第2話
バチッと目が合った。その瞬間、胸の奥がすっと冷たくなって、足の力が抜けた。逃げなきゃ、と思うのに体が動かない。
じっとこっちをみているその人の顔は青白く、体が透けていた。
「…お前、俺のこと見てる?」
どこからか分からないのに、声がハッキリ聞こえた。
僕たちは数秒間見つめ合った。
体感では、何十分も経った気がした。
突然、彼が一気に距離を詰める。
僕は心臓が飛び出そうなくらい驚いて尻餅をついた。
「なんだ、やっぱり見えてるじゃん!」
彼がしゃがみ、再び僕たちの目が合う。その明るい雰囲気に、少し肩の力が抜けた。
……思っていたより、怖くない。
何度か躊躇ってから、思い切って声を出した。
「君…幽霊…?」
彼は僕がしゃべると、一瞬目を見開く。そしてすぐに頷いた。
「ああ、俺がうわさの、軽音部の幽霊さ。」
僕は信じられずに呆然とした。
軽音部の幽霊。
本当にいたなんて。
その上、こうして会話ができるなんて…。
心臓がバクバクしたまま、呆然と目の前の幽霊を見つめた。
彼は少し考えるように顎に手を当てた。
「…お前、何年生?」
突然の質問に、僕は固まってしまった。また見つめ合ったあと小さく呟く。
「…に、二年……」
彼は得意げに笑った。
「俺は三年。先輩だな。」
“先輩”…?
幽霊なのに、先輩や後輩なんて関係あるのか?というより、彼は一体いつから幽霊なんだろうか?
目の前の幽霊…”先輩“は立ち上がって僕を見下ろした。彼が再び口を開こうとした、その時。
部屋の入り口に、誰かの気配を感じた。




