第七章 看病
かなり間が空いてしまって、すみませんでした……。
「榛ちゃん!!」
そこには顔を真っ赤にして寝ている榛ちゃんと、お父様とお母様がいた。
「あぁ、おはよう巡ちゃん」
相変わらずの、ノンビリとした口調で話すお母様。
「し、榛ちゃんは大丈夫なのでしょうか!?」
お願いします!!
大丈夫であってほしい…。
「いや?全然」
スーツを着たお父様がにこやかに話す。
全然って……。
「全然ってどういうことなんですか!?榛ちゃんは死んじゃうんですか!?死んじゃうんですか!!!!!?」
完璧にテンパる私にパジャマ姿の榛ちゃんが一言。
「勝手に殺すなよ…」
あ…、しまった……。
「………テヘッ?」
私は軽く頭をポンッと叩き、可愛らしく舌を出してみる。
「ハッハッハッ。相変わらず可愛いなぁ、巡ちゃんは」
とお父様。
「本当に可愛いわ」
と、お母様。
せ、成功?
なんとかごまかせた??
「ごまかすなよ…」
呆れ顔の榛ちゃんがボソッと呟く。
…やっぱりダメだったか……。
「うーん、今日は私、仕事休めないのよねぇ」
「僕もなんだよ…」
お互いの顔を見つめあいながら、榛ちゃんについて相談する2人。
「ねぇ、巡ちゃん。今日、榛の面倒を見ていてくれないかな?」
「巡ちゃんなら安心できるし」
え~っ!!!!??
わ、わわ、私が榛ちゃんのお世話を!?
「嫌かい?」
心配そうに聞いてくるお父様。
お父様……心配しなくても、私の答えなんか決まってます!!
「そうだよな、嫌だよな、うん。いや~、お前にもまともな部分が少しでもあって良かった!!!!ほらさっさと学校行k…「榛ちゃんの為なら!!」おい!!!!」
キャー!!!!
一日中榛ちゃんの看病!!!!
ここで私のスキルを見せつけて、思い出させるの!!
「お父様、お母様、ぜひやらせて下さい!!!!」
私は目をキラキラさせながら、お父様とお母様の手を握る。
「うん!!じゃあ巡ちゃん、頼んだよ~」
「はい!!!!」
私の返事を聞いて安心したのか、2人共榛ちゃんの部屋を出て行く。
やったー!!と内心ガッツポーズをする私に、榛ちゃんが呆れた顔をする。
「お前さ、バカじゃないの?オレなんかに構ってないでさっさと学校に行けば?」
「そんなことはしません。絶対にしません!!」
「いや、だから…」
「大好きな人が体調不良とあらば、甲斐甲斐しく看病!!当たり前の常識です!!!!」
「………常識なのか?」
「はい、常識です!!!!」
更に呆れた、というようにため息をつく榛ちゃん。
その顔は心なしか赤いみたい。
……熱があるからかな?
「榛ちゃん、動かないでね?」
「おい、ちょっ…!!」
制止する榛ちゃんの声を無視して、私は榛ちゃんのおでこと自分のおでこを重ねる。
林檎みたいに真っ赤になる榛ちゃん。
………可愛い。
「うーん……熱は大体8度くらいですね」
大体の体温を予想すると、榛ちゃんのおでこから自分のおでこを離す。
……本当はもうちょっとくっつけておきたかったけど。
「榛ちゃん、朝ご飯は食べました?」
多分朝ご飯を食べてないであろう榛ちゃんに聞くと、やっぱり予想通りの返事が返ってきます。
「食べてない」
「じゃあ何か作ってくるね♪」
私は榛ちゃんの身体に布団をかけ直すと、静かに部屋を出た。