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戦隊モノ

「取り敢えずダンジョンコアとDPを確認してみますね」


 ―――――――――――――――――――――


 名前:No name

 DP:100,000,000DP

 LV:01/20

 種族:迷宮核(ダンジョン・コア)

 性別:メス

 主人:奥塚陽菜(ヒナ=オクヅカ)


 ◆能力値

 HP:【無限】

 MP:【無限】

 STR(筋力):0

 VIT(耐久):【無限】

 INT(知力):【無限】

 MIN(精神):【無限】

 DEX(器用):【無限】

 AGI(敏捷):0

 LUK(幸運):0


【能力】


 迷宮作成 迷宮編集 迷宮運営 迷宮消去 迷宮転移


【属性】


 New風属性(微) New水属性(微) New光属性(微)


 ◆属性効果


(微+10%<小+30%<中+50%<大+75%<強+100%)


 風属性の施設・モンスター・魔法の効果+10%及び風属性の地形の作成が一回のみ無料。


 水属性の施設・モンスター・魔法の効果+10%及び水属性の地形の作成が一回のみ無料。


 光属性の施設・モンスター・魔法の効果+10%及び光属性の地形の作成が一回のみ無料。


【加護】


 風を司る女神の加護(小) 水を司る女神の加護(小) 光を司る女神の加護(小) 転生神の加護(強)


 ―――――――――――――――――――――


「属性が風、水、光で、陽菜の持ってた属性の下位互換みたいです。DPは、いち、じゅう、ひゃく、せん……。えと、沢山です」


「1億や。数えられんくてどうすんねん」


「相変わらず数字弱いわね」


「それにしたってサービス良すぎません? 転生神の加護(強)って」


 とラファが言うが、実際に1億で出来ることというのはまだまだ限られている。DPというのは、億を軽く超える取り引きだって存在するのだ。


「早めの自給自足の手段と、戦力の確保が必要って訳ですか」


 ダンジョンは狩られる存在。発見される前に、早め早めに自衛手段を用意しないと“詰み”となる。


 まぁ、この4人なら大した戦力強化をせずとも平気な気もするというのが転生神の見立てだ。


「んじゃ、俺()はちょっくら『亜空間倉庫』の中身整理してくる」


「あら、そう。行ってらっしゃい」


「え、僕もですか!?」


 問答無用で連れていかれるラファエル。本人の立場が元々弱いので、致し方ない所はあるかもしれない。


「えっと、ゴールデンハムスターが100匹で1DP? めちゃお得じゃないですか。これにスキル:巨大化(10DP)を付与すれば、かなりの戦力になりますよね? 小さければ攻撃が当てずらいですし」


「発想がエグいわよ。でも、これは陽菜のお陰なのかしらね。動植物系統や魔物系統がかなり充実してるわ」


「妖精や精霊なんかも解放されて――いやーっ! サモエドのブラックですって! しかも魔獣でランクA!? こんなの買うに決まってます!」


「落ち着きなさい、陽菜。ちゃんと金額を見なさい」


「5000DPはまだ許容範囲内だと思うのですが! どうでしょう!?」


「そんなキラキラした目で見られても……。あら、チンチラ発見」


「きゃー!? ホワイト!? ホワイトなのねっ!?」


「キャラ崩壊しまくりじゃない……。チンチラ、そんなに好きなの? あまり王道な感じはしないけれど」


「最近人気なんです! 昔からモフモフとした毛並みのせいで狩られまくって数が減少してるらしいですね。砂浴びだとかハイレベルな温度管理だとか、結構飼育のハードル高くて。陽菜はまだ飼えてないんです。でもスキル足せば飼育しやすくなりますよね! サモエドちゃんと合わせて5500DPですっ! 買っても良いですか!?」


「陽菜、あんまり急がないでくれるかしら。だいたいこのコンビニに召喚したらまずいわよ。ペットが好きなのは分かるけれど、だからこそ飼う環境は整えるべきだと思わない?」


