学園バトル×ラブコメ作品の再興を願って
個人的に凄く好きなジャンル。学園バトル×ラブコメ。一昔前はこういうラノベアニメが沢山あったんですが、少し目を離した隙に枠ごと無くなっていました。
取って代わったのは他でもない「なろう」の異世界転移・転生枠ですね。許すまじ! とか思っているワケではないです。このジャンルもかなり好きなので。それに本家「なろう」においては、僕が来た頃には既にこのジャンルまで下火だという評で、結構ショックを受けました。まだアニメでは転移・転生系は多い印象ですが、その原産地では既に主産業じゃないなんて。仙台牛タンが、その内実は殆ど海外産の肉を使っていると知った時と同種の衝撃でした。
なので流行においては既に先々代、いや「追放系」も挟まってるんでしたっけ。だから先々仙台牛タンの話を今からしようとしている格好ですね。化石おじさんのボヤキとも言います。
開き直って始めましょう。最初に当ジャンルのPRから。
まず何と言っても恋愛描写が書きやすい。舞台を異世界に限らない、どころか現代日本(ないし海外の学校)の作品の方が多かった印象です。つまり現代社会でデートが出来るワケです。これは大きなアドバンテージでしょう。異世界の土人文化とは違って、近代ビルディングスの街でブティックやカフェーを冷やかしたり、つまり我々が楽しさを容易に想像できるデートが書けるんですから。
以前、異世界モノを書こうと試みた事があるんですが、あっちの世界での恋愛描写の難しさに挫折した覚えがあります。お楽しみスポットを魔法で作る案とかも考えたんですが、クソむずかった。あんまり現代世界を再現しすぎるとファンタジーの世界観を壊しますし、さりとて異世界ならではのお楽しみスポットを作れる気がしなかった。多分作れても現代社会の娯楽には絶対勝てないでしょうしね。人類数千年の英知の結晶をそう簡単に上回れるワケないんですよね。
てか、そんなにデートに拘る必要ってなくない? と思われる人も居るかも知れませんが、個人的にはノーです。やっぱり気になっている男の子の為にメイクやコーデを頑張る女の子って可愛いじゃないですか。「明日はデートだ」と気負って眠れなくなる様子はいじましいじゃないですか。
危ない所を助けられた。これはキッカケに過ぎないと個人的には考えています。その好意の始まりから、気持ちを育てていくには……相手を特別だと意識して、相手にも意識してもらうための準備をして、楽しい時間を一緒に過ごして、価値観の違いを知り擦り合わせ、自分にはない長所はリスペクトしたり。そういう時間はやっぱり書いて欲しいし、自分も書きたい。デートという言葉を使いましたが、或いはそこまで身構えずに、ただ共に過ごす日常の中で、気付く、意識するでも別に良いんです。
だけど、そういう描写もまた現代社会が舞台の方が書きやすそうだなと思ってしまいますが。例えば学校の帰り道、主人公がクレープの屋台を見つけて奢ってくれた。戦っている時はあんなに凛々しいのに、意外と甘い物とか好きなんだ、と新たな側面を知って、同じく甘党のヒロインが嬉しくなる、みたいな感じで。
閑話休題。
そして、当ジャンルが持つもう一つのストロングポイントはイベントの作りやすさ、です。何と言っても学校イベントが使えますから。学園祭や体育祭、或いは学内対抗戦なんかも設定によっては可能です。学外に敵が居るタイプの設定だと少し学園要素は薄くなりますが、代わりにシビアな戦闘による緊張感を描けますね。つまり日常では女の子との恋愛を書きやすい学園という土壌を使えて、非日常では戦闘というワクワクイベントも起こせる。割と良いとこ取りで幅広いイベント作りが出来るんですね。
日常で培った信頼の下、ヒロインと背中を預け合って戦い、共に成長していくという目的(あるいは宿敵を倒すという目的)がある分、絆の深まりも描写しやすいように思えます。恋愛とバトルが、日常の萌えと非日常の緊迫が、有機的に絡み合い、相互に高め合うイベント構成を(上手い人なら)書けるジャンルなのではないかと愚考する次第です。ただ当然その配分は難しく、日常が長すぎるとダレ、戦闘が長引くとヒロインのニヤニヤイベントが恋しくなる。双方作りやすいが為に起こる弊害かも知れませんね。それでもやはり選択肢が多いのは良い事だと思います。
ここまで長広舌を振るってきましたが、じゃあ実際に再興の芽はあるのか、と聞かれると当分は厳しそうな気がします。いわゆる「強い男がモテる理論」を好む視聴者層は異世界転移・転生系が未だ堅持し、学園生活を通した恋愛はラブコメの専売特許のような状況ですからね。分業と言うか棲み分けが済んでいる今、両者のハイブリッドを出しても「帯に短し襷に長し」としか映らないのではないかと。
それでもワンチャンあるとしたら、スクールラブコメの方から伸びてくる形かなって予想します。主人公側にも個性を持たせようという機運が高まって、女の子を守れる、格闘技やるタイプとか。で、そこがインフレしていって、バトル要素も混ぜた学園モノに、みたいな。なってくれると良いなあ。
流行は巡るとも言いますし、完全に諦めるのはまだ早い。いつか再興した時、「実は昔もこういう系が流行ってた時期があってじゃな」って老害ムーブかましたい。そんな妄想をしつつ、締め括ろうと思います。マジで何の実りもない、「好き」の吐き出し、駄文の塊になってしまいましたが、最後まで読んで下さった方、もしいらっしゃれば、ありがとうございました。
「なろう」を始める際、どうせなら全ジャンルとは言わずとも、出来るだけ幅広いジャンルを毛嫌いせずに書いてみようと決めていたので、今回慣れない分野に挑戦してみました。思った以上にエネルギーが要るということが分かりました。