サブ14【カオス教分裂】
ベリオレットが時を越える術を使って時の狭間に移動して消えた後、王都アナタリアの城にあったベリオレットだけが入っていた奥の部屋に忍び込むカオス教の集団がいた。忍び込んだ集団は、しばらくその奥の部屋で何かを探していた。そして目的の物が見つかったのか奥の部屋を出て王都アナタリアを去って何処かへと向かった。
ベリオレットが時を越える術を使って時を越えてから数日後、カオス教の拠点にはその事を知ったメグリアット・トクリット・タタン・ジュレイドそしてアルトンが集まっていた。カオス教の拠点に集まった幹部達で次のカオス教の教祖を誰にするかを話し合っていた。ベリオレットがいなくなって四人はそれぞれお互いがカオス教の教祖になると言い争う事が多くなっていった。その四人の言い争いが激しくなっていく様子を見ていたアルトンが四人にある事を告げた。
アルトンは、カオス教の拠点にやってくる前に王都アナタリアに寄っていた。そこで王都アナタリアの城の中へと入り中の状況を確認してベリオレットだけが入れる奥の部屋へと入りそこにあるはずの魔法の鏡が無くなっている事に気づきその事を伝えに来てその事を四人に伝えた。その事を知った四人は、カオス教の教祖になる為に無くなった魔法の鏡を探し始めた。ベリオレットを失った王都アナタリアでは、教祖がいなくなったカオス教の集団は、統率の取れない集団になっていてカオス教の信者は勝手な行動をとり始めていた。王都アナタリアは、もう都市として機能しなくなっていて城の中は荒れ果ててそこにあった物は全て無くなっていた。カオス教の拠点に集まっていた幹部達も自分達の派閥を作り始めアナタリアに残った信者達も幹部達が作った派閥へと別れていった。これ以降王都アナタリアは、見る影も無くなって未来にはここに都市があった事さえ知る人間はいなかった。
王都アナタリアで奥の部屋から持ち出した物は魔法の鏡だった。魔法の鏡を持ち出した人間は、王都アナタリアにいたカオス教の人間達だった。その人間達は、ベリオレットが時の狭間へと消えた後に輝き失って魔力の無くなった魔法の鏡の力を戻す為に持ち出していた。魔法の鏡を持ち出した人間達は、その輝きを取り戻す事が出来る人間の事は噂程度に知っていた。持ち出した人間達は、その人間に鏡を渡す前に謎の力があると言われている砥石があるメンタレス鉱山へと向かっていた。その砥石があるメンタレス鉱山は、カオス教の拠点になっていたアルカット神殿より向こうにあってそこまでの道を急いでいた。魔法の鏡を持ち出した人間は人目を盗んで走り続けてようやくメンタレス鉱山の近くまでやって来ていた。魔法の鏡を持っている集団は、メンタレス鉱山に辿り着くと中へと入って行った。
このメンタレス鉱山に来るまでに近くの町などでドラコンが棲みついたという噂話を聞いた魔法の鏡を持ち去った集団は、足音をなるべく聞こえないように慎重に奥へと進んで行った。奥へと進んで行くと集団の目の前に広い場所が現れた。その広い場所にメンタレス鉱山に棲みついていると噂になっていたドラゴンが倒れ込んでいた。『一体どうなっているのか?』そう思いながら魔法の鏡を持っていた集団は、倒れ込んでいるドラゴンを横目にさらに奥へと進んだ。するとその場所の壁に謎の力があると言われている砥石が埋まっていた。埋まっている砥石からは、とてつもない魔力が溢れ出ていた。そのとてつもない魔力に戸惑いながらも魔法の鏡を持っている集団は、埋まっている砥石を採り出すとその砥石を持ってメンタレス鉱山の外に向かって歩き出した。しばらくしてメンタレス鉱山を出た魔法の鏡を持っている集団は、鉱山の中で採ったとてつもない魔力が溢れている砥石を使って魔法の鏡の輝きを取り戻せる人間がいる場所へと歩き出した。その出来事がまさかあんな事になると知らずに・・・・・・
一方その頃カオス教の拠点にいた幹部達は拠点を離れてそれぞれの派閥が新たに拠点を求めた。その幹部達の中には、消えたベリオレットに心酔していた者もいてその幹部達はベリオレット派と呼ばれた。ベリオレット派は、この状況になった元凶になった英雄達とロストリアという人間達を探す事にした。ベリオレット派は、各地へと向かい必死になって探し続けた。だが英雄達の情報は、ベリオレットが消えた後に消息不明になっていてわからなかった。ロストリアという人間については学術都市オシエーテのオスタリア図書館にいる事がわかった。ベリオレット派は、居場所がわかっているロストリアがいる学術都市オシエーテへとベリオレット派の人間を送った。指示を受けたベリオレット派の人間は、カオス教の拠点から数日かかって学術都市オシエーテへと辿り着いた。辿り着いたベリオレット派の集団は、そのままオスタリア図書館へとまっすぐに向かった。図書館に辿り着いたベリオレット派は、ロストリアを探す為に中へと入り中の人間にロストリアについて聞いて調べているとある場所にいる事がわかった。ロストリアがいるというその場所に向かう途中で何人かとすれ違った。ベリオレット派は、ロストリアがいるという場所に着いたがそこにはロストリアはいなかった。