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手料理

榛ちゃんは何が好きなのかな?



和食?



洋食?



中華?



そんな事を考えながら、私は料理を進めます。

今日の朝ご飯は、日本人の基本、味噌汁ときんぴらごぼう!!

あと、鮭の切り身も焼かなくっちゃ。

ハァ…………榛ちゃんの為に料理するなんて幸せ………………。

何か、新婚さんみたい……。

そんな突拍子もない事を考えては赤面する私。

そんなこんなで、15分後には、とても健康的な朝食を作りあげました。

榛ちゃんは喜んでくれるかな……?

私はお盆に料理を載っけると、料理を二階に運ぼうとしました。

すると、いきなり誰かの長い腕は伸びてきて、お盆をスッと持ち上げました。



「思いだろ?それ、持ってやるよ」



そう言ってお盆を持ち上げたのは、他でもない榛ちゃんのお兄様の鳳珠様でした。



「ありがとうございます」



感謝の意を込めて笑顔笑顔。

やっぱり鳳珠お兄様は優しいなぁ。

さすが榛ちゃんのお兄様!!



うわ!!



しまった!!



つい口元が緩んじゃった……。

鳳珠お兄様にその姿を見られてないかと顔を上げると、顔を真っ赤にした鳳珠お兄様が立っていた。

………笑うのを堪えなきゃいけないほどに醜い顔を見せていたのかな?



マ………マイナスイメージを与えてしまった!!



真っ赤な顔をしたまま、階段を駆け上がって行く鳳珠お兄様。

…………やっぱりマイナスイメージだ。



「はぁ………」



ため息をつきながら、鳳珠お兄様の後を追いかける私。



「榛ちゃん、入りますよ~?」



ドアを軽くノックして部屋に入る鳳珠お兄様と私。

榛ちゃんはまだ顔を赤くしてベッドに横になっていた。



「榛ちゃん、朝ご飯作りました。今日はひとまずお粥です。おかずはきんぴらごぼうと味噌汁。………これで良かったですか?」


「ん………センキュ」



ゆっくりと体を起こす榛ちゃん。


し、榛ちゃんにセンキュって、センキュって言ってもらえた……!


ついつい顔を赤くする私。

そんな私に榛ちゃんが一言。



「口元が緩んでる。みっともない」





ハッ!!

ついつい嬉しくて顔が!!

榛ちゃんに嫌われちゃう!!



自分の顔に手をやり、慌てる私。

そんな私の代わりに、朝ご飯がのっているお盆を榛ちゃんに渡してくれる鳳珠お兄様。

榛ちゃんがそのお盆を受け取り、お粥をゆっくりと蓮華で口へと運ぶ。



「おいしいですか?」



お、美味しいといいんだけど…………。



「ああ、旨いよ」



ニッコリと笑った榛ちゃん。

うわっ………カッコよすぎて卒倒しそうです………。

しばらくは榛ちゃんが食べてるのをジッと見ていた鳳珠お兄様が、ポツリと呟く。



「オレも腹減ったな………」



こ、これはチャンスです!!

これで私の手料理を振る舞えば、もしかしたらさっきのはチャラになるかもしれません!!



「私、料理作ります!!」



私がそう言うと、キラキラと目を輝かせる鳳珠お兄様。



「マジで!?巡ちゃん“オレの為に”料理作ってくれんの?」


「はい」



スマイル。

笑顔は人間の印象アップの基本です。



「じゃあ、今から作ってきますね!!」



台所に下りて、先ほどのきんぴらごぼうを温める私。

あとは味噌汁と…………玉子焼きでいいかな。

味噌汁を温めて、玉子焼きを作り始める私。



あっ!!

そうだ!!!!

リンゴも切ってあげよう!!



私は包丁を手に取ると、きれいにウサギさんの形に切っていく。

それを真っ白なお皿にのせると、お盆にのせて、他の料理も違うお皿に盛り付け始める。



「よっし!!できた!!!!」



私は料理を置いたお盆を持つと、階段を登って榛ちゃんの部屋に入っていく。



「鳳珠お兄様~。料理が出来ましたよ。食べてみてください!!」


「うん」



ニッコリと笑ってありがとう、と言うと、料理を食べ始める鳳珠お兄様。



「うわっ!!!!すげぇ旨いよ!!」



美味しそうに食べてくれる鳳珠お兄様。

一方の榛ちゃんは、もう既に料理を全て食べ終えていた。



「ごちそうさま」



そう言って、空になった食器の置いてあるお盆を渡してくる榛ちゃん。

私は榛ちゃんからお盆を受け取ると、台所に下りて洗い物を始める。

それから数分経つと、鳳珠お兄様が空になった食器を持って下りてきた。



「ごちそうさま、巡ちゃん♪んじゃあ、オレは学校に行ってくるから」



鞄を脇に挟んだ鳳珠お兄様が、私に手を振りながら家を出て行く。



「行ってらっしゃい」



私は鳳珠お兄様の居なくなった空間に軽く頭を下げた。



………そういえば榛ちゃん!!!!



私が榛ちゃんの部屋に行くと、榛ちゃんは布団をきちんとかけてぐっすりと眠っていた。

私は榛ちゃんのその寝顔を見つめていた。

そのうちに、段々と意識が遠のいていくのを感じた。





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