謎の最強老人
寝正月
それは何を考える事なく、リビングや和室のこたつで寝転びなが、テレビを見ては寝て、みかんやら何やらを食べては寝て、お年玉もらっては寝て、スウェットのポケットに入れておいたらソファの隙間に入って、取れなくなり、ふて寝して。
と、とにかく寝ていればいい期間のことである
私は部活も無い事から自堕落な生活を謳歌していた。
皆は初売りに行ったりしている。雪穂に私に合いそうな服あったら買ってきてと頼んだので、こうして何をする訳でも無く、ソファに寝転び、正月の特番を見ては1人で笑ってるだけだ
ソファの隙間のお年玉は……どうしよう…
学生にとって本気でお年玉は大事なものなので、取り出したいが
あと少しで届かないのだ。
だからこうして現実逃避してる
指が長くしなやかな雪穂ならできるだろう。だからもう自分でやるのを諦めている。
雪穂の指硬いしな…琴やってるから弦楽器は指固くなっちゃうんだよな…私は手のひら硬いけどね。弓道やら護身術の副産物だ。
一時期豆だらけになったりもした。
箸もスプーンも持てずにご飯を食べさせて貰ったのは恥ずかしい思い出だ
今では1ヶ月に数回型を確認するだけとなってしまったな。
まぁそれくらいじゃ腕は落ちないけどね
ガチャ…
玄関から扉が開く音がした
ん?もう帰ってきたのか…彩夏がいるから買い物も長くなると思ったのに…ん……?
私は玄関からの気配に違和感を感じていた。
まず足音がこの家の者では無い、摺るような歩き方……?
それに一人だ…
泥棒か…?なんで家の電子ロックのパスワード知ってんだよ…
そこそこ厳重だぞ…ここ
「やるか…」
私リビングの押戸の真横に立ち、その何かが部屋に入ってくるのを待つ
ガチャ…キー
入ってきた…後は私の目の前にはあるこの戸が閉まったと同時に奇襲を仕掛けて拘束する。
現行犯だ、空き巣め
「ッス……」
閉まった瞬間に私は側頭部目掛けて、拳を振り抜いた
しかしその拳が側頭部に当たる事なく、気がついたら私は宙を舞っていた
「は…!?」
宙を待っている際に見えた景色は白髪でスーツを着た痩せたおじいさんであった。こんな年になってまで空き巣で生きていかなくても…と思ったが、次の思考をする前に床に手をつき撚るようにして反転し手で床を押し、立ち上がる
急いで体制を整えて
近接戦闘の構えを取る
「…!」
や…やばい…この人バカ強い…
まさに蛇に睨まれた蛙状態である。
美春は構えを取ったはいいもののおじいさんに隙が無く、どこを攻めていいか分からない。と言う事の前に武術を習った者だからこそ分かるオーラの様な物に完全に呆気にとられていた
「お金になりそうな物を出して貰おうかの」
「誰がやるかよ、○ソ○ジイ」
今の私にできるのはせいぜい舐められないように虚勢でもいいから、半分もう無理だと思ってる事を悟られ無いようにするだけだ
「合気…皆伝…」
私の全力をぶつけるべく前に出た。技名ぽく言ったのは無意識だ。別にそっちの方がカッコいいなとか思ったわけではない。
小学時代私はこの技で師範代を超えたんだ!(ハンデあり)師範代面子マルつぶれだよ!
相手の懐にはいっt……!
「うぐっ!」
隙は無くなるように接近したはずなのに…私が技でほんの少しだけ角度を変えたそこを狙って、当て身してきやがった
鳩尾をやられて前のめりになったところで、腕を後ろに取られ拘束されましたとさ
その時…
ガチャ
「ただいまー。春ースイーツ買ってきたよ……って春……春!!?」
次入ってきたのは正真正銘家族である、彩夏だった。
私が見知らぬおじいさんに組み伏せられて、目を虚ろにしてりゃそうなるよな…鳩尾が…それに押さえつけられて余計呼吸できない…
あぁ…呼吸が…呼吸が…これじゃ技も使えねぇよ。なんだこの爺さん鬼か?
まだくだらない事を考える余裕はあるみたいだ
彩夏の焦る声で家族が全員大急ぎでこっちに来る
多分全員で掛かっても勝てないぞ…
「父さん!」
「吉継さん!?」
「「「は?」」」
父さんが父さんと呼んだと言う事は…え…おじいちゃん…
あの?家系図的に行ったら2親等にあたる?あのおじいちゃん?
13歳になったのにお初ですね!
私はなんの為に戦ったのやら…
おじいちゃんはゆっくり拘束を解くと
「ふふ、悪かったの。雪穂よ」
あ…顔、まだ見分けついてないタイプだ…




