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第1話 うちの子が丁寧過ぎる

 ――プシッ! プシャッ! ベキッ! ……ガチャ。


「はぁ、はぁはぁ……。んっ。た、ただいま」


 今日も家の周りで群れているモンスターたちを殺してからの帰宅。

 家自体は『障壁』が効いてるから攻撃されてないけど……。この土地が悪いのかなあ? なーんで片しても片してもとんでもない数のモンスターが湧くのか……謎だ。

 まぁさ、その分レベルは上がるんだけど……。ただ流石にこれ以上帰りが遅くなっちゃうと『コロちゃん』が心配――


「……。ヤバ――」


 疲れた体でリビングの扉を開けると、俺の唯一の癒しである大大大大好きな愛犬『コロちゃん』がいつものように出迎えて……。くれてない。それどこか人間みたいに椅子に座って、毎日俺が大事に飲んでいる高い酒をがぶがぶ飲んで……。

 しかもなに? 『ヤバ』って……。えっとぉ……。これコロちゃんが日本語を酒やけ声で発しているっていう悪夢見てるだけだよね? 実は夢の中なんだよね?


「あの、えっと……。ご主人様も飲みます?」

「……。はい」


 ……。いやいやいやいやいや! そこは『はい』じゃないじゃん俺っ! くそ! コロちゃんの口調が無駄に丁寧なのずるいって! 俺さぁ、コロちゃんが敵かどうかの確認とこうなった原因を聞かないとじゃん……。なんでコロちゃん相手にまでハイパー人見知り発揮しちゃうんだよ……。


「ロックでいいですよね? ご主人様お酒強いですから。それとおつまみはどうしますか? そういえば冷蔵庫にポーク●ッツが……。あ、別にこれは下ネタじゃなくてですね! 勿論ご主人様のが立派なことはご存じですから!」


 ……。ちょっと高度なネタ存じてるのやめてぇ。

 コロちゃんが人間の俗世に染まってるの解釈違い過ぎるわ!。


「えっと……おつまみの前に……。はい、ご主人様」

「あ、りがとう。それでそのぉ、おつまみはいいからちょっとそこ座ってもらってもいい?」

「っ! ……はい」


 体をビクンって……。しかも神妙な面持ちだし……。

 もしかして怒られる、とか思ってるのかな?

 確かに酒を飲まれたのはあれだけど、ここにいるコロちゃんがいつもと同じコロちゃんって確認できたなら……怒るより先に受け入れてやんないとな。


「なぁ……。コロちゃん、でいいんだよね?」

「はい。それはご主人様が、ご自身の戌飼蓮いぬかいれんという名のもと、私に与えて下さった特別な名前です」

「そっか……。じゃあコロちゃんの種族が『コボルト』だったとしても攻撃できないや」

「え? ということは……い、いいんですか!? コボルトは、モンスターは人間の敵なのに……って、あ!」

「やっぱ『コボルト』かぁ。変わらず暮らすのはいいけど、バレたらヤバいなぉ、流石に……。もし、『バスターズ』の奴らに勘付かれたとしたら……。最悪俺も殺されかねないや! はは、なんて――」

「すみません」


 空気読み間違えた。

 これだから対話って嫌いなんだよな。ほんと俺『バスターズ』って、モンスター殺すだけの職に就けて良かったわ。


「ま、まぁ、そんな顔しないで……。別に家から出なければ早々バレることも無いんだし……。ほら飲も飲も! 折角コロちゃんが用意してくれた酒もあるんだしさ! こそこそ酒飲んでたってことはコロちゃんも好きなんだろ?」

「は、はい大好きです! じゃ、じゃあ遠慮なく……」


 おお……。

 度数高い酒なのにストレートで一気ですか。

 ……。……。関心してる場合じゃなくね? これ、このままだと俺の分まで飲まれかねないって!


「ちょ、コロちゃん! 一緒に住むのは許したけど、それを一本空にするのは許してないからっ! それにそんなに飲んだら……俺、他にも聞きたいことがあるんだよ! なんでコロちゃんはリスクを冒してまで俺のとこで――」

「ぷはあっ!! ……。あっ! これちょっと……。やばぁ、漏らしちゃった……」

「漏らしっ! ……え? でも濡れてないけど……」


 粗相をしたと思ってまじまじとコロちゃんの股間を見てるけど、その様子はなし。

 リビングがアンモニア臭で満ちないのはいいことだね。

 ……それで、尿じゃなかくて何が漏れたっていうのかな?


「ご主人様、あの、私、実はですね……。先に謝っておきます、すみません! それで、その、とにかく頑張ってください! いつもみたいに!」

「え? コロちゃん? 一体何を言って――」


 ――ガーッ!


 いきなり立ち上がったコロちゃんは勢いよく窓の方に向かい……そのままカーテンを開いた。

 そんでそこにいるのは……ワイバーン、かな?


「強さでいうと恒常的に湧く……ひっく! 比べ物にならない強さ……ひっく! このレベルだと生半可な魔法は……ひっく! 突破……ひっく! あー、ちょっと、一気に飲みすぎてアルコールの回りが……ひっく! ……あー、おやすみなさい」

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


 ――バリンッ!


「コロちゃっ、おまっ、この状況で寝てんじゃねえええええええええっ!!」


 でもそっかそうだよな。酒飲んで身バレするような奴なんて絶対ろくでなしだよな。

はぁ、騙された。やっぱ丁寧な口調ってずるいって。

お読みいただきありがとうございます。

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