1話 告白
相変わらず頭のおかしい小説です
「今までずっと、出会った時から
あなたの事が好きでした
付き合ってください」
そう言って、俺は頭を下げる
俺の正面に立っている少女は、パァッと頬を赤らめる
そして……
「あ゛ぁぁぁぁ
振られたァァァ」
そう叫びながら、逃げるようにダッシュで校門を通り抜け帰路に着く
何が頬を赤らめるだよ!
赤らめたなら赤らめたなりの返事しろよ
振るんなら赤らめるな!
俺は、この日長年片思いを続けてきた幼なじみに告白した
なぜ今か
それは、彼女と引越しによってもう会えなくなるからでもなく
今日が卒業式だからでもなく
特に理由は無い
恋愛は理屈じゃ語れないのだ
よく、理系に恋愛は向かないと仰る恋愛マスターの野郎がいらっしゃるが俺に言わせてみれば、文系も理系もどっちもどっちだ
まぁ、恋愛経験皆無の俺の言葉に説得力は無いと言われればそれまでだけど……
そんなこんなで、いつの間にか見慣れた交差点にたどり着いてしまった
信号機が青く光っている
このまま突っ切ろうとするも、渡る直前にその青い光は点滅し始めてしまった
「はぁ、振られた……」
足を止めると、どうしても件の幼なじみの顔が思い浮かんでしまう
紅潮した頬、恥ずかしそうな表情
その顔が、好きだった
俺は、勢いよく自分の頬を殴る
隣で、信号が変わるのを待っていた幼稚園園児とその母親がドン引いた表情でこっちを見てくる
俺は、振られたんだ
いつまでも、引きずっているようじゃ
幼なじみにも失礼だ
吹っ切れて、楽しく生きていこうじゃないか
信号機に灯っていた赤い光が青い光に切り替わる
俺と、園児と母親はそれを確認して歩き始める
俺は、これから新たな恋でもして楽しく生きていくんだ
俺の歩みに、先程までのような迷いはない
必然的に、俺の足取りは親子よりも早くなる
何が言いたいかと言うと、つまり
俺だけトラックに轢かれた
幼なじみに惹かれた俺は、親子にも引かれ、トラックにも轢かれる、
自分で言ってて悲しいよ
俺が次に目を覚ましたのは、病院のベッドだった
どうやら、異世界転生することはなかったようだ
俺に冷ややかな目を向けていた親子だが、さすがに人としての情というものは持ち合わせていたらしい
轢かれた俺を見兼ね、救急車を呼んでくれた
そして、目が覚めた俺だが
頭の中をひとつのものが占領していた
頭でも打ったのか……?
元来、そこまでの興味すらないはずのもの
ただ、一般市民の命を守るためだけに存在するものが
俺にはどうしても愛おしく思える
紅潮した頬、俺たちを危険から守ってくれる聖母のような温もり、対照的に機械的な冷酷さ
ドストライクだった
気がつけば俺は病院を抜け出し、件の交差点にやってきていた
懐から手紙を取り出す
全くもって書いた記憶がないが、俺の胸ポケットから出てくるということはそういうことなのだろう
手紙を両手に構え、頭を下げ言い放つ
「一目惚れです!お、俺と付き合ってください!」
カチッと何かを押したような音がする
返事は聞こえない……
どうしても気になって、顔を上げてしまった
俺の目に映ったのは、その赤くなった頬
そして、「おまちください」の文字だ
俺の、告白を真剣に考えてくれている……!?
俺は、舞い上がるような気持ちをグッと抑え
畳み掛ける
ここが正念場だ
「一目惚れ……と言ったが
顔だけが好きなわけじゃない
君のことを前々からずっと見ていた
その、ルールに厳格な姿勢
誰に対しても公平な対応
君は、俺の理想とする女性像
そのものだ
どうか、俺と付き合ってください!」
彼女は沈黙を守る
どこからか、軽快な音楽が流れ始める
まるで、俺の事を祝福するかのように
彼女の、顔色は朗らかだ
「もしかして、OKってことでいいのか……?」
彼女の返事は無い
俺たちの間に沈黙が流れる
「……」
軽快な音楽がなり止む
彼女が再び頬を紅潮させる
これは、この反応は……
OKってことでいいのか……?
いいんだよな……?
やたらと視界がぼやけると思ったら、俺の目からは大量の涙が流れ出していた
こうして、俺は彼女持ちの称号を手に入れたのだった
俺、寅福 月の青春が今
幕を開けた
次回は、元ヒロインの話にしようかなぁ