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MP日常コメディ、社長延命は今日も順調

数ある物語の中から、本作を手に取っていただき、心より感謝申し上げます。

この小さな物語が、あなたの日々にほんの少しでも彩りを添えられますように。

もし気に入っていただけましたら、ブックマークや感想をお寄せいただけると、作者にとって大きな励みとなります。

なお、全く別ジャンルの物語も公開しております。気分転換に違う世界を覗いてみたいときは、ぜひそちらもお楽しみください。

人事部に配属されて数日。月影夢子は、今日も「MP台帳」の前に座っていた。

相変わらず心の奥では緊張が消えない。

“触れるほどに社長は若返る。けれど、私の寿命はじわじわ削れていく……”

その理不尽さを知ってなお、業務は待ってはくれなかった。


最初の作業は、社員BのMP更新。

「よし、これは簡単そう……」

キーボードを叩いた瞬間、オフィスが小さくざわめいた。


コピー機が突然、印刷物を二倍に吐き出し始め、床に紙の山が積もっていく。

机の端に置いたはずのコーヒーカップが、なぜか夢子の手元へ滑るように寄ってくる。

廊下では、新人が唐突に笑顔で手を振ってきて、夢子は慌てて会釈を返した。


さらに遠くの社長室から、「フフッ」と低い笑い声が微かに響く。直後、照明がパッと明るくなる。

夢子は思わず固まった。

「……私の操作だけで、こんなに会社の空気が変わるの……?」


昼休み、休憩室で同期の小林が囁いてきた。

「ねえ夢子さん、今日のコピー機とかコーヒーとか……あれ、会社の七不思議じゃない?」

夢子はコップを持った手を止め、思わず声を裏返す。

「えっ、そ、そんな……!」


午後。今度は社員Cの資料作成ミスを修正する任務が舞い込む。

試しにポイントを1だけ減らしてみると——

近くの冷蔵庫のドアが閉まらず、牛乳パックが宙に浮かぶようにぷかりと静止した。

社員Cは首を傾げつつも、その異様な光景に驚き、結果的に自分の資料を再点検し始める。

夢子は背筋に冷や汗を流す。

“ちょっと触っただけで、現実が歪む……善行も失敗も、全部社長の若返りに直結してる……!?”


終業後。夢子はデスクに突っ伏し、深いため息を漏らした。

「……社長、今日も元気そうだったな。私はヘトヘトなのに……」


隣の席から、小林が肩を竦めて笑う。

「でも社長が笑顔で帰れたんだから、ある意味ハッピーエンドじゃないですか?」

夢子は思わず机を軽く叩いた。

「……ハッピーエンド? いやいや、これはブラックコメディでしょ……」


こうして夢子の日常は、不可思議なMP現象と社長延命のサイクルに組み込まれていく。

社員は無自覚のまま影響を受け、社長は若返り、そして夢子だけが静かに消耗していく。

秘密を抱えたその笑みは、どこか引きつりながらも、今日もまた「MP管理」という名の舞台の幕を開けていた。

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