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最高のスタートダッシュ?

中学生編です。実質ここからが本編です

「冴木雪穂です。部活は箏曲部に入ろうと思っています。よろしくお願いします。」


「冴木彩夏です!えっと、部活は吹奏楽部に入ろうと思ってます!スポーツも好きなので仲良くしてください!」


「冴木美春です。部活は決めてません。不要なコミュニケーションは取る気がありません」


ガタ!


「美春!」



雪穂に怒られる。

そう今の時間は中学入って初めて授業であるロングホームルームだ。ここもそこそこな有名な私立校なので、挨拶はしっかりと思ったのだが、周りの男子の目がなんか腹立たしく、こんな最初の挨拶になってしまった。でも掴みはバッチリだよね、ある意味…


てか名簿おかしくない?五十音どうなってんの?彩夏→私→雪穂の順でしょうが。なんで姉妹順…どうやらお偉いさん(各家の主人)の意見が席に反映されてるらしい。基本前の席が、あまりお金持ちでは無い人達ってところか。いや〜大人は黒いね


そして


「雪穂。どーどー」


取り敢えず座れと手で合図すると、黙って座る。

流石にこんな場で姉妹喧嘩する訳にもいかないのは分かっているのだろう。と、言うかできればクラス離れたかったのに…なんて運の無いんだ…金が動いた訳じゃないんだろう?


「えっと、一之宮いちのみやゆいって言います。部活はコーラス部に入りたいなって思っています…」


一之宮と言うとあの、有名な電気量販店の一之宮か?

だとしたらお嬢様だな。いや私達もお嬢様なんだけど。

随分と自身の無い声だったけど……いやぁ社長令嬢も大変だよね、うん、わかる。


その後はどうでも良くて別に話など聞いていなかった。

姉妹には内緒にしてたのだが、私の学校での生活はこんなんなのだ。小学校は別だったから知らないだけで、友達を作った記憶もないし、何か行事をやった記憶もない。上手く行きそうなプランを書いた紙だけ、担当に渡して。全部不参加にしていた。


いやー学校から親に相談が行ったときは焦ったよね…

いや…割とまじで


そしてロングホームルームが終わると


「美春さっきの挨拶はどうかと思うよ」


「表に立つのは、姉ちゃんズでいいよ。私は裏でこそこそしてる方が性にあってるし。友達とかいらなくね?」


「そんな事ないでしょ!」


今度は彩夏か


「いや…小学校でも一切友達とかいなかったから。今更要らない」


「楽しい?」


「学校に楽しさ求めてどうすんのさ、あくまで教養施設だよ?勉強できりゃ先生も悪く言えない。もし、気に食わない輩が虐めようって言うなら、私の頭脳と武術で徹底的に潰すから、大丈夫だよ」


姉二人は絶句と言う面持ちだ。

そりゃそうだよな。自分達が楽しく小学校生活を過ごしていたら、妹はとんだ廃れた小学校生活を送っていたのだから。

元は同じなのに…とかぼやいてる


ごめん…私だけ元違うから………精神年齢がな…私だけ以上に高いのよ…社会に対し達観してんのよ。

許せ姉ちゃん


「って訳だから。友達作りならあっちへゴー」


「お母さんに報告しちゃうよ?」


「安心したまえ。もう知ってる」


私に協調性を求めないでください。前世でもあまり人に関わってこない拗れた人生送ったんだからな、三つ子魂百までって言うし。細胞は若いけど前世で死んだのが28歳だから、精神的には40歳近いのよ、私。

