閑話休題 雪穂
私には三つ子の妹がいる
彩夏と美春。どちらもいい子なのだが少し癖があるのだ。それは私とて例外ではないと思うが、自分ではどこに癖があるのか分かっていない
つい昨日私達姉妹は13歳の誕生日を迎えた。
あんなに疲れた誕生日は初めてだった。知らない人に挨拶をしに行って、少しお話をして、乾杯してと、とても祝ってもらってる立場の者ではない気がしてならなかった。
ヒールのせいで踵も痛かったし…春は楽しそうに友達と食事してるし…
でも…春…手怪我したんだっけ…
何やらグラスを握り潰したらしい。いったい何を考えているのやら…
でも縫ったりするような怪我じゃなくてよかった…
「春…起きてたの?」
リビングに行くとソファに寝転がってタオルケットで暖を取りながらカタカタとパソコンをいじっていた
左手だけで上手く打ててない様だ
「雪穂、どったの?」
「春こそ、何パソコンでやってるの?」
「いや!あ…え〜!と!」
春のパソコンに写ってる画面を見ると、防犯グッズと称した武器の品々が写っていた。
麻野君と一悶着あったのは知ってるけど、それ関係なのかしら?私達姉妹は皆麻野君のことを嫌っているけど、一際嫌っている春が「本命だ」と告白されたのだ、春の性格上こう言うグッズを買いたくなるものらしい。
まぁ、これで私達姉妹は全員一度は麻野君に告白されたことになるけど……私達はそれこそ、春の気を引く材料になればいい程度だったのかな?…本命は春なのだから
「お小遣いあるの?」
「無い…だから今回は武器じゃなくて…」
「今回は…って…持ってるの?」
「…………」
昔一度お母さんに刃物を取り上げられていた事を思い出す。
そういうこともあってか春の中では真面目でお堅い私にバレれば取り上げられると思ってるのだろう
「何を持ってるの?」
「スタンガン…メリケンサック…ピアノ線…ボイスレコーダー2つ」
「これまた物騒なものね…」
これも春のいう私達を守る為の武器なのだろうか…
私達は春に負担をかけ過ぎているのかもしれない。だから春は自分に割く時間が無くて、おしゃれも何もしないのかもしれないわね…
「あ〜雪穂待ってて」
そう言いリビングを出ていった春、数十秒程で帰ってくると小さな袋に入った物を渡してくる
「…ハピバ」
「これ、誕生日プレゼント?私準備して無いわよ!?」
「気まぐれで作っただけ!」
袋を開けると中に入っていたのは…ミサンガであった。
ところどころ不格好になっているもののミサンガとしてはしっかりしていた
「1月に筝曲…大会あるんでしょ?」
「演奏会だけどね」
「へ!?大会とかじゃないの?」
「大会よ大会。意地悪して悪かったって…」
「らしくない事するなよ…」
そう言うと不貞腐れたようにパソコンを閉じソファにしっかり横になった。一之宮さんから貰ったと言う眼鏡を外してテーブルに置くと静かに目を閉じた
「昼まで寝る」
「部屋で寝なさい」
「いいよ戻るの怠い………Zzz」
「寝たフリしな……って本当に寝てる」
あまり寝れていなかったのだろうか…数秒で意識が落ちてしまった。寝顔を見るとやはり春は可愛いと思える顔をしている。
でも私もこれ以上はあまりしつこく言わないつもりだ、この手の話題になるとつい春と喧嘩になってしまうから…そのうち避けられてしまうのでは?と思うと強く言えなくなってしまう。
だって…私も春のことも大好きだから、喧嘩なんて本当はしたくない
「ふふ…」
何となく頭を撫でてみると、春の顔は居心地が悪そうだが、満更でもないと言った表情になった。
寝てても春は春だなぁ…
「誕生日プレゼントありがとう…大会頑張るね」
今だけは肩肘張ったお姉ちゃんというキャラじゃなくても良いよね……
でももう少ししたらしっかり者のお姉ちゃんに戻らないと…春が私と彩夏を悪い人から守ってくれるなら、私は春を守る。
大切な妹だから
「お休み…春」
「う……ん…」
「さてと部屋に戻って少し勉強でもしようかしら」
2、3度春の頭を撫で私は自室へと向かった
次回は美春が起きてから、彩夏とのとの会話です




