1年生大会
少し時間が経って、せっかくバスケ部なのでバスケ回書いてみました。
やや時間は進み11月になった
1年生は1年生でいろいろと忙しいもので、1学期のテストが終わったと思ったら、夏休みはバスケ部の合宿があり、夏休み明けに体育祭があり、文化祭があり、テストがあり。でまだ要領の掴んでいない私達からしたら常に時間が足りない日々であった
私もバスケ部に入ってから8ヶ月が経ち、1年生全員で真面目に練習してきた。多少喧嘩などもあったが、仲良しグループで有ることには変わりない。
それで今日は地域主催のバスケの1年生の大会であった。
新人戦は少し前にあり、私はレギュラーでは無かったが我が校は3位と言うそこそこの成績を残した。
で、さらなる技術の向上や実践経験の積み重ねを理由に行われた今日の1年生大会。
そして我が校の1年生は決勝に進んでいた。
「ふぅ…」
私は軽く息を吐くと手の汗をユニフォームで拭いた。
目の前には相手のチームの司令塔、ポイントガードというポジションの人がいる。私と同じポジションである
第4クォーター、ラスト1分。2点差である
ワンゴール毎に周りが歓声に湧く
「シッ…!」
「やば…!」
中へ踏み込んで来ると思い相手の初動に合わせ先に動いたら、それはフェイントであり、バックハンドパスですぐ後ろに来ていたサポーターにボールが渡る。
この選手のマークは由佳である。由佳はディフェンスに付きたくても私と私のマークの人が被ってディフェンスに入れない
パスッ!
そこから射たれた3ポイントシュートは吸い込まれる様に入り、審判が3ポイントシュートが決まったことを表すハンドサインが出される
残り47.6秒
再スタートし、相手陣地に入るが相手のチームもガチガチのディフェンスをしてくる
湯葉にアイコンタクトし私は全力のドリブルで中に切り込む、事はせずにバックハンドパスをする。さっきの技の真似だ
1年生で1番の上手いシューターは湯葉だ。
パスッ!
先程と同じ様に綺麗に決まったシュート。
3ポイントが決まり、また同点である
残り38.2秒
また司令塔がドリブルをしてこちらの陣地に入って来る
3ポイントエリアを沿うように的を絞らせないパス回しをして、最後に点を入れられば良いと言う戦法に入っている。
3クォーターで下がった千尋と未来は居るが、正直延長を行う体力は残ってない
残り20.1秒
真希の僅かな隙を見つけ、ここぞと言わんばかりに相手チームの選手が切り込む。その選手を目で追うと美代と目があった。
と言うところでシュートする。
これで2点差である
残り17.9秒
「春ー!」
私は美代のその声を聞き少しだけ振り返ると、遠投されたボールが飛んでくる。
私は美代のアイコンタクトで走り初めていたのだ
相手の1番足の早い選手がダッシュで戻って来るがもう遅い…いやバッチリのタイミングだな
わざと遅いステップをしレイアップシュートの姿勢にはいる。
目の前には追いつき守ろうと跳んだ選手
「ありがと」
私はわざとその人に当たりながらボールを放つ
これで同点。そして
ピッ!
「白8番ハッキング!ツースロー!」
「!!」
反則貰いました
残り10.0秒
私はフリースローを1本決めて、2本目を放つ体勢にはいる
ここで入れても2点差。3点シュートを決められたら終わりだ
「!」
湯葉にアイコンタクトを送り、私は外れる様にシュートをする。それと同時にフリースローラインから飛び出し、ゴール下のリバウンド争いに参加する。
私は助走をつけた分高く跳び、落ちてくるボールに触れる。
そして何とか後ろに弾くとリバウンド争いをしていた由佳と事故り。倒れる
が目的は果たした。あとは湯葉を信じるだけ
弾かれたボールは湯葉の方へ転がり、それを掴むと1歩バックししっかり3ポイントエリアを踏まない様にしてシュートを撃つ
残り4.2秒
高い放物線を描きながら吸い込まれていく。
ガシャン!
「うぇ!?」
外れたのであった。でももう時間は無いし、誰もあちらの陣地へ走っていない。よし勝った
「しっかり決めてよ!」
リングに弾かれたボールを取ったのは真希であった。
彼女は空中でシュートの姿勢でボールを取り、そのままシュートを放った
ビー!!残り0.0秒
パスッ!
「「やったー!!!」」
こうして私達は1年生大会と言う地域主催であるが、れっきとした公式戦で優勝することができた
8ヶ月の努力は無駄では無いことが証明されたのであった
今だけはちょっと泣いてもいいよね…
「はーるー!やったねー!」
ベンチから直ぐ上にあるギャラリー席には1番前を陣取って、応援してくれた冴木家がいて、彩夏が手を振っている
「やったよ!」
私もピースをして彩夏に返事をする
雪穂もおめでとうと言ってくれてるが、ギャラリーの暇つぶしに応援しに来てくれた同級生達の声に押しつぶされて、何も聞こえない。
だから私も口パクで雪穂に返事をしておく
これで今年姉妹で何も結果を残さなかった人はいなくなった訳だ。雪穂は筝曲の部活で出た大会で銅賞、彩夏は吹奏楽部のアンサンブルのコンクールで銀賞を取った。
「冴木さんかっこいいよかったよ!」
「真希ちゃ〜ん!最後ナイスー!」
暫くそんな称賛の声に包まれていたが、表彰式もあるのでそう言うわけにもいかないのだ。
私達は汗を拭き表彰式までまった
そしてそれは解散後の事だった。更衣室から出ると曲がり角から冴木と言う言葉が聞こえたので隠れて耳を澄ます
「冴木さんってかっこいいよねぇ!」
「お姉さん二人は可愛いけど、冴木さんはかっこいい感じだよねー」
「割となんでもそつなくこなすし、男の子相手でも気負けすらしないし」
「お姉さん二人に寄ってきた女好きの男の子、軒並み冴木さんに倒されちゃってるんでしょ?」
「それねー!冴木家の番犬なんて言われるよね!」
「あ、でも褒められたりすると、顔を赤くして照れるところとかはギャップがあっていいかも!」
「男の子だったら告白してたよー」
「変に着飾ってる人よりかっこいいもんね」
「私達も親衛隊入ろうか!」
「そうだね〜」
「さんせー」
……………
待て待て待て!?私…女の子にモテてるの?
てか親衛隊何!?私の親衛隊があるの?だからここ数ヶ月胸騒ぎがしたの!?てか私冴木家の番犬って呼ばれてるんだ…
いろいろ衝撃的過ぎて大会の余韻が吹き飛んだ美春であった。
「親衛隊って何…?」
「美春ー!美代の家行こー!」
「う、うん…」
クラス内ヒエラルキーの高い雪穂と彩夏から後で聞くことに、美代の家で祝勝会をする為に黒塗り高級車に向かったのであった
「やはり私の性転換転生は間違っている…」
「どうしたの?」
「ううん。何でもない」
今後の生活に不安を抱いたのであった
バスケか分からなくてつまらなかった人の為にもう一話あけます