#7 チュートリアル②−ステータス確認−
初めて感想と評価を頂きました…!
こんなに嬉しいものだとは…
「本当に申し訳ありませんでした!!」
お姉さんの復活を待つこと5分、やっと復帰して来たお姉さんに俺たちは土下座せんばかりの勢いで謝られていた。
「いえいえ、大丈夫ですから。頭を上げてください。トゥニアも気にしてないよな?」
「待ってる間暇だった」
やめてあげて!
素直な言葉が一番傷つくやつだから!
お姉さんが今度はショックで飛んでしまう前になんとか宥めつつ、俺たちはギルドの説明を聞くことができた。
冒険者ギルドの業務は主に依頼の受付と委託、そして素材の取引に分けられるらしい。
冒険者への依頼は依頼料と報酬を用意すれば誰でもできるらしく、冒険者が冒険者へ依頼することも可能だそうだ。
「冒険者が依頼する時ってどんな時なんですか?」
「素材の収集や初めての場所でのクエストの同行などが主ですね。パーティ内での不公平を減らすため2つ以上ランクに差のあるメンバー同士のパーティの結成は認めていないので利用される方も多いです」
話の中でランクが出て来たが、冒険者ギルドでは依頼達成件数に応じてランクが設定されており、上がるごとに昇級試験も存在しているらしい。
「依頼を受ける際はクエストボードから受けたい依頼を選択して、受付に先ほどの冒険者カードを提示していただければクエスト内容をカードから閲覧することが可能となります。受付でカードを確認しないと閲覧できませんので忘れないように注意してください」
この冒険者カード依頼の確認以外にも財布の代わりや自身のスキルも確認することができ、情報を見せる見せないの設定も細かく登録することも可能。そして所有者のみが使用でき絶対になくならない魔法もかけられた超便利グッズだとどこかの通販番組並みの情報量でお姉さんが教えてくれた。
なので、冒険者にならない人もとりあえず登録して身分証代わりに使っているらしい。
だが、そんな説明があるってことは他のものは盗めるってことだよな…気を付けよう。
「また、ギルド内の施設ですが一階には受付の他にクエストボード、食堂兼待合所、資料室があります。基本的にどれも自由に使用可能なのでぜひ気軽にお使いください」
へぇ、資料室なんてのもあるのか。
依頼を受けるときは調べろよって意味も込めて一階にあるんだろうな。
そしてあの大きな掲示板はクエストボードというらしい。
クエストの貼ってある板…まんまだな。
「2階は作業部屋となっております。個室と大部屋があり、それぞれお値段は違いますが生産作業をされる方がお使いになられます。また、2階より上は職員専用となっておりますので立ち入らないようにお願いします」
「そして、裏手には修練場と教練場がございます。修練場は昇格試験の際にも使われますが、修練場内で受けた傷は自動で治癒する機能が付いていますので冒険者の皆様が日頃の訓練の場となっています。対して教練場は主に新人の方や新たな技術を学びたい方のための場です。日替わりで交代ですが冒険者を引退して教官へとなっていただいた方も詰めてらっしゃいますのでぜひご利用ください」
「以上で冒険者ギルドの案内は終了となります。お時間を取らせてしまい申し訳ありませんでした」
「いえいえ、こちらこそ丁寧な説明をありがとうございました。ほら、トゥニアもお礼言いな」
「ありがとうございました」
あ、また悶えてらっしゃる。
子供好きなのかな、このお姉さん。
そんなことを考えていると再びウィンドウが開き、文章ログが流れる。
『冒険者ギルドへの登録に成功しました』
『これによりエリフォリア王国並びにセントルムでの身分証明、冒険者ギルドでの依頼要請・受注、各種店舗の利用が可能となりました。』
『続いてスキルのチュートリアルに移ります。教練場に向かってください』
次はスキルかー…戦う方を取った方がいいのか、それとも他のスキルの方がいいのかな。
「すみません、教練場まで案内してもらってもいいですか」
また待つのは御免なのでお姉さんへと声をかけつつ教練場へと向かう通路を探す。
あの階段横の右奥の通路かな…。
「…はっ!?はい!教練場ですね!こちらになります!」
お姉さんは、近くの職員に声をかけ受付を交代すると裏手に向かって歩いていく。
ついていく道すがら、俺はトゥニアのスキルについて尋ねる。
「トゥニアは今持ってるスキルとかあるのか?」
「私は空の精霊族だから空魔法持ち。あと、セヴァキア様の加護があるから光魔法も持ってる」
スタートから2属性魔法持ちって強すぎない?
でもお姉さんも魔法っぽいもの使ってたし、この世界の住民って魔法持ちが当たり前なのかもな…。
「ムクも光魔法持ってるよ」
2属性魔法持ちに結論づけて納得しているところでのトゥニアの衝撃発言に俺は慌てて自分の冒険者カードを見てみる。
Name:ムク
種族:人族
冒険者ランク:G
ステータス
筋力:10
耐久:10
敏捷:10
器用:10
魔力:10
精神:10
スキル:《光魔法Lv.10 初級》《》《》《》《》《》《》《》《》《》
称号:【光神セヴァキアの祝福】
所持金:500ルコ
…本当に光魔法がスキル欄に入ってる。こんな簡単に魔法って使えるようになってしまっていいんだろうか。
「でも、私もムクも光魔法は加護の効果で貰えたものだから成長はしない。だから、今のレベル以上にはならない」
なるほど…本当は今から教練場で覚えたりするのだろう。
自分で覚えた魔法ならレベルも成長するわけだから、俺たちのはあくまでもおまけってことか。
「トゥニアのカードも見せてくれるか?嫌なら嫌って言ってくれよ?」
「ん、問題ない。はい」
そう言って差し出してくれたカードを見ると−
Name:トゥニア
種族:精霊族−空−
冒険者ランク:G
ステータス
筋力:4
耐久:2
敏捷:10
器用:8
魔力:16
精神:20
スキル: 《空魔法Lv.1 初級》《光魔法Lv.30 中級》《》《》《》《》《》《》《》《》
称号:【光神セヴァキアの加護】
所持金:1000ルコ
典型的な後衛のステータスだな…。精神値なんて俺の2倍もあるし。
筋力や耐久なら勝ってるって?女の子にそのステータスで勝っても誇れる心を俺は持ってない。
ただ一番ショックなのは所持金が俺の2倍あったことだ。保護者気分でいたら保護者の方がお金を持っていないなんて恥ずかしすぎる…!
とりあえずチュートリアル終わったら金策から始めようと決心した。
「トゥニアは何か欲しいスキルとかあるのか?」
「今のところはない」
「なら、俺と同じだな。教官がいるって言っていたしその人にどんなスキルが取れるか聞いてみようか」
「そうする」
そうやってお互いのステータスやスキルを確認しながら廊下を歩いて行くと受付のお姉さんは大きな木製の扉の前で立ち止まった。
「こちらが教練場になります。中に教官がいますのでスキルの説明などは教官に伺ってください」
「はい、案内ありがとうございました」
「ありがとうございました」
うっとりしてらっしゃるが3回目なので省略。
お姉さんは申し訳ないが放っておいて、俺は教練場の扉を開けた。
教練場は円形のグラウンドのような形になっていて、周りには少数ながら観客席のようなものもある。
さて、教官はどこにいるのか…
俺が教練場の中央に目を向けると、ブーメランパンツの男が仁王立ちしていた。
教育上よくないので服は着て欲しかったなぁ…。
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