「た、確かに……!」


 実は動物大好きな結奈。飼われるペットの幸せを一番に考えて、飼う時は徹底的に準備をするタイプだ。


「少し興奮し過ぎました……。飼う子達のことを考えないなんて、モフラー失格です……」


「まぁまぁ。まずは生活環境から整えましょ」


 落ち込む陽菜に声を掛ける結奈。パァっと明るくなるその表情に、「コイツ反省してねぇ」と思わず声に出してしまう。


「全く、調子がいいんだから。まずはゴールデンハムスターよ。なんだっけ? 戦力になる? そうかもしれないわね。けれど、ねずみ算って聞いたことあるわよね? それくらい増えがちってことよ。こういうのはモンスターを収納できるものみたいなのがあればいいのだけれど――そんな都合のいい道具はないわよねぇ」


「あ、それ『亜空間倉庫』でしまえるみたいやで」


「あら、一桜葉。戻ってたの」


「ちょっと休憩に」


 麦茶のペットボトルを開けて、ぷはぁーっと息をする一桜葉。


「そのペットボトル、どこで見付けたんですか?」


「『亜空間倉庫』にあったで。どうも普通に営業してたコンビニを異世界転移させたらしくてな。中に店員とかレジスターとかそのまんま入っとった」


「「店員!?」」


「一応整理しときました。あの扉が『亜空間倉庫』で、魔法として唱えると対象があの空間に転送されます。あの扉を開くと上部分がタッチパネルになっていて、下の部分に搬入口ですね。取り出したりする場所みたいです。上のタッチパネルで整理整頓や検索、個数などの確認が出来るみたいです。店員っていう生き物も入るんですし、ゴールデンハムスターも入れても大丈夫だと思いますよ」


「試しに店員を出してみたら独自のシステム化しとった。『検索』したら魔導人形みたいな感じになっとるらしいな。ゲームで言うNPCノンプレイヤーキャラクターやな」


「それ、ゴールデンハムスターもNPCになってしまいません?」


「NPCにするかしないか選択が出来るみたいや。店員型魔導人形は転生神からの贈り物という形式らしい」


「色々とツッコミどころ満載なのだけど……、まぁいいわ。それよりも、問題はサモエドブラックとチンチラホワイトよ。何よこれ、戦隊モノでも始めるつもりなのかしら? 加えてゴールデンハムスターだし」


「可愛いは正義です!」


「分かったから少し黙りなさい。まずはサモエドブラックね。この子、Aランク魔獣だけあって食費バカ高いわよ? まずはこのカンタン牧場(100DP)を使って、食事が自給自足出来るようになって、更に余裕が出来るまで我慢よ」


「そんなっ!?」


「あとはチンチラホワイトね。温度変化に敏感なのよね? それは魔獣だとしても、スキルを付与したとしても、完全にはなくなる訳じゃないわ。エアコンの電気代とか考えて――そもそもこの電気はどこから引っ張られてるのかしら?」


「「「……確かに」」」


 降って湧いた疑問が、かなりのホラーで笑ってごまかせなかった4人。


「あ、そういえば屋根にソーラーパネル着いてました。転生神からプレゼントのようで。あとは殆ど魔法の力ですかね。ほら、水道とかガスとか。ここ、オール電化なのでガスはそんなに問題じゃないみたいですけど」


「そうなの」


 唯一、魔法による戦闘に慣れているラファエルが外回りをした結果を報告する。


「あと、魔獣とか魔物の気配も感じましたね。突如出来た謎の建物にビックリして、警戒しているようです。魔法の矢で威嚇したら泣きながら逃げて行きました」


「何てことするんですか!」


「そうよ! 仲間引き連れて返り討ちとかして来たら――」


「攻撃して脅すなんて! 可哀想です!」


「「え! あ、そっち!?」」


「なんか、すみません?」


 極めて真剣な顔付きで諭す陽菜。驚く結奈と一桜葉。一応、拠点防衛の為にやった事なのに、と納得のいかないラファエル。なんだここは、地獄絵図か。と神界から様子を見ていた転生神がツッコミを入れるも虚しく、地上界には届かなかった。


「話を戻すわね。電気は自家発電で補えるみたいだから、チンチラホワイトとゴールデンハムスターだけは許可するわ。先にチンチラホワイトの住む環境を整えてからにするべきだけど」


