月影夢子、奇跡で会社を鍛える
数ある物語の中から、本作を手に取っていただき、心より感謝申し上げます。
この小さな物語が、あなたの日々にほんの少しでも彩りを添えられますように。
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なお、全く別ジャンルの物語も公開しております。気分転換に違う世界を覗いてみたいときは、ぜひそちらもお楽しみください。
MP台帳を前に、夢子は腕を組んだ。
(そろそろ、ただの“遊び”じゃなくて、全社的に効果を出してみましょうか)
社長の寿命を延ばすMP。
その効果は直接的には数字だが、間接的には“周囲に妙な現象”を引き起こす。
ならば――意図的に引き起こして、社員の尻を叩けばいい。
作戦1:会議遅刻撲滅
MP加算対象:会議進行役の部長
夢子が台帳を更新した瞬間、会議室の時計が5分進む。
「え?もう始まってる!?」と慌てて走る社員たち。
結果、翌週から遅刻ゼロ。
作戦2:資料忘れ防止
MP加算対象:営業課の佐藤主任(例の元いじめっ子)
台帳操作後、忘れ物をした社員のデスクだけ引き出しが勝手に開く。
「な、なんだこれ……あ、資料!」
翌日から、全員が二重三重に確認する習慣がつく。
作戦3:安全意識向上
MP加算対象:安全管理担当の鈴木部長(例の部長昇進事件の人)
MP加算後、廊下の観葉植物がわずかに倒れる。
社員全員が反射的に受け止め、
「危ない物を放置しない!」という意識が社内チャットで拡散。
結果、社内のミスは激減。売上も微増。
もちろん社長はますます若返る。
昼休み、小林が夢子のデスクに来て、ぼそっと呟く。
「……最近、この会社、なんか怖いくらい順調ですよね」
夢子は笑みをこぼし、台帳を閉じた。
(ええ、順調よ。だって、“奇跡”はコントロールできるんだもの)
だが、その笑みは少しだけ黒い影を帯びていた。
遊び半分で触った不条理は、もう完全に“武器”に変わっていたのだ。




