自動ドア
・今回、今までとだいぶ毛色が違います。また唐突なイメチェン的な奴です。次の次くらいまでには戻しておきます。
その店は、突如現れた。
「なぁ、あんな店、あったか?」
「そもそもアレ、店なのか? 研究所って言われた方がよっぽど納得だぞ? もしくは奇特な芸術家の作品」
ガラスが使われている建築物というのは珍しく、研究所や貴族の家にしか使われた試しがない。
「取り敢えず、入ってみっか」
「そうだ――んなっ!?」
ガラス張りのドアを開けようとすると、自動で開いた。
「あ、いらっしゃいませー。……やっぱりドアは引き戸が良いですかね」
「両方向に押せればいいんじゃないか?」
「ですね。後で変えてきます」
自由奔放な会話を繰り広げる、およそ店員と思われるその二人。
「あっ、それよりも接客でした。へいらっしゃい!」
「それはラーメン屋な」
会話の内容がイマイチ掴めない客にとって、恐怖以外の何ものでもなかった。
「ここは、何の店なんだ……?」
「ラーメン屋ですが」
「コンビニや」
またこれだよ、と呆れる以外に他がない客。
「説明しましょう! コンビニというのは、コンビニエンスストアの略称であり、食料品や雑貨を中心に販売している小型の商店です。年中無休、24時間営業という、大変便利な商店となっています。その真価は複数店舗がある時にこそ問われるのですが、今はまだここしか営業していません」
「長々とご苦労さま。要するに、ちょっとした時に便利な商店と思ってくれれば問題ないねんな。コンビニエンスっていうのは、便利って意味を持っとるねん」
「へぇ、知りませんでした」
「お前が知らんくてどうする」
大体のことは分かった客だが、この二人のテンションについていけず困っている。
「なるほど。便利な商店なのは分かったが、どういう風に便利なんだ? 具体的には何が売られているんだ?」
「棚に置いてあるものは全部売ってますよ」
「値札に金額が書いてあって、ここのレジで会計をすれば購入したことになるで」
「……でも、ここ無防備過ぎないか? これだといくらでも盗む奴がいるだろ」
その点に関してはキチンと対策が出来ているようで、よくぞ聞いてくれました、と満足げに話す。
「お店から商品をお金を払わずに持ち出すことを、万引きと言います。例え安い値段のものだろうと、店側にとっては万に値する被害だからです」
「え、万引きってそういう意味なん」
「いいえ、もちろん違います」
「なんで嘘を話すねん!?」
・夜ぐらいに活動報告あげる予定です。