「わかりました! ――って言っても、スペースないですね」


「元はただのコンビニやからな。二階を作るべきやと思う」


「チンチラホワイトのお部屋を設置と。ついでに4人それぞれの私室というか寝室みたいなのも作っておきますか」


「階段はどうするん?」


「真ん中に螺旋階段とかかしら? でも、このコンビニにはなんだか合わないわね」


「そもそも一階のスペースがないから二階を置こうとしとるのに、階段を設置したら意味がないな」


「何言ってるんですか二人とも?」


「「え?」」


「『迷宮転移』があるじゃないですか」


 呆気にとられる二人。あのおバカ日本代表の陽菜に、正論で諭されたという事実を受け入れられなかったのだ。


「二階の中央に『迷宮転移』の座標指定をしておきましょう。それぞれの部屋には転移妨害などの結界を念の為に張って、と。あとは浴室や御手洗などですかね」


「陽菜が覚醒してるわ……!」


「頭でも打ったんか……?」


「二人して喧しいですよ、もう。……はい、完了しました。今からは、それぞれお部屋を模様替えする時間にしましょう」


「おう」


「了解です」


「わかったわ」


「【迷宮転移】」


 *** 一桜葉


「よし、ちゃちゃっと終わらして他のことするか」


 まずは一桜葉。部屋に備え付けてある、ダンジョン・コアの分身であるカタログパッドから、家具を選択する。


「まずはベッドやろ? それから収納は魔法で可能やから後回しにするとして、ミニテーブルとカーペットとクッション適当に置いて、と」


 色は無難に白黒のモノトーンだ。カーペットは座っても痛くないようにモコモコしていて、夏と冬の気温変化にも対応出来るように、温度調節の魔法が付与されている。


 そもそもこの世界に四季があるか分からないが。


「こんなもんでええか」


 一桜葉は典型的な男の子タイプだ。部屋を着飾ることに意味を示さない。それでも一応、かなりオシャレに着飾ってはいるが。


「実用性が一番や。どうせ散らかるし」


 ……典型的な男の子タイプだ。


 *** 陽菜


「ここでモフモフちゃん達とお昼寝出来たら最高ですね」


 色はやっぱり黄色やオレンジの系統です。


 カーテンはオレンジをベースによくわかんない薄いレースみたいな奴を重ねてみましょう。レースカーテンと言うらしいです。


 床は全面にマットみたいな奴を敷きます。ペット対策というのもありますかね。色は白と黄色で行きましょう。


 ベッドは適当に見繕って、黄色のカバーをかけて、と。


「うん、可愛いです」


 あとは小物を適当に配置して、完成です。


「早くチンチラちゃんの住む環境を整えに行かなければ!」


 ひゃっほーうい!


 *** ラファエル


「……どうしますかねぇ」


 本来なら、魔女に私室はあまり必要ありません。少なくとも、ラミレス家の血筋上はそうです。


 例えば、ラミレス家の体質として、不眠不休でも生きていけますし、全く食べなくても平気ですし。一日中、魔法の訓練をしたり、薬草を作ったり、素材を採取したりするのがラミレス家の生活です。他の魔女もそんなものだと思います。


「ま、この際なんで、ちゃんとやっておきますか」


 紫系統や白で彩り、植物などを飾る。木目調の窓枠や壁枠もこだわり。この感じ、懐かしい感じがして好きです。


「ベッドは贅沢してキングサイズが良いですね」


 魔女としての常識に囚われなくなった僕としては、睡眠というのは最高の嗜好だと思ってます。


「よし、完了です」


 ……本棚に怪しげな魔道書が並ぶ以外は、オシャレな部屋になっている。


 *** 結奈


「ペット、ねぇ……」


 すでに女の子らしく装飾された部屋の中で独り考える。


「あの時の私にも、飼えたのかしら」


 なにやらフラグをたてようとしているが、そんなことは作者がさせない。もうこれ以上は回収出来ないからだ(メタい)。


「サモエドちゃんも飼って上げたいけれど、余裕がねぇ……」


 まだ分かりもしない今後のことを見据えつつ、節約を心がけるように意志を固める。


「一人で考えても仕方ないわね」


 その表情は、何処か笑顔だった。


 ***


「見て下さい、これ! このコンビニのステータスみたいですよ」


「どれどれ?」


 ・――――――――――――――――――・


 名前:コンビニエンスストア・ヘージツ

 LV:1

 HP:4/4

 SP:20(+20)

