心地に身を任せていったわ。
重たいまぶたを無理やり開いたら、いつもと同じ部屋にいたわ。赤い色にドッキリしたけど、それが毛布の模様だったことにすぐ気が付いたわ。不安になって、恐る恐る毛布をまくったけどそこには何もなかったわ。赤黒い液体も、何にもなかったの!!あの恐怖が夢だったことの安心感とあるはずのぬくもりがないことへの驚きと、全然違う感情が混ざり合って変な気持ちになったわ。不思議と焦りはしなかったの。なんだかウサギが怖くって、ウサギちゃんを誘拐したことも夢であってほしいとさえ思ったわ。
でも、部屋を見渡したらすぐにウサギちゃんは見つかったわ。部屋の隅をうろうろしていたの。なんとも言えない抵抗がありながらも近付いたわ。でも、抱こうとした瞬間に逃げちゃった。昨日はあんなになついていたのに今日は落ち着きがない。
コンコンコン。
「りっちゃん、起きてる?」
ドア越しだから声が少しこもっている。でもすぐにママだと分かったの。もうこの声を聞いた瞬間に全てが崩れ落ちたような感じがしたの。もうだめだって。これ以上隠し事も騙すことも、体力的に無理だって分かったのよ。
途方に暮れ座り込んでいたけど、重い腰をなんとかあげたわ。それで、よろめきながらドアに近づいたの。それで思いっきりドアを開け放ってママに抱きついたわ。ママのぬくもりに、触れた瞬間涙が溢れてきたの。それと一緒に言葉もこぼれていったわ。
『ママ…ごめ、んなさい!!私、いけないこと、しちゃったよぉ!!動物園のウサギちゃん、誘拐しちゃったのぉ!!』
怒られはしたけど、案外ママは優しかった。告白の後は、大急ぎで動物園に向かったわ。休日だったからパパも一緒。なんだか、全てをぶちまけたらすごくスッキリした。帰りにはお菓子も買ってくれたんだ!!
ある朝、起きたらシーツが真っ赤に染まっていたの。同時に、下腹部に激しい痛みを感じたから、この大出血の原因はすぐに分かったわ。といっても冷静ではいられなかったわ。こんなことは初めてだったから。それでもお母さんに変えてもらうのも恥ずかしかったから、自分で処理することにしたわ。まずこのシーツは捨て。2枚組で買ったから、もう1枚あるはずだしね。
剥がしてみると、思った以上に広範域にわたり敷き布団が汚れていたわ。ただ、少し離れたところに明らかに昨日今日の物とは思えない血痕が見つかったの。薄緑の敷き布団に黒々と際立っている。ぼんやりとその黒い斑点模様を眺めていた――。
『いやぁぁぁぁああああ!!!!』
突如蘇った数年前の悪夢に、ただただ首をふり、絶望することしかできなかったの。
結局もう1枚の新品のシーツはなかった。 この日を境に、私の部屋を取り囲むウサギのぬいぐるみ達は姿を眩ませた。
少女が誤ってウサギを潰して殺してしまったというオチです。そして、全てを悟った母が、必死に娘を庇います。シーツを換え、ウサギを処理して新しいウサギを買ってきて、莉音の隣に寝かせます。ところどころにで母の行動を匂わす文を散りばめたのですが、非常に分かりづらくなってしまいました…すいません。
※母は部屋の合い鍵持ってますよ!!
矛盾点や感想ご意見御座いましたら、教えて頂ければ嬉しいです。駄文の閲覧、ありがとうございました!!