絶対負けない青髪ヒロイン
空のように青いパンツが見えた――と思う。それは一瞬の出来事だった。偶然、強風が吹き荒れ、目の前で女生徒のスカートが靡いて捲れて……俺は恋をした。
キッカケなんてそんなモンだ。
そう、割と単純だった。
でも、それは出会いのキッカケ。
彼女――青柳 葵は、学校一、二を争うの美少女。実際、一位と呼ばれているアイドルのクライスメイトもいて何度か会話をした事もあるけれど、俺は葵が気になっていた。
まあでも、そんな出会いが何故か仲良くなるチャンスになっちまった。
「萌くんって言うんだね。変わってる」
「あ、ああ……『もえ』って弄って呼ぶヤツが大半だけどね」
「でしょうね。ところで……見た?」
「見たって……何を?」
「そりゃあ……まあいいか。そういえば、萌くんってあのアイドルの子が好きなの?」
頬を朱色に染め、笑顔で誤魔化す葵は例のクライスメイトを挙げた。その名も『倉敷 万結』といい、容姿端麗でスタイル抜群……性格が良くて誰もが憧れる存在だ。
俺だって以前は憧れていた。
でも。
「いや、俺はそんなに興味ないかな」
「そっか、じゃあ……チャンスあるかな」
「ん?」
「ううん。なんでもないっ」
笑顔で去っていく葵。
なんだろう、機嫌が良さそうだったな。
いつもは氷のように冷たく、近寄りがたい感じがしたけど――まさか、こんなにも優しい女の子だったんて。話せてラッキーだった。
◇◆
数日後の放課後。
友達からお前のラッキーカラーは『青』だぜって言われて、俺はちょっと気持ちが高ぶった。良い事ありそうだな。
それから葵と合流。
あれから葵とは名前を呼び合って、他愛のない話をするような仲になった。
「――萌くん、今日、倉敷さんに話しかけられてなかった?」
「ん、ああ……ちょっとね」
「ちょっと?」
正直、言い辛いな。
でも、彼女に嘘はつけない。
「実は告白された」
「こく……嘘っ」
「でも、俺には好きな人がいるから断った。すまん、実を言うと……断れなくてここ数日でお付き合い的な事もしていた。向こうはアイドルだからさ、一応どんな子かなって気になったし、でも最終的には断ったよ」
「え……(よ、良かったぁ)。因みに、好きな人って?」
じっと見つめられ、俺は……これがチャンスだと思った。今なら気持ちを打ち明けてもいいとさえ思った。だから告った。
「葵だよ……」
「…………そ、そうだったんだ。あは、あははは……なんだか、両想いだったみたいね。嬉しい」
「そうだったのか? 意外だな。俺はてっきり……嫌われるかと」
「そんなワケないよ。だって、ラッキーカラー『青』だったし」
と、葵も『青』と言った。
あ……被ってたんだ。
良かった、青を選んで。
今日から俺と葵は付き合うようになって、甘い恋を始めた――。