#10 宿探し
投稿再開します!
『スキル習得終了の意思を確認しました。スキルの習得数が10個以下ですがよろしいですか?』
料理を食べ終わったところでシステムの確認メッセージが来たのではいと回答する。
『スキル習得が終了しました。これによりスキル習得及び戦闘のチュートリアルを終了します』
『これにてチュートリアルは以上となります。お疲れ様でした』
『本フィールドへ移ります』
ログとともに景色が一瞬で移り変わり、俺とトゥニアは再び神殿の広間にいた。
周りを見渡すと、チュートリアルが終わったのかすぐに部屋から出て行くものとこれからチュートリアルを始めるのか転送されるものが半々でいるといったところだった。
とりあえず、今の時間を確認…ってもう9時半か。
初めてのが7時過ぎだったから約2時間半やってたことになるわけだ。
そんなことを考えているとピコンという音とともにメッセージの着信画面が表示された。事前にゲームIDでフレンド登録ができたのでその中の誰だろうなと思いながら、着信に出ると予想どおり健介だった。
『やっと繋がった。今まで何してたのさ』
「あー悪い、今までチュートリアルやっててな」
『え、だって詠里ちゃんからお兄ちゃんも7時過ぎには始めてると思うって聞いたけど…さっき始めたの?』
「いや、ちゃんと7時くらいから始めたぞ」
その後も健介の話を聞いて行くと普通のプレイヤーならキャラ作成とギルド、スキルのチュートリアル合わせても最長1時間程度で終わるようだ。それも現実世界における1時間なので数倍に時間が引き伸ばされているAAOではかなりの長時間チュートリアルをしていたことになるようだ。
俺がおそらく長時間の要因であろうトゥニアやセヴァキアとの出会いやギルドでの出来事を話すと「そんなのはβでも聞いたことがない」と向こうのパーティ内で大騒ぎになったようだ。
『武久、一旦君の状況を整理したいからなんとか合流できない?一度その眷属ちゃん?にも会って話がしたい』
「それはいいんだが…時間も長いことやってるからそろそろログアウトもしたいんだ。どうやったらできるんだ?」
『ログアウトは宿屋で部屋を取るか広場で出来るけど、僕らが取った宿屋はもう少しで満室みたいなこと言ってたから今から取れるかどうかは分からないよ?』
宿がなくなる可能性もあるんですかい…。
どんだけリアリティを求めて作ったんだこのゲーム?
『βと変わってなければログアウト、こっちでいう寝ている状態だけど。宿屋で寝れば広場で寝るのと比べて起きた後のスキルの成長率の補正が入るから宿屋で寝るほうがオススメ。だから、お金が足りる限りは宿屋を取ったほうがいいよー』
「そういうプラス効果もあるのか…わかった。とりあえず宿を探しに行くよ。合流するのはその後でいいか?」
『了解。僕たちはフィールドから戻ってたらギルドの食堂にいるから宿が見つかったら来てね』
メッセージを切って、まずは宿屋探しだがマップはチュートリアルと同じく広場周りの4つしか分からない。
「トゥニアも宿屋の場所とかは分かったりは−」
「しない」
ですよねー。そしたら聞き込みして宿屋を探す必要があるのか。
とりあえずまずは冒険者ギルドへ行ってリセナさんに聞いてみるか。
「トゥニア、もう一回冒険者ギルドへ行って宿屋の場所を聞いてみよう」
「またリセナ…?」
「そんなに嫌そうな顔するなって…」
まぁ確かにあれだけ大袈裟にいちいち反応したら疲れるだろうしな…。
「とりあえず折を見て俺からそれとなく言っておくから今日は我慢してくれ、な?」
「…またご飯作ってくれたら行ってあげる」
「了解!」
とトゥニアの了承を取り付けられたので再び冒険者ギルドへ向かうと、先ほどまでの冒険者ギルドとは違い人でぎゅうぎゅう詰めになって怒号が飛び交い受付の職員が目を回している状況が広がっていた。
「人がいっぱい…」
「多分みんなチュートリアルが終わってギルドに来てるんだろうな…。これじゃリセナさんに聞くこともできなそうだ…。トゥニア迷子にならないように手を繋いどこう」
入り口からもどんどん人が来ているのではぐれたらどこにいるかなんて全く分からなくなりそうだ。
俺たちははぐれないようにして一旦ギルドの壁沿いに避難してこれから先どうするかを考えていると…
「おう、ムクじゃねぇか!そんな隅っこの方で何してんだ!」
「ゼクターか。宿屋の場所を聞こうと思って来たんだが…この調子だとダメそうだな」
「なるほどな!確かに受付嬢たちは死にそうになりながら働いているからな。今はかわいそうだ!」
「ゼクターは教官の役目はいいのか?」
「俺はさっき他のやつと交代してきたんでな。今日はこのまま仕事上がりよ」
なるほど、ゲームでよくある店で同じ人がずっと働いているって状況はないんだな。
しかし、聞けないとなるとどうしようか…
「ゼクターは宿屋さん知らない?」
「そうだな…知り合いの宿屋に行ってみるか?もしかしたら空いてるかもしれん」
「紹介してくれるのならありがたいけど…いいのか?」
「宿屋連れてくくらい何の問題もない!よし、行くか!」
そうして、ゼクターに連れられ宿屋を何件か回ったがやはりどこも一杯のようで俺たちが泊まれる場所はなかった。
「こうなったら広場かなぁ…」
でも、トゥニアを広場に残してログアウトするのは嫌すぎるしな…
「広場は嫌」
トゥニアも意見は同じようなので何とか泊まれるところを探したいのだが…
「こんなに部屋が一杯だとはな…。俺の知り合いのところはすべて回ったからあとは高級処とかなんだが…」
トゥニアの所持金が1000ルコであることを知るとゼクターは無理だなと黙ってしまった。
所持金トゥニア以下の俺なんて以ての外だしな…。
「…しょうがない。次の宿が決まるまでうちに来るか?」
ストック作ってる間にランキングが26位まで上がっていました!
急激な上がりに若干の恐ろしさを感じています…汗
今後とも保父さんをよろしくお願いします!