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我らが長女

この回は作者の完璧な趣味の回になっています。

でもいちおうは雪穂お姉ちゃん回となっております

1月の半ば今日は長女雪穂の所属する筝曲部の地域主催の大会になる。

筝曲と言うのはおことの事であり、私にはよく分からない

でも、ここに来てもう4校目となるが素人目からして、どのように差があるのか分からないが、琴の音色は結構好きなことが分かった。

てっきり筝とかの曲ってスローテンポな感じかと思ったが、結構アップテンポな曲ばかりなのだなと思った


ちなみに彩夏はうんうんと頷いては熱心に聞いている。

やっぱり吹奏楽部として育んだ耳ではしっかりとその音楽の深いところが見えているのだろうか。

羨ましいな…


いつもの彩夏の雰囲気だと寝てしまうと思ったのだが、むしろ寝たのは父さんの方だったか…まぁ雪穂の出番になったら母さんが無理矢理にでも起こすのだろう


と考えている間に5校目の演奏が終わった

次は我らが冴木家三姉妹の長女、雪穂の出る学校だ。てかうちの学校だ



「エントリーナンバー6 私立東雲中学校筝曲部 演奏曲はみだれです」


ん?乱れ?淫れ?


他に見ている人の反応を見てみると有名な曲らしい

さてと、あんだけ練習してたんだ、期待しておこう。まぁ勝てたらプリンでも買って帰ろうかな


「っ!」


出てきた雪穂を見るといつものおろした髪ではなく、ポニーテールでまとめていた。ゴムで結った上に追加で巻いてあるのは

私が以前誕生日プレゼントで作った青いミサンガだ。


「ねーねー、あれって春の作ったミサンガだよね」


「うん」


嬉しくてにやけそうだったがぐっと堪え、演奏しようとしている人達をみる


そしてそっとその指は弦を弾いた






「ほへぇ〜」


何だろう…この感じ…


演奏が終わって真っ先に思ったのがこの気持ちだった。

他の所に比べてそこまでアップテンポではなく、しっとりとした部分があったが、一応盛り上がりとして中盤からアップテンポであった。

邦楽と言うものは一曲がポップ曲と比べ長めなのだが、あっという間であった。それ程までにのめり込まされたと言う訳だ。

隣に座っている彩夏は私以上にいろいろ感じたのか、手のひらが赤くなるくらい拍手をしている


「彩夏…どうだった…?」


「凄い…凄いよ!現代寄りの古典曲で、難易度が高いのに」


「そ、そうなのか?」


「うん!音の一つ一つがはっきりしているし、アップテンポになるから古典のリズムが崩れがちなのに、早いながらもしっかりとテンポが取れている!」


「そ、そうなの?」


もう私の把握できる域を超えていた

これから先は音楽に携わってきた人でないと分からない話なのだろう


「えっと…クラシックなのに、ポップで、だけどクラシックの雰囲気を纏っていて!えっと…」


「なんとなく分かった。次の曲が始まるからまた後で頼む」


「うん!」


その後の演奏も一通り真面目に聞き、素人目にはどこも良く聞こえてしまうが、耳ではなく心で感じろ的な事が起きたのは雪穂達から3回程あった。音どうのこうのの前に体にひしひしと伝わってくるものがあるといったものだ





「準優勝は…私立東雲中学校です……」


やったー!と喜ぶ声はあまり聞こえない。本気で優勝を目指していたからだ。私と彩夏と両親はただ会場を眺めることしか出来なかった




「みんな、準優勝だぞ!優勝目指してまた作り直しだ」


「「「はい!」」」


「解散!」


「「「ありがとうございました!」」」



会場の外で待っているとそんな声がし、雪穂がこちらを見つけ歩いてくる。泣いている子もいたが雪穂は泣いていないし、泣いたような跡もない。実力不足で割り切っているのだろうか……


そんな訳無いっか…


いくら地域主催でも大会は大会。本気でやって負けたのだ。悔しくない筈がない。つまりだ……


「雪!準優勝だね!」


「そ、そうね」


「雪、春、夏、帰るわよ」


「春、夏…行こ」


本人は頑張っていつも通りを作ってるつもりなんだろうけど、その仮面がもう綻びを見せている。

声は誤差の範囲であるが震えている、この後は車に乗るまで雪穂の"頑張り"を無駄にしない為に彩夏が必死に話しかけた


「ほら乗って」


「うん…」


車には後部座席で私と彩夏で雪穂を挟むようにして座る


「もういいんじゃないか?」


私のその言葉で全てが崩れた


「うわ〜〜!!く…やしい…よ…」


ここまで頑張って抑えていた涙と感情をぶちまける。

お堅く、不器用で、恥ずかしがりやな彼女は皆の前で泣くのが恥ずかしくて、ここまで耐えたのだ。

今にも目から飛び出しそうな涙を耐え


私の膝に蹲るように泣き続ける雪穂を私と彩夏は撫で続けた

真面目な雪穂の事だここで慰めを言えば同情だと感じ、不快さを感じるだけだ。何が悪かったのかどうなのかは雪穂自身にしか分からない。私達が下手に言葉を出してはいけない


「ご…めんね…ミサンガまで…作ってもらったのに……」


でも…ここからは姉妹として言わないといけないことがある

だからあえて両親は何も言わないでいるのだろう


「うん…頑張ってたのは知ってる…」


「お正月も2日休みだけで、部活やってたもんね」


「でも…で…も負けた…もの…」


「そうだね、負けたね。でも雪穂は慰めてほしいの?」


「………」


「なら私達は何も言わない。ただ1つこれだけは言わせて、これは同情とかじゃなくて、私個人の意見」


彩夏と目を配り本当は彩夏が言いたかったであろう事を私が代弁していい許可を得る


「私は雪穂の音好きだったよ」


「春…」


「お母さん!帰ったら傷心会だよ!」


「彩夏…言葉を選びなさい…まぁそうね。偶には外食しましょうか」


「「雪…お疲れ様」」


私の膝の上で蹲ったまま寝てしまったので、家につくまで放って置く事にした。この分なら変に気負って自分が潰れなくて済みそうかな…長女なんだから…壊れてもらっちゃ困る。私の暇つぶしの口喧嘩相手で…何よりも大事なお姉ちゃんなんだから



本当にお疲れ様…雪穂

筝曲回を書きたかっただけなんです…

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― 新着の感想 ―
[一言] 雪さん我慢の限界は家族の前で。とりあえず某琴アニメを見ておられたのかなとは思った。
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