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闇鍋プロジェクト 作者人狼短編集  作者: 闇鍋Project
第一回 7/26(日)開催
2/18

さんざんな日

轟音とともに、奴らがドアを蹴破って迫ってきた。

行き止まりの部屋に、サングラスをかけた暴漢が3人ほどなだれ込んでくる。


ここまで来たなら、もうあの手しか残されていないだろう。


「ミウちゃん、準備はできてる?」

「大丈夫だミウ!」


それを聞いた私は、ハート型のペンダントをかかげる。

ミウちゃんはその上を飛び回って、尻尾でハートの形を作る。


「変身!ハイパーミラクル★超プリプリ天使モード!」


何度言っても恥ずかしさを覚えるセリフをつぶやく。

すると体が光りだし、ハートを象ったきらびやかな衣装に包まれていく。

変身が終わり、体が魔法の力で満たされるのを感じながら、私は言い放った。


「サンハート・ジブリール、ここに降臨!」

「……」


あまりのことに、暴漢たちも絶句しているようだ。


「ちょっとカッコつかないけど、こっちからいかせてもらうね」

「ブライト・ハート・フレアー!」


私は橙色の炎を相手に向けて放つ。

暴漢たちは逃げ出そうとしたけれど、炎が熱くないことに気付いてとまどっているみたい。

落ち着きを取り戻した彼らは、ボスに報告するのか一時撤退しようとしていたけど、急に倒れこんでしまった。

それもそのはず。

この炎は、一時的に相手の意思を燃やし尽くしてしまうのだ。


いまのうちに彼らを縄で縛りつけ、ついでに蹴りをくらわせてやる。

「カワイイ」コスチュームにはおよそ似つかわしくない性格の私が魔法少女をやっていて、いちばん気分のいい瞬間だ。


「あとはケーサツに通報すれば……」


そう思った瞬間だった。

突然背後からガラスの割れる音が響き、慌てて振り返るとそこには新たな侵入者がまた3人ほど乗り込んでいた。

報告ではターゲットは3人だったはず。増援があるだなんて聞いてない。

魔法を使おうにも、太陽の光を魔力とするサンハート・ジブリールは屋内では魔力を補充することができないうえに、先ほどの戦闘で魔力を使い果たしてしまっていた。

絶体絶命。私は杖を構え、頭で策をめぐらせながらも、無事では済まなそうだとわかっていた。


そのときだった。

急に床が突き破られ、土と雑草の根が全身にへばりついた、作業着姿の男が這い出てきた。

なんだかキモイ。


「大丈夫かい?お嬢さん」


彼は私を助けようとしてくれたらしかった。だけど、ちょっと彼ともお近づきにはなりたくなかった。

突然のことに、増援部隊もとまどっている。今がチャンスなのは明白だった。


「ミウちゃん、しっかりつかまって!」


私はミウちゃんを抱えて一目散に逃げだした。こんな日もあるのだ。

"機関"には、話が違うってクレームをうんと入れてやらなきゃ、そう思いながら。


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