 来客:0

 売上:0


【亜空間倉庫】【スキル一覧】


 ・――――――――――――――――――・


「ダンジョンのシステムとはまた違うようですね」


「SPはスキルポイントだと思いますよ」


「そうなん? まぁ、こういうのに馴染みがあるラファが言うんやから間違ってる訳やないと思うけどな」


「説明を見るに、来客と売上でSPは変動するみたいよ。HPは1日に4ポイント回復するらしいわ」


「ゆーちゃんはなんでそんな冷静なんですか?」


「それな。冷静すぎて怖いで」


「いま今後のこと考えてんのよ。こんなのに一々反応してられないわ」


 全くアンタ達は、という目で三人を見る結奈。苦労人ポジは伊達ではない。


「HPとSPの役割は分かりましたが、なんの為にあるのか分かりませんね」


「スキル一覧を開いてみなさい」


「これですかね? うおっ!?」


「アンタそれでも乙女なのかしら」


「ただのジョークですよ」


 呆れる結奈と訳の分からない事を言う陽菜。一桜葉とラファの目が白い。


「えっと、【集客率倍増(5)】【品質上昇(5)】【セール(1)】【犯罪防止(2)】【強盗退治(2)】などなど……。数えただけでもかなりの数がありますね」


「アレやないの? ダンジョンのコンビニバージョンみたいな」


「ってことは、コンビニとして経営しないと意味がないって事みたいですね?」


「まぁ異世界だし、元の世界のようなコンビニを経営するには無理があるわよ」


 あ、経営する事は決定ですか、そうですか、と陽菜が一人落ち込んでいると――


「陽菜的にはどうなの? 賛成? それとも反対?」


「え、陽菜ですか? まぁ、皆がそう言うのであれば陽菜はなんでも良いと思いますけど。ともかく、周りの視察が必要ですよね。あとは集客」


「……まぁ、そうね。ラファ、一桜葉。行ってきてくれないかしら?」


 困った時は男陣営の出番である。


「あ、陽菜も行きたいです」


「アンタはチンチラホワイトのお部屋を整える」


「わーい」


 取り敢えず二人行くことが決定した所で、現在地を確かめる。


「陽菜、地図を出して」


「【ウィンドウ・オープン】」


 空中に異世界の地図が映し出される。


「現在地はここ、レメンターナっていう森ね。一番近くに人がいる場所は……、ラルブィスト皇国。覚えるかメモしておきなさい。そこの皇都に商業ギルドがあるはずだから、土地を借りて、そこにコンビニを出店しましょ。場所は任せるわ」


「それでもええけど、金はどうするん」


「DPと交換出来るみたいです。必要になれば連絡下さい。その分だけ送るので」


「了解、行ってくる」


「「行ってらっしゃい」」


 ここから男陣営の二人旅が始まる。

【※今回の後書きはちょっと長いです。読まなくても大丈夫ですよ】


・1話のアオナと比較してみて、この4人は全然驚かないなぁ、って少しビックリしてます。


・やっぱり知り合いがいるとそれだけ安心度も違うのでしょうか。


・それとも単に、素直なバカ(一桜葉)+大バカ(陽菜)+神経図太い(結奈)+イレギュラー(ラファ)だから? それとも空気読めない奴らだからなのかな?


・あ、コンビニのステータスのとこ! ちょっと工夫しました。他とは差別化を図りたくて。結構悩みました。まずは線引きから記号を変えたりして工夫しましたし、最初はHPじゃなくてライフとか読んでたり、SPがスタミナポイントと被ってるからアビリティのAからAPとか、結構考えてました。が、結局のところSPに落ち着くっていう。この場合はスキルポイントと読んで下さい。以降、紛らわしい場合はルビ振っておきますので。


・未だにステータス値とか適当でやってますが、そろそろ手直ししないとですかね……。1回、大型アップデートしようかな、って思ってます。


・次回の更新は来週の日曜日です。書き溜めが絶賛進んでるので、大型アップデートに向け、頑張りたいと思います。

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