見た目のおかげで、多少精神年齢の上がりは抑えられてるかもしれないが……それでももう30代なのだろうか……


「彩夏行こうか」


「うん!またね春」


「ういー」


そう言い姉ちゃん2人は皆が騒いで、それぞれが更に深く自己紹介をしあっている場所へと、向かっていった。

あと5分もすればまた授業なのに、よくやるよ


「あの…」


5分か…寝ようにも短い時間だな…本って言っても持って来てないし、スマホは回収されてるし。曲でも聞けばいいか


「あの…」


完全ワイヤレスのイヤホンを左耳だけに付けて、持ってきていた音楽プレイヤーを起動して音楽を流して、さぁ伏せよう。

完全に私はこのクラスで浮いた。視線が集まることはない。


「えっと……冴木美春ちゃん?」


すると肩をとんとんされた


「うぇ!?」


あまりにも急な事で、変な声が出てしまった。

後ろを振り返ると、あのコーラス部志望の某電気量販店の社長令嬢、一之宮結さんじゃありませんか。いや…知ってたけど。

と言う事はさっきから聞こえてた「あの…」は私に宛てたものだったのか


「今は…イヤホン…駄目だと思うと」


なんだ…そう言う類の人ね


「脱税も横領もバレなきゃ問題にはならない。よってバレてない。イコールオールOKって訳だ」


「だって先生入って来たよ」


「ばっきゃろーそれを先に言え!」


私は一瞬でイヤホンを、外しケースにしまった、かばんにブチ込む。まったく…チャイムがなってから来てほしいものだ


「助かった」


「ううん、気をつけた方がいいよ…」


「だなぁ。てか私がイヤホンつける前から呼んでたみたいだけど、何か御用でも?」


「えっと少しお話したくて」


ほう…さっきの姉妹の会話が聞こえてたと言うのであれば、ここでお話したいは中々な強メンタルの保持者だな

まぁ頭ごなしで追い払う気は無い、あくまであの自己紹介は魔除けだ。自分イケてるなんて勘違いしてる男子用の防虫剤だ。


「姉妹で仲良くないの?」


あ…分かった。メンタルが強いんじゃない。会話の流れと、空気が読めない子だ。初対面に聞く内容では無いだろ…


「仲はいいよ。考え方が私だけ異常に捻くれてるだけ」


「そ、そうなんだ。私人と"うまく"仲良くしたことないから。どういうものなのかなって」


「と、言うと?」


「人と話してて話の流れとか、空気読めなくてさ…最初は友達っぽい人はいても離れて言っちゃうんだ」


うん…分かってた。と思ってしまう。でも亜麻色のセミロングヘアーにクリッとした同じく亜麻色の目。結構見可愛いから悪い虫くらいはよってきそうだけど。

まぁ、友達が離れて言ってしまうは、よくわかる話だ


「まぁ、少なからず業界の人が集まってるから、友達は自分のステータスになるからね。人気な人のグループに入ればその人気の恩恵を受ける。逆に嫌われてる人のグループに入ればその人は、その人といるからと言う理由で嫌われる、呪いを受ける。 私もだけど一之宮さんも分類的に後者だった訳だ。私はそもそも拒絶してたし。一之宮はその空気が読めないってのがあって、嫌われるグループになるかもしれないってのが生まれて、周りが拒絶した。誰だって少しでもと高い地位にいたいから。そして地位が低くとも、下にまだ人が入れば安心感が生まれる。ステータスってのはそういうもんでしょ?」


すっごい長ゼリフだった。やばい喉乾いた。

なかなか壊滅的な友情論を語ってみたけど…今思い返すと結構な事言ってるな。でもわかる、前世で私も空気読めってよく言われては無いけど、そう言う視線を浴び続けたから。だからよく読んで空気と一体化して、迷惑かけない様にしてたから。


私の前世悲し……


「あはは、やっぱり変わってるね」


「自負してるよ」


「ねぇ、部活見学行くんでしょ?」


話がコロコロ変わる子だ。


「まぁ」


「じゃあ一緒に見ていい?冴木さんと話してると楽しいや」


変人は変人を………類は友を呼ぶってか……。どうやら友達ができてしまったらしい。と言うか懐かれたと言ったほうが正しいのだろう。


「御学友ってやつ…でいいんだよね?」


「友達って言っていいの?さっき不要なコミュニケーションは取らないって言ってたけど」


「一之宮さんは要らないコミュニケーションを取りたがらない人種そうだからいいよ」


「んじゃよろしくね」


「あぁ、よろしく」


人生初めて友達ができた瞬間であった

この友達を作った事が私にとって凶とでるか吉と出るかは

まだわからない。でも少なくとも悪い気はしなかった

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