ロストリアのいないその部屋で手がかりを探していると手紙のようなものが置かれていた。ベリオレット派の人間は、その手紙に気づいて置かれていた手紙を取って読んでみた。手紙には、何者かがロストリアに危険が迫っている事を知らせている内容が書かれていた。その事を知ったベリオレット派は、逃げたロストリアを追ってオスタリア図書館を出た。オスタリア図書館を出たベリオレット派は、図書館から慌てて出てきた人間の情報を聞き回った。するとベリオレット派がロストリアがいると聞いた部屋に向かっていたその時に図書館から慌てて出てきた人間がいるという情報が入ってきた。ベリオレット派は、その人間が向かったとされる方向へと急いだ。その人間が向かった場所に急いで向かうとそこは周り全てが見える平原だった。ロストリアを追っていたベリオレット派は、広い平原を手分けして探索をした。しばらく探したがロストリアは見つからなかった。ベリオレット派は、これ以上ロストリアを探す情報が無くなってしまって探すのをやめカオス教の拠点へと戻る事にした。
魔法の鏡を持っている集団は、メンタレス鉱山で砥石を採り出した後に輝きを失った魔法の鏡に砥石を使って輝きを取り戻せる鍛冶屋の元へと向かっていた。その人間は、特殊な術で鍛冶をすると言われていたが、実はあまり普通の人間達には知られていない人間だった。その人間がいる場所は、昔の高度な文明があったとされる場所でその事を知っている人間にはオリートと呼ばれている場所だった。魔法の鏡を持った集団は、オリートにいるワーキュレート=フレイルに鍛冶をしてもらう為に急いで向かってメンタレス鉱山を出て数日後、オリートに辿り着いた。オリートに辿り着いた集団は、フレイルのいる鍛冶屋に向かって辿り着くとフレイルに輝きを失った鏡とメンタレス鉱山で採ってきた砥石を渡そうとした。だがフレイルは集団が渡そうとした鏡と砥石を受け取らなかった。集団は、再度フレイルに渡そうとした。するとフレイルは、何か思いながらも集団から鏡と砥石を受け取ると渡された鏡を見て驚き不安に陥っていた。不安に陥っているフレイルに集団は、フレイルの持つ術で輝きを失った鏡の輝きを取り戻させる事を依頼した。フレイルは集団に鏡の事を詳しく聞いてきたが、集団は鏡については詳しくはわからないと答えた。フレイルは、不本意な感じを見せながらも仕方なさそうに魔法の鏡の輝きを取り戻す術を開始した。フレイルが術を開始すると輝きを取り戻して魔力を感じるようになっていた。集団は、元に戻ったと思って鏡を受け取ろうとするとフレイルが「この鏡はまだ完全に魔力取り戻していない」と言ってその鏡をさらに研ぎ進めていった。さらにフレイルは、「完全に魔力を取り戻したら呼んでやる」と言って集団をその場所から離そうとした。集団は、フレイルに言われたようにその場所から離れてフレイルからの呼び出しを待った。フレイルが術を使って研ぎ始めてから数日が経ち集団は左京が終わるのを待ち続けた。しばらくして作業が終わったのかフレイルが集団を呼びに来た。集団は、フレイルと共にフレイルの作業場に向かった。フレイルの作業場に着くと集団は、完全な状態になった魔法の鏡を見て驚いた。数日前の時の輝きと魔力ではなくさらに輝きと魔力は増していた。フレイルは、その完全な状態になった鏡を集団に渡してきた。集団は、その魔法の鏡を素早くとるとフレイルの作業場を出た。そしてオリートを去るとある場所へと向かった。
ベリオレット派の人間がカオス教の拠点を出てロストリアがいると言われていた学術都市オシエーテに向かった数日後にカオス教の拠点は何者かに襲われた。それによってカオス教の拠点は壊されてしまった。襲った者が何者かわからないまま時が過ぎてロストリアを見つけに行ったベリオレット派の集団が拠点へと戻って来た。カオス教の拠点では、それぞれの派閥の争いと何者かの襲撃で荒廃し見る影も無くなっていた。この場所にいたベリオレット派の幹部達は何者かの襲撃を逃れて隠れていた。そして何者かが去った後に荒廃した拠点の姿を見て涙を流した。「あのカオス教が・・・・・・」一人の教祖を失ったカオス教の崩壊を悔やみながら・・・・・・それぞれの派閥がいなくなった拠点をベリオレット派は何とか元の状態に直そうと頑張っていた。
その時に魔法の鏡を持っていった集団がカオス教の拠点に戻って来た。戻って来た集団は、拠点の復興をしていたベリオレット派に近づいて輝きを放つ魔法の鏡を渡した。ベリオレット派は、見た事のある鏡を受け取ると戻って来た集団に向かって攻撃を仕掛けた。突然の行動に焦った集団は、成すすべもなくベリオレット派の攻撃を受けて怪我をした。「やばい」と思ったその時に突然現れたフレイルがベリオレット派とその集団の間に入り術を使った。現れたフレイルが使った術でベリオレット派は後方に吹き飛ばされた。その隙を見逃さなかったフレイルは、自分の所に来た集団を逃した。その集団が逃げたのを確認するとフレイル自身もその場を去った。ベリオレット派は、魔法の鏡を持っていた集団を逃したものの魔法の鏡を手に入れた。ベリオレット派は、魔法の鏡を使ってカオス教の拠点の復興と拡大を進めていった。