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Dear 鈍感男

作者: micro幻滅

初めての短編小説です!

実際に「鈍感男」がいるなら、こんな感じなんだろうな、と思って書きました。

見苦しいですけど、宜しくお願いします!!

「....お...に.....お」


 遠く、向こうから何かが聞こえる

その何かは、ゆっくりと意識を浮き彫りにしていくような声で、思わず聞き入ってしまった。


「..おにぃ.....お..ぃ」


 次第に声は大きくなり、耳の中を這いずるかのように、頭に入ってくる。

死者が蘇る時も、こんな感じの、甘い誘惑の声が聞こえるのかもしれない。


「おにぃ...早く起きてよぅ.....送れちゃうよ」


ここまではっきりと聞こえると、流石に起こされているのだと、分かった。

それでもこの布団は心地良いのでなので、出たくない。

スマンが、寝させてもらうぞ!


「そんな固い決心しないでよ!?あかねもそろそろ限界だからね!えいっ」

「うぉっ!」


「バタンっ」、と床に叩きつけられたせいで、眼が覚めてしまった。

相変わらず茜の力は強いな、と感心していると、横にもう一つの人影が見えた。


「若者らしく軟弱だな、海松みる

「褒め言葉?なら、嬉しいんだけど」

「生憎とけなしている。それよりさっさと着替えろ。学校に遅れるぞ」


朝の貴重な時間を奪ったのは、可愛い義妹の茜。

まだ中学生だけど、その朗らかな笑顔は見ている人を幸せにする。

オレンジ色の髪が今日も綺麗だ。


もう一人は幼馴染の綾野 ミサ(あやの みさ)。小学生からの付き合いだ。

顔は良いし、外面もいい。黙っていれば、モデルにも見えなくもない位、可愛い。

しかし、中身は酷い。

つまらなきゃ蹴るし、人をパシリ扱いする。


「呆けていると、置いていくぞ」

「おにぃ、早くしてね!」


二人の誘いを適当に返して、俺はゆっくりと起きる。

これがいつもの日常だ......






「却下」

「何でですかぁ!!自分で言うのもなんだけど、結構良い出来ですよ!」

「今時、こんなコテコテのラブコメが流行るかっつーの。しかも何だ、この主人公の名前」

「え?あぁ、{海松}ですね!名前は日本の色から取りました!紳士でもあり、ちょっとツンデレ!そんな皆に愛されている、斬新なキャラクターですよ!さらに」

「誰が嬉々と登場人物の説明をしろと言った。幾ら思春期でも、ラブコメに自分の名前を使うな。ついでに、その設定、全然斬新じゃねぇ」

「今までに無い主人公だと思ったんですけど!?」

「まぁ、逆にここまで王道なのはいねぇけどな...」



ここは某出版会社の待合部屋。

ちょっと狭いけど、俺の大好きなラノベで囲まれているかと思うと、ワクワクする。

ここで俺、八雲やくも 海松みるはこの前書いた自信作を担当に見せている。

ラブコメを書き出して、早3年....一向にうまくならないけど、

いつか俺の大好きなストーリーが色んな人に聞いてもらえる日を目指している!!



「ニヤニヤと壁を見つめるな。それより、もっとお前の個性を出せ。折角...いや、何でもない」

「折角何ですか?」



この世の中には、色々な文学が存在する。

そして、俺も色々書いてみたけど、結局ラブコメを中心に書いている。

俺は単純にラブコメの方が好きだから。

ツンデレにヤンデレ、天邪鬼に義妹...さらに夢の幼馴染。

全く、そんな生活を送ってみたいよな...



「まぁ、それなら別に良い。今度こそ面白いのを書いて来い。話はそれからだ」

「そんな殺生な!!それでも人ですか、お局さま!」

「その名前で呼ぶな、ミル」



俺の前にいるのは編集長の長谷川はせがわ みなと

通称「お局さま」。

編集部で最も長く在籍していて、最も独身歴が長い。

常に男を探して、常に高飛車だから「お局さま」。

一応、女性で、37歳。



「迎えも来ているらしいから、とっとと出て行け」

「うげっ、また沙織さおり姶良あいらが来ているんですか...」



自動ドアを方を見てみると、二人の姿があった。

 一つは紫色のツインテール。

背はそこまで高くないけど、バランスの取れているスタイル。

 もう一つは赤い髪の女の子。

まだまだ幼いころの面影が顔に残っている。



「全く、ミルは懲りないね。才能無いのに、頑張るなんて」

「お兄様は無駄な努力をする傾向にありますね。そんなお兄様に「自重」という言葉を贈りましょう」

「攻めるんじゃなくて、優しく包み込んでくれる抱擁はないのか....まぁ、良いや。お局さま、お疲れ様です」

「おう。今度はもっとマシな奴を書いて来い」



はぁ、これだからお局さまの所に行くのは、抵抗があるんだよな。

とりあえず家に帰って、また書き直さないと。


「そう言えば沙織、お前今日も家で食べるのか」

「勿論だよ。姶良ちゃんが作る料理って美味しいからね」

「お兄様は全然褒めて下さりませんけどね」

「当たり前だ。お前意図的に、俺の嫌いな物出すだろ」

「愛です。早く好き嫌いの無い人になって欲しいので」

「ミルはまだ、ニンジン食べられないんだよね?」



はぁ、本当にラブコメの主人公が羨ましいな。

俺もそんな生活を送りたいな...





「今の、海松君ですか」

「そうだな。ったく、相変わらず両手に花束を抱えているな」

「そうですね...ってか前から聞こうと思っていたんですけど、何で海松君は自分がラブコメの主人公みたいな立場にいることを気づいていないんですか?」


「「................」」


「...鈍感って罪だよな」

「...仰る通りですね...」

期待を裏切ったなら、土下座します。

ごめんねっ☆テヘッ



すみません、調子にのっていました。

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